金井美恵子さんが『ちくま』に連載していたエッセイをまとめ、付録をつけた本であります。
最初は毎週、途中から隔週で書くようになったようですが、前の回に書いたことを引き継ぐようにして次の回が書かれていく、どことなくゆるやかにつながって流れていくようなエッセイ集になっています。
書かれた時代が時代なので、「あ~、コロナ禍の頃ね」、「そういうことがあったな」的に読んでいきました。
時事的な話題、時に政治的なこと、あるいは他の著名人の書いたことや発言などが多く取り上げられているようです。
概ね、「まあそうだね」的に読んでいったのですが、時には、「何もそこまで書かなくても」、「そんなにひっかかりますかね?」的なものも感じてしまいました。
金子さんの書くものといえば、以前から歯に衣着せないようなところもあり、そこがまた魅力でもあったのですが、お年のせいもあるのか、同じようなスタイルなのにやや感じが変わってきたように思えるところもありました。
どう言えば良いのか……。以前は同じようなことを書いても、もっとシャキシャキしていたというか、気風の良さのようなカラッとしたものを感じていたのですが、そこがややウエットになってきたような気も。
それは気遣いなのかもしれませんし、ためらいなのかもしれません。
端的に言えばそれは『老い』なのかもしれません。
どちらが良いかは読む側の好みだと思いますが、個人的にはやや残念感も抱いてしまいました。
ご自身でも自分の老いについて触れられている部分もあり、そういうところも含めて、文章って変わっていくんですよねと感じ入ってしまいました。
比較的最近の金井美恵子さんの文章を味わえる一冊ではないでしょうか。
読了時間メーター
□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK)/253ページ:2026/03/21
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