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DBさん
DB
レビュアー:
言い伝えの中の教訓の話
懐かしさに取り出してきたグリム童話です。
全部で二百近くあるというだけに、短い話も含めて23の童話が収録されている。
有名な話もあれば知らない話もあり。

表題作の白雪姫は実は三回殺されたという話を読みましたが、原作を読んでみればその通りで王妃はまず紐で絞め殺し、櫛に仕込んだ毒で命を狙い、最後が毒リンゴというストーリーです。
小人に注意されているのに毎回騙される白雪姫もどうかと思うけれど。
そして悪い王妃は焼けた靴を履かされて死ぬまで踊るという残忍な処刑方法だった。
メルヘンってなんだろうと考え込んだ。

カインのように弟殺しの罪の話もありました。
「歌う骨」というタイトルですが、国土を荒らすイノシシを仕留めた者には王女を妻にやろうというお触れを出した王様がいた。
ある兄弟がイノシシを狩りに行くまではギリシャ神話にもよくあるが、弟が見事にイノシシを仕留めたのを見て嫉妬した兄は弟を打ち殺す。
そして自分がイノシシを殺したと名乗り出て王女の夫となります。
だが何年もたって弟のものだった骨が笛となって真相を歌い出す。

つぐみのひげの王様の話は高慢さへの教訓だろう。
こちらはハッピーエンドだが、同じく王女になり替わろうとした高慢な侍女は釘だらけの大樽に入れられて転がされるという処刑だ。
グリム童話全体の傾向として高慢さに対して残忍な仕打ちが待っているように思える。

シンデレラこと灰だらけ姫の話に出てくる意地悪な継母と姉もそうだ。
この話もけっこう血まみれで、ガラスの靴に足が入らなくて指や踵を切り落とした挙句に最後は鳥に眼球を突きだされて盲になるという。
仲直りしてハッピーエンドにしてしまったディズニーからは得られない教訓かもしれない。

一番謎だったのはラプンツェルです。
魔女に生まれた時にさらわれたラプンツェルは、十二歳になると高い塔に閉じ込められる。
そこで魔女は昼に毎日やってきていたけれど、ラプンツェルを見つけた王子様と夜な夜な密会する仲となる。
魔女に気づかれ荒野に追い出されたラプンツェルは双子を産み、再開した王子とハッピーエンドというストーリーでしたが。
そもそもなんのために魔女はラプンツェルを塔に幽閉したのか。
童話として読んだ時には何も疑問に思わなかったが改めて読んでみると非常に気になる。
メルヘンって結構深いです。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2028 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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