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はなとゆめ+猫の本棚
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上司の心情を忖度して非情な行動をする。しかし、上司からは突き放される
 中編集。

 会社に入社した頃、職場は軍隊の雰囲気があった。会社の製品が不況で売れなくて、月末最終日ノルマが未達成で疲れ切って夜11時に会社に帰ってくると、まだ部長が在籍していて、ノルマ未達成を報告するとこづかれ、鬼の形相で、もう一回注文取りに行ってこい。店の社長が寝ていても、たたきおこしてでも注文をとれ。と殴られ、深夜また販売店に行かされた。

 こうなると、脅かされているほうは、完全に思考が停止。理屈の有無もなく会社をでなければならない。

 さすがにこんな職場は今はあまりないだろうと思っていたが、近畿財務局の赤木さん、文書の改竄を強制されて、抗しきれず、挙句に自らの命を絶った。

 幕末人斬りで名を馳せた、薩摩の田中新兵衛、肥後の河上彦斎、そしてこの物語の主人公土佐の岡田以蔵。

 以蔵は土佐藩の足軽。藩士に階級が3つある。上士、郷士、足軽。この3身分はきっちり別れていて、衣服、帯刀基準、使う言葉がすべて異なる。上士、郷士は足軽を同じ人間とは認識していない。足軽には教育も与えられず、殆ど文盲。

 以蔵は剣術を身につけたかった。しかし教えてくれる人は無い。そこで、剣道場を開いた土佐勤皇党の武市半平太の道場に通い、その強さを見出され、武市について江戸、京都に行く。以蔵は自分の人生の師として武市に心酔し共に行動する。

 武市は毎晩同じ志を抱く仲間と熱い議論をする。以蔵は全く内容は理解できない。しかし、時々敵とする人間の名前が飛び交う。人生の師と敵対する人は、殺害せねばならないと思い、議論ででた敵と思われる人間を全部以蔵は殺してしまう。

 当然その結果を武市が知れば、よくやったと褒めてもらえる以蔵は信じる。

 しかし以蔵を武市は避け、人間として扱わない。邪険にして遠ざける。
 徹底的にむしけらのように扱われ、絶対的に以蔵と武井には交わってはならない壁がある。

 そして、以蔵は捕まり死刑となる。その前に武市に対し、復讐をする。
そうであっても、無垢で文盲の以蔵の生きざまは切ない。
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はなとゆめ+猫の本棚
はなとゆめ+猫の本棚 さん本が好き!1級(書評数:6228 件)

昔から活字中毒症。字さえあれば辞書でも見飽きないです。
年金暮らしになりましたので、毎日読書三昧です。一日2冊までを限度に読んでいます。
お金がないので、文庫、それも中古と情けない状態ですが、書評を掲載させて頂きます。よろしくお願いします。

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