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年齢を重ねるにつれて「死」について考える時間の割合は増えていく

ユードラ・ハニーセットのすばらしき世界
人には「死」が必ず訪れるのだけど、そのことを「平等に訪れる」とは表現し難い。今も世界のあちこちで理不尽な戦争によって亡くなっている人は多くいるし、事件・事故は毎日のニュースになっている。

この物語の中でも、ユードラの母親、妹、あるいはご近所の方、またはペットの猫に訪れた「死」の形は様々で、夫に先立たれ、娘との激しい諍いから精神を病んだまま逝ったり、夫に階段の上から突き落とされ、お腹の赤ちゃんともどもあの世に送られたり、救急車の中で亡くなったり、車に轢かれたり・・・。

それらを体験してきたユードラ・ハニーセットは85歳。身体は思うように動かないし、ガチャガチャと騒々しい世間にはうんざりしている。厭世家と形容するのがピッタリだ。

病院のベッドに寝かされ、たくさんのチューブをつけられて死を待つのはたくさんだ、と選んだ手段が「安楽死」。
と、その頃、お隣に引っ越してきたのは10歳の元気いっぱいの女の子・ローズとその両親。ローズとだんだんと心を通わせるうちに、妻に先立たれたスタンリーという年齢も近い男性との交流も始まり、それまでになかった人々との心の交流が広がっていく。

ユードラの「安楽死」の決心が揺らいだり、より強くなったりしていくとともに、第二次世界大戦から後のハニーセット家の様子も描かれ(お父さんは戦死)、今のユードラの人と成りの形成過程もトレースされる構成になっていて、単にユードラの今を描くより重層的になっているので、そこに本書の良さもあるように思う。

年齢を重ねるにつれてユードラの年齢になっていなくても「死」について考える時間の割合が増えていく。
ユードラの感覚や思考はよく分かるし、厭世的になりつつある。
ユードラにはモンゴメリというネコとクロスワードパズルが近くにはいた、あった。
では・・・? と考えざるをえない。

自然と涙が流れる場面は少なからずある。笑ってしまう場面もある悲喜こもごも作品。
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  • 掲載日:2026/04/18
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