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10年以上前のことながら、小説家として歩んできた道のり、独自の執筆作法を獲得した方法など、惜しげなく開陳。村上春樹の潔さ、かっこいいぞ。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
  • 職業としての小説家 (Switch library)
  • by
  • 出版社:スイッチパブリッシング
職業としての小説家 (Switch library)
村上春樹の目指した文体とは、
「小説言語」「純文学体制」みたいなものからできるだけ遠ざかったところにある日本語を用いて、自分自身のナチュラルなヴォイスでもって小説を「語る」こと

なるほど、納得。
『とんがり焼の盛衰』という短編小説を読むと、彼の言う「純文学体制」を「とんがり製菓」とか「とんがり烏」に託して、思いっきりおちょくってるのですが、エッセイでもこうやって堂々と書いてしまっているんですね。

第一作の『風の歌を聴け』では、いったん書いたものを見直すための策として、「英語で書いてから」元の日本語版を書き直していたとは、初めて知りました。
よく「翻訳調の文体」と言われますけれど、実際にそのとおりの行動をとられていたとは。

小説作法として印象深かった箇所を抜き書きします。
小説を書いているとき、「文章を書いている」というよりはむしろ「音楽を演奏している」というのに近い感覚がありました。僕はその感覚を今でも大事に保っています。それは要するに、頭で文章を書くよりはむしろ体感で文章を書くということなのかもしれません。リズムを確保し、素敵な和音を見つけ、即興演奏の力を信じること。

これまた、おおお、なるほど!と膝を打ちました。

自己規定として、彼は「長編作家」であると宣言されています。
僕はもともとが長距離ランナー的な体質なので、いろんなものごとがうまく総合的に、立体的に立ち上がってくるには、ある程度のかさの時間と距離が必要になります。本当にやりたいことをやろうとすると、飛行機にたとえれば、長い滑走路がなくてはならないわけです。

さすがですねえ。
体験談と比喩の使い方、秀逸です。

「規則性をもって」生活することが、基本。
「長い仕事をするときには、規則性が意味を持ってくる」から。

海外に居を移さなくては、雑音がうるさくて仕事にならなかった、といった話も出てきますが、きっとバッシングをさんざん受けるなどした後に辿り着いた境地なんでしょうねえ。

よくできた本であることは確かです。なるほど納得!と感じたこと、多々でございました。
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  • 掲載日:2026/05/18
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