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ぱせりさん
ぱせり
レビュアー:
「いったい、なんだとおもう?」と問いかけられるけれど、答えは……表紙の絵のなかにちゃんとある。
「それは1450年のこと、ドイツのマインツ市にふしぎなものが登場した。ぼろきれと骨、まっ黒なススと植物の種からできていて、茶色のコートを身にまとい、金がちりばめられている。それを作るには、鉛と錫、じょうぶなオークの木材が必要だ。」
これはなぞなぞだ。
「いったい、なんだとおもう?」と問いかけられる。答えは……表紙の絵にちゃんと描いてあるのだけれど。

本といったら、手書きの写本だった、というその時代に、グーテンベルクは、「金属の活字を鋳造する方法を発見し、その活字をつかって印刷機で紙に印刷する方法を確立」したのだそうだ。
グーテンベルクがその印刷機から作り上げたのは、隅々までが、とても美しい本で、(それが書かれたこの絵本自体がもう本当に美しいのだけれど)ほおっとため息をついてしまう。
グーテンベルクによって刷られた美しい本(聖書)の写真も載っている。
今もなお、色あせることはなく鮮明で、500年以上の時の流れに耐えてきたとは思えない。

本の素は、遠いところからやってくる。
集められたのはぼろきれや骨、真っ黒なススや植物の種……。
1ページ1ページが小さな宝物作りの解説みたいだ。
沢山の職人たちの手によって、沢山の工程を経て、最後に、あの見事な本になるのだよ、と言われたら……まったく魔法ではないか。

印刷機が発明されたこと、最初の頃の本は何からどのようにできていたのかを、こんなに美しい絵本で知るのはうれしいことだ。
そして、こうして生まれた本が、以後500年もの間、ほとんど姿を変えることもなく続いている。途方もない時間だ。グーテンベルクの発明がどんなに素晴らしいものだったかと思う。

訳者はあとがきで、いまや電子書籍がポピュラーになってきていることにも触れ、もし、今の時代にグーテンベルクが現れたら、と空想する。「自分が発明した技術がすたれることを嘆くどころか、目を輝かせて新しい『マシーン』をおもしろがるにちかいありません」との言葉が素敵だ。
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ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1737 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

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