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DBさん
DB
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経済とココロについての本
科学道2021の「脳とココロ」という分野で紹介されている本です。
経済学と脳科学に何の関係があるのだろうかと思いながら読み始めたが、経済を動かしているのは人間なので、人のココロが動けば経済も動くという話でした。
心理学を学んでみようと思ったときに、認知や記憶といった脳神経系の講義が多くて人の行動に影響を与えるような話は少なかった。
サブリミナル効果のように働きかけにより人を動かすようなジャンルは行動経済学になるのかもしれない。
行動経済学でノーベル賞をとったシカゴ大のセイラー教授と、同じく行動経済学から法制度まで幅広く研究しているハーバード大のサンスティーン教授による共著ですが、実例が多く専門用語が少ないのでなかなか楽しく読めました。

最初に紹介される実験は、学校のカフェテリアで食品の陳列の仕方や並べ方で子供たちが選ぶ食べ物に影響を与えられるかどうかという実験だった。
結果は配列を変えただけで多くの食品の消費量を最大25%も増減できたという。
ここで問題は子供の健康のためになる食品を沢山とるような配列にするか、カフェテリアの利潤が最大となるような配列にするかとなるが、自分の気づかないうちに選択肢を左右されていることは日常生活の中でも多々あるのだろう。
この強制ではない影響力を「ナッジ」という。

納税やエネルギー使用料の抑制、予防接種の勧告、保健や年金、住宅ローンの選択に臓器移植の推進など、様々な場面でこのナッジによる影響力を見ていきます。
面白かったのが電気料の案内で、使用量が平均より高いとお知らせがくると抑制方向に、平均より低いと上昇傾向に動くというデータがあった。
これをブーメラン効果というそうですが、これにエネルギー使用量が低い世帯にスマイルマークみたいな顔文字をつけるとブーメラン効果が消えてエネルギー使用量は増えなかったという。
顔文字ひとつで社会を望ましい方向へ押しやることができるのがすごい。

もちろん政治や宗教といった個人の自由な選択が保証されなければならない分野で、ナッジを与えるべきではないという正論も展開されていく。
アメリカの大統領選のキャンペーンを見ていると何でもありな気もするけど。
経済分野の話も解りやすく書かれていて、行動経済学というジャンルに興味を持てた。
とりあえず保健プランは何も考えずに真ん中を選ぶのだけはやめようと思った。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2029 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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『実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択』のカテゴリ

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