DBさん
レビュアー:
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運命を学ぶ場所での話
『王妃の離婚』では回想シーンで登場したカルチェ・ラタンですが、今回はカルチェ・ラタンそのものが舞台となっています。
フランソワ一世の時代の話になるので、ルイ十二世とジャンヌ・ド・フランスの離婚劇から少し後の時代になる。
主人公は新米の夜警隊長ドニ・クルパンです。
クルパン水運の次男坊でもあるドニは前年大学を卒業して社会人になったばかりだが、大学での成績は卒業を危ぶまれるほど悪かった。
本人曰くあがり症のために口頭試問が通らないということらしいが、そこで父親が見つけてきた家庭教師がマギステル・ミシェルである。
ミシェルはカルチェ・ラタンの中でも優れた成績を収め、もちろんソルボンヌ学寮に属していた。
だが「カルチェ・ラタンの申し子」の異名は若くしてマギステルと呼ばれるようになったからではない。
喧嘩に酒に女と学生が現を抜かす分野でも際立っていたのがミシェルだった。
今の情人は印刷屋の未亡人マルトで、ドニの目には白薔薇のように美しい女神のような女性に写っています。
実際はおしゃべり好きで感情優先の極めて女性らしいタイプだったけど。
ミシェルへの愚痴を延々と語るマルトと、そんな話を聞かされても恋心が冷めないらしいドニはミシェルを間にした三角関係ですね。
大学も卒業して夜景隊長にまでなったドニですが、事件に出くわすたびにミシェルを頼る。
しかもべそをかき、もしくは号泣しながら「マギステル助けてください」と駆け込んでくるのだ。
まあここまで頼られたら兄貴分としても悪い気はしないのか、もともと面倒見のいいタイプなのかミシェルはきっちり事件を解決してくれます。
ある意味ドニの父親は最高の家庭教師を見つけてくれたんだろう。
靴屋の主人の失踪事件、ドニの幼馴染の失踪事件、そしてドニの恋人ベアトリスが失踪した事件と、どれもミシェルが謎を解いていきます。
失恋したドニにイニゴ・デ・ロヨラやザビエルといった後のイエズス会の重鎮となる修道士たちを紹介したのもミシェルだった。
このバスク出身で前身は軍人だったイニゴこと聖イグナチオに、聖書ではなく剣技を学んだことが後のドニの役に立つ。
最初はバラバラに見えた事件が、次第にひとつの大きな絵の中にまとまっていき、中心にあるのはミシェルの師でもあるゾンネバルト教授が率いるサン・テスプリ学寮だった。
ノートルダムのせむし男カジモドや、後に宗教改革の指導者となるジャン・カルヴァンもミシェルの友人として登場します。
サン・テスプリ学寮での酒池肉林が神学問答とどう関係あるのかはよくわからなかったが、登場人物たちが生き生きと描かれていて楽しく読めた。
フランソワ一世の時代の話になるので、ルイ十二世とジャンヌ・ド・フランスの離婚劇から少し後の時代になる。
主人公は新米の夜警隊長ドニ・クルパンです。
クルパン水運の次男坊でもあるドニは前年大学を卒業して社会人になったばかりだが、大学での成績は卒業を危ぶまれるほど悪かった。
本人曰くあがり症のために口頭試問が通らないということらしいが、そこで父親が見つけてきた家庭教師がマギステル・ミシェルである。
ミシェルはカルチェ・ラタンの中でも優れた成績を収め、もちろんソルボンヌ学寮に属していた。
だが「カルチェ・ラタンの申し子」の異名は若くしてマギステルと呼ばれるようになったからではない。
喧嘩に酒に女と学生が現を抜かす分野でも際立っていたのがミシェルだった。
今の情人は印刷屋の未亡人マルトで、ドニの目には白薔薇のように美しい女神のような女性に写っています。
実際はおしゃべり好きで感情優先の極めて女性らしいタイプだったけど。
ミシェルへの愚痴を延々と語るマルトと、そんな話を聞かされても恋心が冷めないらしいドニはミシェルを間にした三角関係ですね。
大学も卒業して夜景隊長にまでなったドニですが、事件に出くわすたびにミシェルを頼る。
しかもべそをかき、もしくは号泣しながら「マギステル助けてください」と駆け込んでくるのだ。
まあここまで頼られたら兄貴分としても悪い気はしないのか、もともと面倒見のいいタイプなのかミシェルはきっちり事件を解決してくれます。
ある意味ドニの父親は最高の家庭教師を見つけてくれたんだろう。
靴屋の主人の失踪事件、ドニの幼馴染の失踪事件、そしてドニの恋人ベアトリスが失踪した事件と、どれもミシェルが謎を解いていきます。
失恋したドニにイニゴ・デ・ロヨラやザビエルといった後のイエズス会の重鎮となる修道士たちを紹介したのもミシェルだった。
このバスク出身で前身は軍人だったイニゴこと聖イグナチオに、聖書ではなく剣技を学んだことが後のドニの役に立つ。
最初はバラバラに見えた事件が、次第にひとつの大きな絵の中にまとまっていき、中心にあるのはミシェルの師でもあるゾンネバルト教授が率いるサン・テスプリ学寮だった。
ノートルダムのせむし男カジモドや、後に宗教改革の指導者となるジャン・カルヴァンもミシェルの友人として登場します。
サン・テスプリ学寮での酒池肉林が神学問答とどう関係あるのかはよくわからなかったが、登場人物たちが生き生きと描かれていて楽しく読めた。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:集英社
- ページ数:528
- ISBN:9784087476033
- 発売日:2003年08月20日
- 価格:860円
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