レビュアー:
▼
濱口和久氏の『この国は災害から国民を守れるのか 「想定外」でも対応できる防災立国へ』を読んで……。「防災」も「防衛」も「防虫」も「防草」も「防共」も同じことと痛感しました。
1968年生まれの濱口和久氏の『この国は災害から国民を守れるのか 「想定外」でも対応できる防災立国へ』(並木書房)を読みました。帯に「正論新風賞」受賞記念とあります。
著者は防衛大学校時代(1993年)、フジサンケイグループ主催の土光杯(弁論大会)に出たことがあり、「産経新聞社杯」を受賞したことがあったという。それから著者は自衛官となり、民間で活動し、産経新聞の「正論」執筆陣となり、今回の「正論新風賞」を受賞したわけです。
防大生時代の懸賞論文も収録されています。1993年当時ですから、自衛隊のPKO派遣をめぐる憲法論争などに触れつつ改憲の必要性を訴えていました。改憲は、30年以上経過した今もまだ実現していません。忸怩たる思いを抱いているようです。
======================
本書は、産経「正論」などで書かれた論説などをまとめた一冊。
冒頭、1755年に発生した「リスボン地震」によるポルトガルの衰退を例示しつつ、日本にとっても「明日は我が身」となりうる状況を論じています。首都直下地震や南海トラフ巨大地震、富士山の噴火などが「同時」に発生すれば、一時的にポルトガルと同じ事態に日本が見舞われる可能性があるからです。
大東亜戦争(太平洋戦争)に敗れ、「空想的平和主義」が蔓延した日本。「防衛」を真剣に考えることはしばしなくなったものの台風・水害をはじめ、近年は阪神大震災、東日本大震災を体験し、「防災」に関しては無関心ではなくなりました。防災教育の推進に反対する人はマレでしょうが、いまだに「防衛」に関しては杓子定規な反対論もあります。
防災の諸活動に自衛隊が協力するのも近年になってようやくタブーにはならなくなりました。
======================
しかし、長年の防衛軽視の体制があったために、本書でも指摘されているように「シェルター後進国」のままです。核シェルターはむろん、ミサイル攻撃に耐えることのできる程度の地下壕、地下シェルターすらビルにはほぼ設置されておらず、地下鉄なども防災・防衛態勢が確立された形でのシェルターとして利用できるところもマレでしょう。
本書でも指摘されていますが、病院船も日本にはありません。よもや、侵略のために利用されるから病院船反対なんて言う人はいないと思いますが、豪華客船を病院船としてチャーターすることが可能ならまだしも?
「考えられないことを考える」ことが「防災」や「防衛」のために一番必要な考えでしょうが、その知的訓練は日本ではなされているとはいえません。言霊信仰もあり、縁起でもないことは口に出すのも憚れる状況です。それではいけないということを、さまざまな角度から論じている本でした。
沖縄まで出掛けて、荒波のなか、小舟に乗って怖い「防災」体験をするよりも、こういう真っ当な本を読んで座学に励むほうがまだマシかもしれませんね。
======================
余談ですが。
これからの季節、「防虫」も大事ですね。ゴキブリホイホイの設置など。庭のある人は「防草」も必要。枯葉剤を使うと攻撃的?侵略的? ダイソーで防草シートを110円で買って設置するだけでもかなり違うようです。学校教育の場では「防共」(反共)も大事ですね?
では、ごきげんよう。
投票する
投票するには、ログインしてください。
現代史関連の本や雑誌が好きです。そうした本の紹介をしていきたいと思います。皆様の読書の参考、そんな本があるのかとの発見があれば幸いです。
- この書評の得票合計:
- 0票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:並木書房
- ページ数:0
- ISBN:9784890634736
- 発売日:2026年05月20日
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。
『この国は災害から国民を守れるのか』のカテゴリ
- ・文学・小説 > 評論
- ・文学・小説 > ノンフィクション
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 政治
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 国際
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 地域・都市
- ・政治・経済・社会・ビジネス > メディア
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会問題





















