久志は薬剤師で、親から受け継いだ薬局を経営している。結婚していて、子どもも2人いる。しかし、薬局は経営状態が思わしくない。その上、久志自身は売上を伸ばすための努力を何もしていないようだ。近所にチェーン店の薬局ができて、ますます経営は苦しくなっている。
地元には高校時代の仲間もいる。勢田修(せたおさむ)は会社を辞め、法科大学院を卒業して今は司法試験の勉強に専念している。
千佳は中学校の理科教師だ。子どもが2人いる。
彗子(けいこ)(スイ子と呼ばれている)は高校時代はいつも1人だったが、成績はずば抜けて良く、国立の東都工科大学の天文学科に合格した。今は国立天文台の研究員をしているはずだ。
梅野和也も久志と仲の良い同級生だったが、今はうつ病で家に引きこもっている。
そして、19歳で死んだ恵介。彼の提案で久志たち6人は高校3年の時に空き缶を使ってオオルリを描いたタペストリーを作った。完成させるのに約1万個の空き缶が必要だった。
彗子は地元に戻ってきていて、4人は彗子がやろうとしていることを聞く。土地を手に入れて天文台を作ろうというのだ。彗子も他の3人も金はないので、立派な設備は作れない。
だが、高校生の時とは違って、40歳を過ぎた4人には大人の知恵がある。専門家に任せそうなものでも自分たちで作ってしまうのだ。
昔の仲間たちが協力して天文台を作る。そんな夢を追いかける話なのかと思ったら、衝撃的な事実が明らかになる。単なるいい話かと油断して読むとショックが大きい。45歳という主人公たちの年齢にふさわしい、複雑な小説だ。心を揺さぶられる作品だった。
この書評へのコメント