本が好き!ロゴ

閉じる

小説は、ありきたりな感情をいくら強調しても感動を呼ばない。そんな世界を破壊して、卓越した行動、才気を紡ぎださないと。それが、作家としての力量だ。

恋形見 (文芸書)
 11歳の時、主人公のおけいは、母親に嫌われ、思いっきりぶん殴られる。
おけいは日本橋旅籠町の大物問屋、巴屋の長女。家を飛び出し、泣きながら通りを走っていると、燐家の小間物問屋の長男、放蕩息子、問題児の倫太郎が通りがかり、暖かく慰めてくれ、螺鈿細工の櫛をくれた。

 そして、おけいは倫太郎の励ましに、巴屋を越後屋や白木屋に並ぶ、倫太郎と一緒に大店にすると決意する。しかし、その時、肝心の倫太郎は家をでて失踪、行方がわからなくなる。

 このおけいの才気溢れるアイデアとそれらを実現してゆく情熱、もちろんこれは、作者山口さんから生まれるアイデアが必要なのだが、それらが素晴らしく、感動につぐ感動となる。少し最後が残念な結末だったが。

 倫太郎がおけいに言った言葉が印象に残る。
「なあ、おけいちゃん、苦労ってやつは、それを背負えるだけの強えもんの肩に掛かってくるのさ。弱え奴に背負いきれねえ苦労を背負わせたら目もあてられねえ。」
 この言葉を全力で体現するおけいは本当に魅力いっぱいである。
  • 本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
  • 掲載日:2026/04/30
投票する
投票するには、ログインしてください。

この書評の得票合計:3

参考になる:3票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

    No Image

    コメントするには、ログインしてください。

    恋形見 (文芸書) の書評一覧

    取得中。。。