michakoさん
レビュアー:
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望むまま自由に生きる女。そんな女を利用したつもりで下に見ている男。
先日父が亡くなり、1年以上入ることができなかった実家へ久しぶりに帰った。
病院からもってあと数日などと知らされても、県外に暮らす私は動くことができなかった。
施設内に入ることも叶わなかった。
そのため私が対面した父は実家できれいにお化粧までされて横たわっている姿で、数日前電話の映像よりずっと顔色もよく、健康そうにみえた。
でも起きてはくれない。
通夜も、告別式も終えても、いまだに気持ちの落ち着く場所がなかった。
そんな慌ただしい合間、実家の自分の本棚を覗いたときふと気が向いたのがカフー先生だった。
ナツメ先生もオーガイ先生もなんか違う。今私が読みたいのはカフー先生だと思った。
主人公は銀座のカッフェー(だってそう書いてあるw)「ドンフワン」で働く20歳くらいの女性・君江。
ちょっと嫌なことが続いて占い師にみてもらったりはするけれど、あまり物事にこだわらないあっけらかんとした性格。
愛人で流行作家の清岡がいるが、気がむけば誘われるままお客と待合に行っちゃう。
1931年(昭和6年)の作品ですが、そこはカフー先生、女性をかなり自由にいきいき描いてくれています。
カフー先生に馴染みの深い芸者、女給といった仕事をしている女性たちが実に気侭で元気。
清岡には正式な結婚はしていないものの旧華族の夫から奪った鶴子という妻があり、誠実な男というわけではない。
それを承知でいる君江はともかく、鶴子は遊んでばかりいる清岡に、家に縛られているのは確かで、育ちのいい彼女にはらはらした。
後の彼女の選択にはほっとしたくらい。
しかも清岡、自分を棚に上げて君江に「裏切られた仕返し」をしようと考えたり、なかなかに陰気な男。
古い男と新しい女。狭量と鷹揚。
毀誉褒貶も交錯しますが、いったいどちらがどうなのか。
巻末の解説は中村真一郎。いつもながらわかりやすい。
うすいパラフィン紙は茶色に変色していて、ページをめくるたびポロポロ落ちた。
あまりに気に入ったので持ち帰ってきて、さらにポロポロになったので思い切って薄い紙は捨てた。
真新しい表紙が表れ「定価200円」という帯に笑ってしまった。
気持ちが整った。良い読書になった。
ありがとう、カフー先生w
病院からもってあと数日などと知らされても、県外に暮らす私は動くことができなかった。
施設内に入ることも叶わなかった。
そのため私が対面した父は実家できれいにお化粧までされて横たわっている姿で、数日前電話の映像よりずっと顔色もよく、健康そうにみえた。
でも起きてはくれない。
通夜も、告別式も終えても、いまだに気持ちの落ち着く場所がなかった。
そんな慌ただしい合間、実家の自分の本棚を覗いたときふと気が向いたのがカフー先生だった。
ナツメ先生もオーガイ先生もなんか違う。今私が読みたいのはカフー先生だと思った。
主人公は銀座のカッフェー(だってそう書いてあるw)「ドンフワン」で働く20歳くらいの女性・君江。
ちょっと嫌なことが続いて占い師にみてもらったりはするけれど、あまり物事にこだわらないあっけらかんとした性格。
愛人で流行作家の清岡がいるが、気がむけば誘われるままお客と待合に行っちゃう。
1931年(昭和6年)の作品ですが、そこはカフー先生、女性をかなり自由にいきいき描いてくれています。
カフー先生に馴染みの深い芸者、女給といった仕事をしている女性たちが実に気侭で元気。
清岡には正式な結婚はしていないものの旧華族の夫から奪った鶴子という妻があり、誠実な男というわけではない。
それを承知でいる君江はともかく、鶴子は遊んでばかりいる清岡に、家に縛られているのは確かで、育ちのいい彼女にはらはらした。
後の彼女の選択にはほっとしたくらい。
しかも清岡、自分を棚に上げて君江に「裏切られた仕返し」をしようと考えたり、なかなかに陰気な男。
古い男と新しい女。狭量と鷹揚。
毀誉褒貶も交錯しますが、いったいどちらがどうなのか。
巻末の解説は中村真一郎。いつもながらわかりやすい。
うすいパラフィン紙は茶色に変色していて、ページをめくるたびポロポロ落ちた。
あまりに気に入ったので持ち帰ってきて、さらにポロポロになったので思い切って薄い紙は捨てた。
真新しい表紙が表れ「定価200円」という帯に笑ってしまった。
気持ちが整った。良い読書になった。
ありがとう、カフー先生w
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夏休み。久しぶりに1週間じっくり母と向き合えた気がします。
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- ISBN:B000JB7RK6
- 発売日:2021年06月12日
- 価格:19円
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