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TAJIRIという名は想像以上にワールドワイドなのだ!

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
  • プロレスの味わい 世界から地方に来て幸せになった男
  • by
  • 出版社:西日本新聞社
プロレスの味わい 世界から地方に来て幸せになった男
TAJIRIは元WWEのレスラーだから、日本での知名度よりも世界での知名度の方が高いらしいのです。WWEのプロレスは世界中で放映されていたから、想像もできないくらい様々なところから試合のオファーが来ます。世界のさまざな場所でプロレスの興業が行われていますが、そのほとんどは零細な団体です。この本の中で、そういうローカル・プロレス団体が数多く紹介されていますが、一番少人数だったのは、代表者1人だけが専属のレスラーで、それ以外はいろんなところから選手を招聘して興行をやっているなんてところすらあります。

オファーを受けると、その団体は選手の就労ビザを取り、飛行機のチケットを送ってきます。飛行機が到着すると、そこに迎えの人がやってきます。向うはTAJIRIの顔を知っているけれど、たいていの場合、相手はどんな人なのかわかりません。時々、「変な奴が来て、誘拐されたらどうしよう?」なんて思うけど、「いやいや、こんなオヤジ誘拐してもしょうがないだろ」と考えるのです。

迎えに来た男(ほとんどの場合、団体の代表者)が車で宿泊地まで送ってくれるのですが、「ところで、俺の試合相手は誰?」と聞くと、運転していた男が「俺だよ!」ということもあるんですって。

TAJIRIは、プロレスを通していろんなことを学んできました。たとえば、ここは相手のホームだから、自分はヒール(悪役)として戦おうと思っていたのに、相手がヒールとして出てきたら、直ちに方針変更しなければなりません。臨機応変、変幻自在、それが大事なんです。

「きのうロスの空港で嫁さんと2人でサンドイッチとコーラを買ったら6000円もしたよ」
「普通の人はどうやって生活してんの?」
「できないんだよ、だからホームレスがどんどん増えてる」
「日本の物価が激安に感じるでしょ?」
「そこなんだよ! もうな、日本はヤバイ! 海外に出たことのない人にはピンとこないだろうけど、もう完全にヤバいんだよ!」
それは海外に出るたび常に感じていた。いまや日本より断然物価の安い国なんてアジア圏にすら一つもない。そして我々日本人にとって問題の核心は、アメリカの物価高ではなく絶対にそっちなのである。

考えるレスラーTAJIRIは、日本を憂うことも忘れません。

TAJIRIが大好きなワッフルハウスという、ファミレスのようなアメリカのお店でも、最近は高くてビックリしちゃうそうです。食べ物を通じて各国の話をしているところもTAJIRIらしくて面白いです。


TAJIRIが他のレスラーと違う点は、指導者でもあるという所です。彼自身がプロレスラーになりたいと思ったころ、身体が大きくない人は大手団体では採用されませんでした。だから、彼は頭を使うことでプロレスラーになりました。その考え方を、世界中の若いプロレスラーに教えています。だから、試合なしで「プロレスのワークショップ」だけで海外へ行くこともあるそうです。これは凄いことだ!

TAJIRIは、現在九州プロレスに所属していますから、その活動に支障が出ない範囲で様々なリングに上がっています。と同時に、世界のいろんな場所から九州プロレスに出たいという若者を紹介することもあります。

熊本出身のTAJIRIにとって、九州プロレスはとても居心地が良い場所のようです。よかった、よかった。
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  • 掲載日:2026/05/18
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