DBさん
レビュアー:
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脳卒中の体験と回復の本
脳科学者であった筆者が自らの脳卒中の経験とそこからの回復を語ります。
分裂症の兄を持ち、それをきっかけに脳科学への研究に打ち込んで専門家となった筆者は、精力的に仕事や研究をこなす女性だった。
そして精神疾患のサポート団体でも活動する忙しさだ。
それがある朝、脳卒中に見舞われる。
ある朝目が覚めると、左目の裏から脳を突き刺すような激しい痛みを感じたそうです。
運動して血行が良くなれば痛みも和らぐのではないかと運動を始めたが、身体が思うように動かず心と身体の結びつきが脆くなったような感覚だった。
そして考えに集中することが難しくなり、身体の境界がわからなくなってしまう。
先天性の脳動静脈奇形が原因で左脳が出血した血液に満たされ、脳の機能が失われてしまっていた。
脳を専門の学者だけに、この機能が失われれば次は呼吸も危ういとわかってしまうのは幸か不幸か。
それでも自分が脳卒中を起こしていることに気づいたときには、助けを求めるのも難しい状態になってしまっていた。
どこに電話すればいいとか誰に助けを求めればいいのかがわからず、やっと電話をかけても今度は言葉が出てこない。
振り返ってみれば薬の効果がない偏頭痛持ちだったそうですが、それも奇形部位からわずかに出血していたことが原因だった。
それで脳ドックでもしていれば危険性に気づいたかもしれないが、37歳という年齢を考えるといつもの頭痛だと済ませてしまうのも不思議ではない。
ある朝突然脳卒中になるという突然の出来事にも「これで脳の機能が体験できる」と思うあたりは相当な学者根性だと思います。
しかも出血量が多かったのか、次々に失われていく感覚をリポートするさまが生々しい。
右半身が動かなくなり言葉も話せず自分の手足の感覚がなくなっていく。
言語や論理などを司る左脳の機能が失われ、右脳の働きだけになるとそこに広がるのはニルヴァーナであった。
自分の身体の境界がわからなくなるという感覚は想像するしかないけれど、左右の脳の働きの違いが顕著に理解できる実例だった。
そして極限の状態でも保険を使える病院に行かないといけないという意識が残っているところがアメリカらしい。
脳卒中の詳しい実況もさることながら、そこから回復への道のりが驚異的だった。
左右の脳の働きの違いを体感して回復する過程でストレスや攻撃性など性格の負の部分を抑えて、感謝や宇宙との繋がりといったプラスの部分を意識的に残していく。
まるで脳卒中という出来事をきっかけに自らをよりよく再生させていくような過程でした。
そこにあるのは、筆者の不屈の精神だと思う。
37歳にして失ったものは非常に大きかったけれども、そこから母親のサポートで自らを取り戻していく努力が素晴らしかった。
まだ若くやりたいことに邁進していた人生がある日突然一変する。
動くこともままならない、自分の感覚器がすべて曖昧になっていく状態に耐えられるかも疑問ですが、筆者のようにポジティブに生きていくことが出来る人はなかなかいないと思う。
病前のキャリアを築いた筆者も努力家だと思うけれど、病後の回復するためにはさらなる努力が必要だったに違いない。
どんな不幸にあったとしても、すべてはその人の努力次第なんだと感じた。
分裂症の兄を持ち、それをきっかけに脳科学への研究に打ち込んで専門家となった筆者は、精力的に仕事や研究をこなす女性だった。
そして精神疾患のサポート団体でも活動する忙しさだ。
それがある朝、脳卒中に見舞われる。
ある朝目が覚めると、左目の裏から脳を突き刺すような激しい痛みを感じたそうです。
運動して血行が良くなれば痛みも和らぐのではないかと運動を始めたが、身体が思うように動かず心と身体の結びつきが脆くなったような感覚だった。
そして考えに集中することが難しくなり、身体の境界がわからなくなってしまう。
先天性の脳動静脈奇形が原因で左脳が出血した血液に満たされ、脳の機能が失われてしまっていた。
脳を専門の学者だけに、この機能が失われれば次は呼吸も危ういとわかってしまうのは幸か不幸か。
それでも自分が脳卒中を起こしていることに気づいたときには、助けを求めるのも難しい状態になってしまっていた。
どこに電話すればいいとか誰に助けを求めればいいのかがわからず、やっと電話をかけても今度は言葉が出てこない。
振り返ってみれば薬の効果がない偏頭痛持ちだったそうですが、それも奇形部位からわずかに出血していたことが原因だった。
それで脳ドックでもしていれば危険性に気づいたかもしれないが、37歳という年齢を考えるといつもの頭痛だと済ませてしまうのも不思議ではない。
ある朝突然脳卒中になるという突然の出来事にも「これで脳の機能が体験できる」と思うあたりは相当な学者根性だと思います。
しかも出血量が多かったのか、次々に失われていく感覚をリポートするさまが生々しい。
右半身が動かなくなり言葉も話せず自分の手足の感覚がなくなっていく。
言語や論理などを司る左脳の機能が失われ、右脳の働きだけになるとそこに広がるのはニルヴァーナであった。
自分の身体の境界がわからなくなるという感覚は想像するしかないけれど、左右の脳の働きの違いが顕著に理解できる実例だった。
そして極限の状態でも保険を使える病院に行かないといけないという意識が残っているところがアメリカらしい。
脳卒中の詳しい実況もさることながら、そこから回復への道のりが驚異的だった。
左右の脳の働きの違いを体感して回復する過程でストレスや攻撃性など性格の負の部分を抑えて、感謝や宇宙との繋がりといったプラスの部分を意識的に残していく。
まるで脳卒中という出来事をきっかけに自らをよりよく再生させていくような過程でした。
そこにあるのは、筆者の不屈の精神だと思う。
37歳にして失ったものは非常に大きかったけれども、そこから母親のサポートで自らを取り戻していく努力が素晴らしかった。
まだ若くやりたいことに邁進していた人生がある日突然一変する。
動くこともままならない、自分の感覚器がすべて曖昧になっていく状態に耐えられるかも疑問ですが、筆者のようにポジティブに生きていくことが出来る人はなかなかいないと思う。
病前のキャリアを築いた筆者も努力家だと思うけれど、病後の回復するためにはさらなる努力が必要だったに違いない。
どんな不幸にあったとしても、すべてはその人の努力次第なんだと感じた。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:350
- ISBN:9784102180211
- 発売日:2012年03月28日
- 価格:680円
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