前作のパワーはかなり面白かったが、本作はボリューム感はあったがあまりイケてなかった。
近未来、世界は三人の企業家の支配する会社のテクノロジーによって独占されていた。地球温暖化が進み、滅亡までのカウントダウン状態。
そこで未来を予知する。未来予測AIが終末の発生を告げた時に富豪たちは自分たちだけシェルターに逃げる。そこは南の島、無人島。
これが、その三人の側近、妻、子の陰謀で、彼らを島に閉じ込めて、世紀末を自分たちだけ生き残ったという幻想を信じ込ませ、その間に会社をのっとり世界を救うという未来を創り出す話しだが、実際、そこまで地球環境が追い込まれていたら何もすることはできないし出来たら、その三人の富豪たちがしていたと思う。おもいっきりザル設定な上、その救済策というのも甘すぎて笑えた。
読んでて、さほど楽しい感じはなくて、そこそこ盛り上がるが普通という感想。
富豪たちを排除した人たちを冷静に考察すると、ただのクーデターにしか思えない。社長の消えた・・・夫の会社の株を空売りする妻って善人なのかな。
聖書を引用した言葉にこういうのがあった。
>>神々の舘の入り口には甕が二つ置いてある。ひとつには悪運がもう一つには幸運が入ってある。ゼウスはこの甕に手を入れ、わたしたちに幸運と悪運をばらまく、ある者には幸運と悪運が、そして、ある者には悪運ばかりがふりかかるのだ。
本書では、これは資産や社会的な地位により未来は買える。
その他の人たちは死ぬ。
そういう世紀末を想起している。
その富豪たちを排除し、そのテクノロジーを使い絶滅確実な人類の未来を変えるという計画が本書の筋である。
この言葉は人の本質をついている。
>>道具があれば使いたくなる。道具は新たな恐怖と新たな脅威をささやく。こちらが持っているなら、あちらも持っているはずだと。
シェルター無人島に連れて行かれた三人の富豪は疑心暗鬼になり、自分の死を装うなどをし孤立していく。たぶん、あの三人が協力したら島から出られたし外の世界で発生した陰謀にも気づいたのだが、人を信じられないから、こうなる。それは自分たちが持っている人だから、そうなるのだと思った。自分なら裏切る。相手を殺そうとする。だから相手もそうするに違いないと思う。ここに僕は人間の悲しい性を見た気がした。
2026 4 10
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