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三毛ネコ
レビュアー:
静かな物語ですが、調律の世界の雰囲気を味わうことができました。
主人公、外村は高校生の時にたまたま、調律師の板鳥に出会う。そして調律の仕事を見せてもらい、興味を持つ。

高校を卒業した後、2年間専門学校に通い、晴れて調律師に。そして、板鳥のいる楽器店に就職した。

しかし、なかなか思うような音にはならない。チューナーで測ると正しいはずの数値が揺れて聞こえるのである。基本的な音合わせでさえ、満足にはできない。柳という先輩の調律に初めてついて行った時、双子の姉妹に出会った。柳さんは妹のピアノが面白いと言うが、外村は姉の方のピアノが気になった。

その後、外村はまだ一人前ではないのに前述の双子に頼まれて調律を行う。その結果は……見事に失敗した。柳さんにその尻拭いをしてもらってその場は収まる。

そのことがきっかけで、外村の勤める楽器店に双子の姉妹、和音(かずね)と申仁(ゆに)が来るようになる。妹よりも努力しているのに、本番では妹に負けてしまう和音。練習をしない日もあるのに、発表会では評価が高い申仁。自分の体験から、「自分の演奏ができているならいいんじゃない」と和音を励ます外村だった。

その後も、ひたすらピアノと格闘し、調律に挑戦し続ける外村。

モノローグが多い。外村の、調律に対する思いが綴られていく。大事件があるわけでもない、静かな物語だ。それでも、調律という世界の奥深さを十分味わわせてくれた良書だった。
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三毛ネコ
三毛ネコ さん本が好き!1級(書評数:875 件)

フリーランスの産業翻訳者です。翻訳歴12年。趣味と実益(翻訳に必要な日本語の表現力を磨くため)を兼ねてレビューを書いています。サッカーファンです。

書評、500冊になりました。これからも少しずつ投稿していきたいと思います。

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