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『知性』とは?
「偽善」「正義」に騙されないための読書とは?
岩田温氏の『超越する知性 「正義」に騙されないための読書』(扶桑社新書)を読みました。
この本は2018年に刊行された『政治学者が実践する 流されない読書』 (育鵬社)を解題し、大幅な加筆・再編集したものです。そのときの「目次」は以下の通りでした。
【(旧版)の目次より】
第1章 読書は「人をして善き方向に向わしめる」可能性がある
第2章 初めて読む人にとっては古典も最新作
第3章 やってはいけない! ヒトラー流“自分の世界観を強化する"読書
第4章 「活字の舟」に乗って
第5章 本の世界へ旅をはじめよう
第6章 不条理なこの世界で私たちは何のために生きるのか
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【今回の新版の目次】は以下の通りです。
第1章 人は「正義」を求める
「正義」という狂気…ヒトラーの読書法/大衆運動に参加する人々
第2章 何のために本を読むのか
第3章 よき本は自己との対話を深める
よき本との出会い/童話から長編まで/観てから読むか、読んでから観るか/自分のための一冊を探す/中国の古典の魅力
第4章 本を通じて本を知る
第5章 苦悩ある人生を生きるために
「そのために死ぬ」ことができるか/因果応報と不条理
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旧版がいま手元にないので、細かな比較照合できませんが、今回の新版は旧版をかなりブラシュアップされたものだと思います。とはいえ、若干重複部分もあります。まずは、旧版を読んだ時の読後感を当時綴っていたので、それを下記に補筆しながら再録しつつ、新版への読後感にかえさせていただきます(新版も拝読しました)。
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本書(旧版)前半では、クリスティや松本清張などの推理小説も出てきますが、だんだんとマジメな本になっていきます。私も好きなオーウェルやトニー・ジャットやエリック・ホッファーや渡部昇一さんの本も出てきます。
岩田さんは、高校時代に、渡部さんの本『渡部昇一 青春の読書』(ワック)を読んで、感激のあまり感想を送ったところ、返事をもらったといいます。「岩田君の大成を期待しつつ」と書いてあったということ。そのひとことに発奮して、ますます読書に励んだとのことです。
『レーニン全集』まで少しずつ読んでいるというからすごいですね。
「彼(レーニン)の主張にはまったく賛同しませんが、歴史を動かした意見とはどういうものだったのかを考える際に、非常に参考になる」からだという。なるほど。
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「自分自身を変えてしまうような本」に遭遇することの重要性も指摘しています。小泉信三が『読書論』 (岩波新書)の中で、そういう趣旨のことも指摘しているという。この本、学生時代に一読したのですが……。
そして岩田さんはこう言います。
「本を読むのが好きだという人、読書家という人のほとんどは、こうした自己自身が変わった、成長したという感覚を味わったことがある人です。読書を通じて自己が変わったという感覚を味わったことのない人は、まだまだ読書経験が浅いといっても過言ではありません」
トルストイの『戦争と平和』やドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』とか……。
なるほど。トー・クーンの『女教師』 (フランス書院)を読んで、「自分自身が変わった」「成長したという感覚」を味わった、「女教師への認識が転換した」などという人もいるとは思いますが、そういうのは邪道なのかもしれません。
いやいや、人それぞれ。ある人にとっては「名著」であっても、別の人にとっては「悪魔の書」ということもありえます。「名著」は「迷著」でもあるのです。
私もジョージ・オーウェルの本(『オーウェル著作集』平凡社)を読んでいた時に「自分自身を変えてしまうような」体験をしたこともあります。ある政治学者の本を高校時代に読んで閃いたことも?
オーウェルはオーウェルでも、「ORWELL」ではなく「OL」ということで、宇能鴻一郎氏の『OL日記』 (講談社)を「自分自身を変えてしまうような本」だったと、挙げる人もいるかもしれませんが、それって、あまり尊敬はできない?
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冗談はともかくとして、岩田さんの本は、読みごたえのある読書論でした。
(旧版)の巻末に「本書で紹介した書籍」一覧が出ています。私レベルですと、「積ん読」も含めて、「読んだ本」とあわせてマーカーを付けると半分ぐらいに色はつきますが……。
ここ(旧版)に出てこない本で、私にとって、10代、20代に読んで「自分自身を変えてしまうような本」といえば……。
ジャン・フランソワ・ルヴェルの『全体主義の誘惑』(新潮社)、『民主主義国の終焉』(芸艸堂)、ヒルティの『幸福論』『眠られぬ夜のために』、ギッシングの『ヘンリ・ライクラフトの私記』、セネカの『人生の短さについて』、ゲーテの『ヘルマンとドロテーア』とか‥。マーク・トーウェンの『不思議な少年』『人間とは何か』 (いずれも岩波文庫)……などがあります。
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新版には、「私は本物の「読書論」と出会った。本書は、読者の人生の「ど真ん中」を立てるに違いない」「読書には本物と偽物がある。本書は「読書論」の本物と言っていい。本物だけがもつ真の知性が迫って来るのだ」との執行草舟氏の推薦の言葉が帯に記されています。同感です。
人間、死ぬまで読書あるのみですね。
では、ごきげんよう。
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現代史関連の本や雑誌が好きです。そうした本の紹介をしていきたいと思います。皆様の読書の参考、そんな本があるのかとの発見があれば幸いです。
この書評へのコメント

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- 出版社:扶桑社
- ページ数:0
- ISBN:9784594102821
- 発売日:2026年04月24日
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