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DBさん
DB
レビュアー:
数学者たちが挑んだ定理の本
タイトルにひかれて手に取りました。
17世紀の天才学者フェルマーの残した命題に挑戦する数学者の話です。
1993年6月23日、ケンブリッジで行われた講演のシーンから始まる。
プリンストン大学の教授アンドリュー・ワイルズが、数学の難問として三百年以上解かれることのなかったフェルマーの定理を証明したのだ。

「x²+y²=z² 直角三角形において、斜辺の二乗は他の二辺の二乗の和に等しい」
このピュラゴラスの定理は中学くらいで習う普遍の法則だ。
だが「3 以上の自然数nについて、xⁿ+yⁿ=zⁿとなる自然数の組 (x,y,z) は存在しない」というのがフェルマーの定理だ。

このフェルマーという人物は17世紀前半に生きた役人だった。
リシュリュー枢機卿が活躍していた時代と思うと歴史を感じます。
アマチュアの数学者だったフェルマーは、他の数学者たちに自分の定理を証明をつけずに送り付けて「できるものなら証明してみろ」と挑発していたそうだ。
そしてフェルマーは趣味の時間として古代ギリシャのディオファントスが著した『算術』に没頭し、本の余白に自分のアイデアを書き込んだ。
その数なんと48もの命題だったが、後の数学者たちに少しずつ解かれていき、残ったのがフェルマーの最終定理と呼ばれる命題だった。
自作のパズルを世界に自慢するような遊び心が感じられますね。

こうしてはじまる数学者たちの挑戦だが、こんな難問になると誰かが一気に答えを出すのではなく、石をひとつひとつ積み上げて山とするかのように何人もの学者たちの業績がそこにはあった。
数学者たちを紹介し、そして数学の証明問題とはどういうものかを説明していきます。
素人でもわかるように解説してあるので、中高と悩まされた数学の数列の意味がようやく理解できたかも。
地図の塗り分け問題みたいにパズルみたいな問題も出てきて楽しめます。

後半はフェルマーの最終定理を証明した数学者ワイルズに密着し、その定理が新たな数学の発見により解決していく様子が描かれています。
定理に取り組んでいるときの数学者の頭の中って一度覗いてみたいね。
モジュラー形式とか背理法とかって数学的にはよくわからない部分もあるけど、それが理解できなくてもストーリーには問題なかった。
最高に美しい学問は数学なのかもしれないと思わせられました。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2035 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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この書評へのコメント

  1. ぽんきち2020-08-04 09:19

    こんにちは。

    こちらも「新潮文庫の100冊」に入っています。
    よろしければコメントお寄せください(^^)。
    https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no388/index.html

  2. DB2020-08-04 21:11

    (^-^ゞ

  3. No Image

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