本書を読もうと思ったのは、私もサボテン大好き人間だからだ。度重なる引っ越しなどで、今は殆どサボテンが無くなってしまったが、かってはかなりの数を栽培していた。
私のサボテン趣味は2期に分けられると思う。最初の第一次ブームは、高校生のときだ。あの頃は今よりずっとサボテンが安かったので、高校生の小遣いでも結構種類を揃えることができた。ところが、山口県の山間部から京大へ入学したため。そこで終わりになってしまう。なにしろ当時の学生アパートは4畳半一間が普通。当然のごとくベランダなどない。だからいくらサボテンが強い植物でも、とても栽培できるような環境にはなかった。
第二次ブームは私が就職し結婚した時だ。狭い社宅暮らしとはいえ一応ベランダらしきものがついていた。第一次ブームと違うのは、クジャクサボテンに夢中になったところだ。なにしろクジャクサボテンの花はとても奇麗なのだ。色々な色の花が咲くものを集めて悦にひたっていた。値段も今よりずっと安かったので、貧乏学生から就職して経済状況が大幅に改善したこともあり、短時間でかなりの数を揃えることができた。これも諸事情によりいつの間にかなくなってしまったが、私のサボテン好きが無くなった訳ではない。
さて、本書の著者であるが、名古屋大学農学部で修士まで学んだあと、岐阜放送での勤務を経て、中部大学大学院の博士後期課程に入り、現在は中部大学応用生物学部准教授である。専門は園芸学、植物生理学とあるが、本書を読む限りサボテンの研究が種になっているようだ。つまり同士なのだ。なにしろサボテンは面白い。形が面白いうえに、色々な環境に適応できる。私はサボテンにあまり水やりをしてはいけないと思っていたが、それは種類によるようだ。なにしろ高温多湿の熱帯雨林で繁殖するものもあるというのだ。それに、ウチワサボテンは水耕栽培もできるという。おまけに花は美しい。食べてることもでき、CO2も固定できるので地球温暖化対策にもなるというこれからの地球には必要なものだろう。
本書に書かれているのは、著者がサボテンを求めて訪れた場所の記録、サボテンの生態、サボテンに関する研究の様子など。いずれもなかなか興味深い。
ただサボテン栽培の楽しみの一つである接ぎ木に関しては全く書かれていない。本書にあるようにサボテンの特徴の一つとして挿し木が容易にできる。九州や四国の海岸線ではウチワサボテンが大量に繁殖しているという。でもサボテンは接ぎ木も容易だ。接ぎ木をすれば成長も促進される。ただ台木には適した種類がある。何がサボテンかいうことはあまり知られていないと本書には書かれている(p120)。サボテン以外の植物にも似たようなものがあるからだ。しかし私に言わせれば,サボテンであるということを判断するのは簡単なことだと思う。代表的な台木となるサボテンに接ぎ木ができればそれもサボテンだというのは間違いない。逆は真ならずで、接ぎ木ができないからサボテンではないと判断するのは早計である。単に相性の問題かも知れないからだ。学術研究なら厳密性が求められるのだろうが、実用的にはこれで十分である。
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