絶唱 (新潮文庫)

阪神大震災という至上の恐怖を体験した湊かなえの自伝的作品。
貧困,教育,環境,エネルギー,人口問題・・・あなたの“常識”は20年前で止まっている!?10の思い込みを乗り越え,データを基に世界を正しく見る習慣
なぜ世界についての錯覚が起きるのかに関心を持ってほしい.どうして私たちの脳は,こんなにも世界を見間違えてしまうのだろうか.何か一つ世界に残せるとしたら,人々の考えを変え,根拠のない恐怖を退治し,誰もがより生産的なことに情熱を傾けられるようにしたい.
分断を誇張し,分断本能を刺激するような話を見分けるには3つの注意すべきポイントがある.誰かとの会話だけでなく,自分自身との対話でも気を付けてほしい.その3つのポイントを私は「平均の比較」「極端な数字の比較」「上からの景色」と呼んでいる.
持続可能性,すなわち人間の活動が将来にわたって持続できるかどうかは,人口に大きく左右される.地球が支えられる人の数には限りがある.国連の予測によれば,2100年の子供人口は20億人で,現在と変わらない.グラフも,これまでのような右肩上がりの直線にはならない.
何かの現象をきちんと理解するには,グラフの形をきちんと知ろう.そして,グラフで示されていない部分がどうなっているかを,不用意に憶測しないこと.さもなくば,間違った結論や手段にたどり着いてしまう.「人口がひたすら増え続けている」と考える人たちは,この罠にはまっている.
世界中で,子供の生存率が伸びている原因を調べてみると,「母親が読み書きできる」という要因が,上昇率の約半分に貢献している.
何かの重大な勘違いをしないために最も大切なのは,ひとつの数字だけに注目しないことだ.数字を一人ぼっちにするのは絶対にダメ.一つの数字が,これ単体で意味を持つことなどないのだから.必ず,それと比較できるような数字を探そう.特に大きな数字を見たら気を付ける.ほかの数字と比較しなければ,その数字がさも重大なことを示しているように見えてしまうから.
なぜ,医者と看護師は異なる所得レベルの人たちがどんな病気にかかるのかを学ばないのだろう?変わりゆく世界の基本的な最新知識を,どうして学校や企業研修で教えないのだろう?批判的思考を教えている学校は多いが,ファクトフルネスも批判的思考のひとつと言ってもいい.それが次の世代を知識不足から守ることになる.
リンダウ・ノーベル賞受賞者会議若い研究者たちがノーベル賞受賞者から学ぶすばらしい機会が,この年に一度の会議だ.この会議を批判するつもりは露ほどもない.ただ,出席者のワクチンに関するクイズでの正解率が低かった.専門知識があるからといってあらゆることに精通しているわけではないという点を明らかに.
専門家による予測『超予測力-不確実な時代の先を読む10か条』を書いたテトロックとガードナーは,人々の予測力をシステマチックに測る方法を紹介している.そこで判断力を鈍らせる要因の一つとして挙げられたのが,狭い分野の専門性で,判断力に優れた人の特徴としてあげられているのは,謙虚さ,好奇心,失敗から学ぶ前向きさだった.
災害の比較OurWorldInDataを閲覧すれば,災害による死を調べることができる.ギャップマインダーは現在,様々な死亡事故や環境問題を取り上げるメディアがいかに偏った報道をしているかについて調べている.調査が終わり次第,公開予定.
国際災害データベース自然災害による年間死者数は過去100年間で75%減少した.自然災害は年によってばらつきがあるので,それぞれの年ごとに過去10年の平均を比べている.過去10年間に毎年8万386人が自然災害で亡くなっている.100年前の32万5742人と比べると25%になっている.





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