レビュアー:
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もう思春期を通り越した大人の「君」も、人間関係に疲れたらこの本を開いてみて欲しい。
「本当の友だちとはどういう人だろう?」という問いかけが散りばめられた連作短編集である。小学生から高校生までの様々な友だち関係が描かれる。小学生の恵美ちゃんと由香ちゃんを中心に、登場人物が少しずつ重なり、彼らの成長を追いながら物語は進んでゆく。時には非常に残酷な思春期の情景が、優しく温かいで眼差しで描かれ、登場する子どもたちの感情が胸に染み入ってくる。
恵美ちゃんは4年生の時、下校時の交通事故で左足の自由を失った。クラスメイトに当たり散らした恵美ちゃんには、話しかけてくる子もいなくなる。自分はクラスの人気者だと思っていた。でも、それは嘘。
体の弱い由香ちゃんは、太っていて動作もゆっくりで、すぐに「ごめんね。」と言ってしまう。クラスの子は由香ちゃんが目に入らないようで、誰にも話しかけてもらえない。
恵美ちゃんと由香ちゃんは、なわとび大会をきっかけに友だちになる。別の子が主役の短編の中にも、その後のふたりの姿がちょっとだけ登場し、「みんな」の中にいることの意味とか、「誰かを思いやる」ことの意味とか、「自分の気持ち」に向かい合うことの勇気とかを、その子が考えるきっかけになる。
”仲間の輪の中にいることは安心だし気分がいい。だから嫌な子は、そこを狙ってくる。無視することで、君の居場所を失くしてしまう。そして、そういう子はいつだって「みんな」の中に隠れてニヤニヤ笑っている。”
これは、子どもの世界に限ったことではないと思う。もう思春期を通り越した大人の「君」も、人間関係に疲れたらこの本を開いてみて欲しい。きっと何か現状打破のヒントが見つかると思う。
そうそう、登場する子どもたちに「君は」とか「君が」とか呼びかける語り手がいるのだけれど、その正体は最終章で判明する。再び恵美ちゃんを主役に、大人になったみんなの姿を見せてくれる大団円に涙が止まらなかった。そうだよ、ずっとずっと会えなくても、友だちは友だち。
恵美ちゃんは4年生の時、下校時の交通事故で左足の自由を失った。クラスメイトに当たり散らした恵美ちゃんには、話しかけてくる子もいなくなる。自分はクラスの人気者だと思っていた。でも、それは嘘。
体の弱い由香ちゃんは、太っていて動作もゆっくりで、すぐに「ごめんね。」と言ってしまう。クラスの子は由香ちゃんが目に入らないようで、誰にも話しかけてもらえない。
恵美ちゃんと由香ちゃんは、なわとび大会をきっかけに友だちになる。別の子が主役の短編の中にも、その後のふたりの姿がちょっとだけ登場し、「みんな」の中にいることの意味とか、「誰かを思いやる」ことの意味とか、「自分の気持ち」に向かい合うことの勇気とかを、その子が考えるきっかけになる。
”仲間の輪の中にいることは安心だし気分がいい。だから嫌な子は、そこを狙ってくる。無視することで、君の居場所を失くしてしまう。そして、そういう子はいつだって「みんな」の中に隠れてニヤニヤ笑っている。”
これは、子どもの世界に限ったことではないと思う。もう思春期を通り越した大人の「君」も、人間関係に疲れたらこの本を開いてみて欲しい。きっと何か現状打破のヒントが見つかると思う。
そうそう、登場する子どもたちに「君は」とか「君が」とか呼びかける語り手がいるのだけれど、その正体は最終章で判明する。再び恵美ちゃんを主役に、大人になったみんなの姿を見せてくれる大団円に涙が止まらなかった。そうだよ、ずっとずっと会えなくても、友だちは友だち。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:316
- ISBN:9784104075065
- 発売日:2005年10月20日
- 価格:1680円
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