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宮崎駿監督の10作品の主要なモチーフである「風」「森」「城」「海」などを哲学し,私たちが生きる現実世界の本質を解き明かす.作品自体のメッセージに迫りつつ,思考の楽しみを教えてくれる新感覚の哲学入門書.

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
  • ジブリアニメで哲学する 世界の見方が変わるヒント (ピーエイチピーブンコ)【Kindle】
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  • 出版社:PHP研究所
ジブリアニメで哲学する 世界の見方が変わるヒント (ピーエイチピーブンコ)【Kindle】
『風の谷のナウシカ』
「虫」とはなにか?
虫の形状や色は明らかに人間と異なります.つまり人間にないものを持っている.これが生理的に気持ち悪さをもたらすわけです.人には自分とは違うものを排除しようとする本能がありますから.その反面,この違いこそが人間の憧れを刺激し,美を感じさせる要因にもなりうるのです.


『天空の城ラピュタ』
「呪文」とはなにか?
もしすべての言葉が呪文だとすると,本当の呪文のごとく物事を破壊する威力を持った言葉もあり得ますので,注意が必要です.たとえば,「死ね」といわれれば誰もが大きなショックを受けるでしょう.ですから,そんな言葉は使わないほうがいいのです.

「天空」とはなにか?
天空はイデア界に似ているような気がします.いわば現実のアンチテーゼ(対立する理論)なのです.現実の世界にはないものを,人はイデア界に求めます.そうして心を落ち着かせたり,逆に心を躍らせたりするのでしょう.


『魔女の宅急便』
「知らない町」とはなにか?
町を気に入るかどうかは,本当はそこで出逢う人にかかっているのです.でも,皆,最初はそのことに気づきません.


『もののけ姫』
「女性」とは,ツールによって万能になる存在
『千と千尋の神隠し』
「神」とはなにか?
日本人は日ごろ神を意識することはありません.キリスト教やイスラームの盛んな地域の国民なら,日々祈りを口にし,神を意識して生きているかもしれませんが,日本はそうではありません.

 たしかに神教や仏教がありますが,それを意識しな生きている人がどれだけいるかは疑問です.ただ,面白いのは,そんな日本人の多くが,無意識に神を感じているという点です.意識はしていないけれども,神を感じて生きている.

『崖の上のポニョ』
「災害」とはなにか?
 ポニョの世界でも津波が町を吞み込みます.そしてすべてが海の底に沈んでしまいます.にもかかわらず,世界は異常なくらい美しく,存在し続けます.あ以外は日本人にとってあまりにも日常的な非日常なのです.つまり,突然起きるものではあるけれども,決して意外なものでも,まったく予想不可能なものでもありません.
「子ども」とはなにか?
子どもには子どもの論理がある.それを尊重する必要がある.

 これはとても重要なターニングポイントです.なぜなら,子どもはずっと守られてきた存在なので,どこかで「自分も誰かを守ることができる」ということを学ぶ必要があります.この通過儀礼を経ない限り,子どもはいつまでも人に頼り続ける.

『風立ちぬ』
「戦争」とはなにか?
ただ,戦争は忘れてはいけないものです.皆が戦争を忘れてしまった瞬間,戦争はより拡大してしまいます.国も世界も破裂してしまうのです.これもカストルプの表現です.戦争を忘れることこそ,最大の戦争加担といっていいでしょう.

 日本の子どもたちが今自由にお菓子を手にすることができるのは,戦争に勝ったからでも負けたからでもありません.戦争をやめたからです.「戦争」は個人の存在を無化するもの.
皮肉にも,死こそが生の定義なのです.人生の本当の意味は,死ぬ間際までわからないという人がいます.きっとそうなのでしょう.私たちにできるのは,最後の最後まで生きようと試みることだけなのです.

「死」とは,生の定義


本書は宮崎駿作品を題材に、「虫」「呪文」「神」「死」などの概念を問い直し、人間が異質さや言葉、自然、戦争とどう向き合ってきたかを哲学的に読み解いている。作品世界を通して日常では意識しにくい価値観を自覚させる点が印象的だった。アニメを思想の入口とすることで、現実の生き方や倫理を考える契機になると感じた。
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  • 掲載日:2026/05/05
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    取得中。。。