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紅い芥子粒
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レトロな風味の恋愛小説、まさかのファンタジー。
春は、大学がもっとも華やぐ季節。新入生を迎え入れ、人が寄ればコンパ、コンパ、コンパで酒盛り。
新入生の多くは、未成年なのに、すすめる方もすすめられるほうも、おかまいなしで……。

さてさて、この物語は、そんな春の宴から始まります。
主人公の男女は、大学のクラブの先輩、後輩の間柄。
さえない四回生(院生?)と、新入生の黒髪の乙女。
先輩が一方的に黒髪の乙女に恋するわけです。
偶然の出会いを画策しつつ、なんとか彼女との距離を縮めていこうと奔走する、春、夏、秋、冬の物語。

あまり中身のない小説です。
これ、いつまで続くの? 飽きてきた。と、何度思ったことか。
ただ、文学的教養溢れる文章というか、文というか、古風な言の葉使いがおもしろく、最後まで読んでしまいました。
「莞爾と笑う」なんて、いまどき使います? なんだか素敵。
「詭弁論部」とかね。笑っちゃいます。弁論大会とかディベートとか、なんだ詭弁じゃん(失礼!)と思ったことが少なからずある身としては。

時勢柄、うわっと反応してしまったのが、第四章「魔風邪恋風邪」。
質の悪い風邪って、インフルエンザのことだと思いますが、京都で大流行。
主人公もその関係者もみんなやられてしまいます。
まだ元気な人が、玉子酒つくりに患者のアパートに押しかけたり、高熱をおして大学の実験室に通ったり……
そりゃ感染バクハツするわと、あきれてしまったわ。
黒髪の乙女が、果敢にも、暴風吹き荒れる糺の森の中を歩いて、風邪の神を倒しにいくところなんて、胸躍るファンタジーでした。

それにしても、特効薬が「ジュンパイロ」とかいう、古本の神様(美少年!)からもらった怪しげな水あめみたいな薬とはね。

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紅い芥子粒
紅い芥子粒 さん本が好き!1級(書評数:561 件)

読書は、登山のようなものだと思っています。読み終わるまでが上り、考えて感想や書評を書き終えるまでが下り。頂上からどんな景色が見られるか、ワクワクしながら読書という登山を楽しんでいます。

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