DBさん
レビュアー:
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孤独による影響についての本
孤独を感じている人は集中力や判断力が損なわれ、不眠症や免疫力の低下、心臓血管の機能の低下といった健康に対する深刻な問題を抱えやすいそうです。
一人でいるかどうかという物理的な問題ではなく、他者とのつながりを求める自分の要求に対して現実に満足できていない状態を孤独を感じる、もしくは社会的なつながりを感じられない状態だとしている。
もともと遺伝や環境要因によって社会的なつながりに対する願望の強弱は人それぞれだが、初期の人類は集団でいた時の方が生存の可能性が高かったため社会的なつながりを求める傾向が遺伝により刷り込まれていることを考えると、自然の欲求なのだろう。
著者はこの傾向を面白いジョークで描いている。
「動物園の飼育係にホモ・サピエンスに適した檻を作ってくれと頼んだら、考慮に入れるべき事項のトップに群居せざるをえないことをあげるだろう」と。
孤独感を感じやすい人は社会的認知が歪んで自己調節の能力が弱まってしまう。
そのせいで他人の意図がうまく読めなかったり、孤独に対する恐怖のあまり他人を非難したり必死で他人を喜ばせようとすることもある。
これが続けば他人から面倒な求めすぎる人間というレッテルを張られて距離を取られてしまい、さらに孤立していくという負のスパイラルに陥っていくこともあるそうです。
逆に社会的認知が歪んでいる人間が孤立するため孤独感を感じるのではないかと思ってしまったが、ランダムに三つに分けたグループの一つには「他人と実りある関係を作っていけるタイプです。友情も結婚生活も幸せに続きます」と伝え、もう一つには「今は友人や恋人がいるかもしれませんが、いずれは孤独になるでしょう」と伝える。
最後の一つには「事故にあいやすいタイプでしょう」と不幸対象条件としてそれぞれにつ脳テストをした結果、将来孤独になると言われたグループは認知能力の低下がみられたそうです。
人によって耐性は違うかもしれないが、誰もが孤独な状況に置かれればストレスを感じ抑うつ傾向になったり認知能力が低下する危険があるということはよくわかった。
大人でさえも孤独になれば心身に影響が出るが、これが子供だとどうなるか。
アカゲザルの子供を母親から引き離して育てると、精神と情動の両面で発達が遅れ群れに戻されても社会的な能力を取り戻すことはできなかった。
ルーマニアのチャウシェスク政権下で大量に出た捨て子も、運動や精神能力が送れており、大人になっても他者を気にかける能力に欠けていたという。
こうした社会的なつながりが及ぼす影響について、人間だけでなくチンパンジーやボノボの研究で得られた知見も引用して細かに書かれていた。
個が尊重され社会的なつながりが希薄になりつつある現代において、こういった本は様々な可能性を提示していて興味深い。
キルケゴールは死に至る病を絶望と定義していたが、ホモ・サピエンスの遺伝的性質を見る限り、死に至る病とは孤独に他ならないと思わせる本でした。
一人でいるかどうかという物理的な問題ではなく、他者とのつながりを求める自分の要求に対して現実に満足できていない状態を孤独を感じる、もしくは社会的なつながりを感じられない状態だとしている。
もともと遺伝や環境要因によって社会的なつながりに対する願望の強弱は人それぞれだが、初期の人類は集団でいた時の方が生存の可能性が高かったため社会的なつながりを求める傾向が遺伝により刷り込まれていることを考えると、自然の欲求なのだろう。
著者はこの傾向を面白いジョークで描いている。
「動物園の飼育係にホモ・サピエンスに適した檻を作ってくれと頼んだら、考慮に入れるべき事項のトップに群居せざるをえないことをあげるだろう」と。
孤独感を感じやすい人は社会的認知が歪んで自己調節の能力が弱まってしまう。
そのせいで他人の意図がうまく読めなかったり、孤独に対する恐怖のあまり他人を非難したり必死で他人を喜ばせようとすることもある。
これが続けば他人から面倒な求めすぎる人間というレッテルを張られて距離を取られてしまい、さらに孤立していくという負のスパイラルに陥っていくこともあるそうです。
逆に社会的認知が歪んでいる人間が孤立するため孤独感を感じるのではないかと思ってしまったが、ランダムに三つに分けたグループの一つには「他人と実りある関係を作っていけるタイプです。友情も結婚生活も幸せに続きます」と伝え、もう一つには「今は友人や恋人がいるかもしれませんが、いずれは孤独になるでしょう」と伝える。
最後の一つには「事故にあいやすいタイプでしょう」と不幸対象条件としてそれぞれにつ脳テストをした結果、将来孤独になると言われたグループは認知能力の低下がみられたそうです。
人によって耐性は違うかもしれないが、誰もが孤独な状況に置かれればストレスを感じ抑うつ傾向になったり認知能力が低下する危険があるということはよくわかった。
大人でさえも孤独になれば心身に影響が出るが、これが子供だとどうなるか。
アカゲザルの子供を母親から引き離して育てると、精神と情動の両面で発達が遅れ群れに戻されても社会的な能力を取り戻すことはできなかった。
ルーマニアのチャウシェスク政権下で大量に出た捨て子も、運動や精神能力が送れており、大人になっても他者を気にかける能力に欠けていたという。
こうした社会的なつながりが及ぼす影響について、人間だけでなくチンパンジーやボノボの研究で得られた知見も引用して細かに書かれていた。
個が尊重され社会的なつながりが希薄になりつつある現代において、こういった本は様々な可能性を提示していて興味深い。
キルケゴールは死に至る病を絶望と定義していたが、ホモ・サピエンスの遺伝的性質を見る限り、死に至る病とは孤独に他ならないと思わせる本でした。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:374
- ISBN:9784309245065
- 発売日:2010年01月20日
- 価格:2940円
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