食べもの関連、プラスの意味を持つもの。シャキシャキ、まったり、こんがり、とろり、さらさら、ふわふわ、カリカリ、サクサク、つるり、しゃりしゃり、こりこり、ふっくら、しっとり。
ピピピッとアラーム音で目が覚めて、ガバッと起きて、クシュクシュと歯を磨く。ぱくっとトーストをくわえて、ゴクゴクと牛乳を飲む。
生活音にオノマトペはあふれている。著者はこの中で、漫画の「ゴルゴ13」でライターを点ける「シュボッ」というオノマトペに惹かれて探究する。ものがこすれ、勢いよく広がったりふくらんだりする感じがあるばかりでなく、ライターの高級感とともにゴルゴ13のダンディズムの一環と捉える。
続いて、川端康成「伊豆の踊り子」の有名なシーン、通りかかった主人公を見て、踊り子が湯殿から裸のまま飛び出し、距離のあるところ、両手をいっぱいに伸ばして主人公に何か叫ぶ。その姿を見て、子供なんだ、と「ことこと」笑う。
この「ことこと」について、笑いのオノマトペの比較、「コトコト」の歴史的な用例の分析、「クツクツ」との競合など多角的に検証していく。川端シンドロームの私は、この物語にある他のオノマトペに触れられているのも嬉しく読んだ。
食関連や方言のオノマトペ、古事記、万葉仮名、源氏物語ほかのオノマトペ、川柳、マンガなども引きながらオノマトペのはたらきを述べてゆく。宮沢賢治が用いた独特のオノマトペのくだりも楽しい。
紹介されている通り、マンガはオノマトペの宝庫。私的には「浦安鉄筋家族」で出てくる個性的なオノマトペがおもしろかったな、という印象。
ことばへの興味に対する一助。興味深く読んだ。「日本語オノマトペ辞典」も入手しようかな、なんて思う。これからしばらくは文章を目で追う際、オノマトペには敏感になりそうだ。物語の中で、独創的でよく感覚をあらわすオノマトペに出会う、そんな瞬間が楽しみになる。
この書評へのコメント