三太郎さん
レビュアー:
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これはちょっとアブノーマルな純愛小説かも。
ブックオフの110円の棚で目について手に取りました。タイトルの奇抜さと豊島ミホという見慣れない著者名に引かれたのですが。
著者は1982年生れというからまだ若い方なのですが、小説家としては既に引退しているようです。
小説は女子中学生が主人公のヤングアダルトかライトノベルという分野なのかと思いましたが、読んでいくと別の印象があります。
表題の作品「日傘のお兄さん」では、主人公らはSNSへの聞き込み情報により追い掛け回されます。まだスマートフォンが普及する前(2004~2007年)に書かれたこの小説は先見の明?があるのかも。男性が日傘をさすことへの偏見もありました。世間からはお兄さんは無職で幼児性愛の異常者のように見られます。
物語は島根から東京へ越してきた中学3年のなっちゃんを、なっちゃんが保育園に通っていたころに遊んでくれた、当時は中学生だった「お兄さん」が島根から訪ねて来るところから始まります。幼児誘拐殺人が巷の話題になっていた時だったので、日傘をさして幼児に話しかける若い男が「日傘男」としてSNSの掲示板で追われることに。そして東京から島根のなっちゃんの昔住んだ家への二人の逃避行が始まります。
終盤でお兄さんがなぜ日傘男なのか、彼の幼少期から受けたいじめと疎外感について語られます。同時になっちゃんがどうしてそこまでお兄さんが好きなのかも。ただし、お兄さんがなっちゃんに会いに来た本当の理由はなっちゃんにとって想像もしないものだったのですが。それを聞いてなっちゃんはある決断をします。
物語は決して暗くはないしバッドエンドでもないのですが、一種のアブノーマル?な性愛を扱った物語なので、どういう読者を想定していたのか。一般向けではないかも。でも読後感は悪くないです。埋もれさせるのはもったいない作品でしょう。
著者は1982年生れというからまだ若い方なのですが、小説家としては既に引退しているようです。
小説は女子中学生が主人公のヤングアダルトかライトノベルという分野なのかと思いましたが、読んでいくと別の印象があります。
表題の作品「日傘のお兄さん」では、主人公らはSNSへの聞き込み情報により追い掛け回されます。まだスマートフォンが普及する前(2004~2007年)に書かれたこの小説は先見の明?があるのかも。男性が日傘をさすことへの偏見もありました。世間からはお兄さんは無職で幼児性愛の異常者のように見られます。
物語は島根から東京へ越してきた中学3年のなっちゃんを、なっちゃんが保育園に通っていたころに遊んでくれた、当時は中学生だった「お兄さん」が島根から訪ねて来るところから始まります。幼児誘拐殺人が巷の話題になっていた時だったので、日傘をさして幼児に話しかける若い男が「日傘男」としてSNSの掲示板で追われることに。そして東京から島根のなっちゃんの昔住んだ家への二人の逃避行が始まります。
終盤でお兄さんがなぜ日傘男なのか、彼の幼少期から受けたいじめと疎外感について語られます。同時になっちゃんがどうしてそこまでお兄さんが好きなのかも。ただし、お兄さんがなっちゃんに会いに来た本当の理由はなっちゃんにとって想像もしないものだったのですが。それを聞いてなっちゃんはある決断をします。
物語は決して暗くはないしバッドエンドでもないのですが、一種のアブノーマル?な性愛を扱った物語なので、どういう読者を想定していたのか。一般向けではないかも。でも読後感は悪くないです。埋もれさせるのはもったいない作品でしょう。
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1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。
長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:294
- ISBN:9784101199429
- 発売日:2007年10月01日
- 価格:460円
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