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ホッキョクグマの飼育と生態の本

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
クマなく伝えたいホッキョクグマのすべて
表紙のかわいいイラストから子供向けの本かなとも思いましたが、内容はしっかりしていて大人も子供も楽しめる本だった。
著者の一人である坪田教授は北海道大学でクマの生態研究をしていて、日本のツキノワグマとヒグマだけでなく世界のクマを対象に生理生態研究を行ってきたそうです。
40年の研究人生の締めくくりとして、念願だったカナダでのホッキョクグマ調査旅行の話も本書に盛り込まれています。
共著者の鳥居氏は札幌の丸山動物園の飼育員さんで、各地の動物園で会うことができるホッキョクグマを紹介してくれている。

まずはホッキョクグマの形態について、オスで2.5m、メスで2mという体長と、オスで400~500キロ、メスで150~200キロという体重のホッキョクグマは世界のクマの中で最大級だ。
寒冷地に住むために体温維持のために大型化し、海の哺乳類として泳ぎに長けているため流線型の体躯と長く突き出た吻部が特徴だ。
体毛は無色透明で空洞になっており、この空洞が断熱効果を持つとともに水中で浮力を生む。
足の裏にも毛が生えているのも特徴で、主にアザラシを主食とした完全肉食動物だ。
冬から春にアザラシを飽食し、餌がなくなる夏は歩き回りながらも身体は冬眠状態となる省エネモードで過ごすそうだ。

日本で飼育されているホッキョクグマは2025年6月の時点で17園31頭、円山動物園に3頭、旭山動物園にも3頭、上野や南は熊本まで日本各地の動物園で見ることができるので、ホッキョクグマは人気なんだろう。
ひたすら同じ場所をぐるぐると歩き回るような行動をしているホッキョクグマを見たことがあるが、狭い飼育場の中でなるべくホッキョクグマたちが飽きないように飼育員さんたちがしている工夫についても書かれていました。
おもちゃをいろいろ与えてみたり、おやつを隠してみたり。
円山動物園ではアザラシとホッキョクグマの水槽が隣同士でアザラシが見えることもいい刺激になるようですが、アザラシの方のストレスは大丈夫なんだろうか。

カナダのハドソン湾でのホッキョクグマ調査の詳細も、野生のホッキョクグマに触れあう著者の興奮が伝わってくるかのようだった。
しかし温暖化でホッキョクグマの生息域が狭まっている話や、ヒグマとの交雑についても語られていた。
ホッキョクグマの住む地球を守るために何ができるか考えさせられる本でもあった。
  • 掲載日:2026/04/21
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