ムーミン2号さん
レビュアー:
▼
二足歩行に酒までくらう豚さんは滑稽だけども・・・
ジョージ・オーウェルの『動物農場』を読みたいと思った時、いろんな出版社からいろんな訳者のいろんな本が出ていて、どれにしよう? と迷ってしまった。
ネットで聞いてみればとそれなりの注文を付けて検索したところ、世評高いものは別ではそうでもなかったりとバラバラなので、ちょうど訳が金原瑞人さんでイラストまでついているという私にとってはまたとない本があって求めたのが本書。
1 二本足で歩く者はすべて敵である
2 四本足で歩く者、翼を持つ者はすべて仲間である
3 動物は服を着てはならない
4 動物はベッドで寝てはならない
5 動物は酒を飲んではならない
6 動物はほかの動物を殺してはならない
7 すべての動物は平等である
これは、人間に使役されていた農場(「お屋敷農場」と呼んでいた)を豚のメイジャーがかつて唱え、同じく豚のスノーポールとナポレオンによってなされた人間を追いやる事業成功の後、掲げられた「動物主義」の教義である。
しかし、ご承知のように、あるいはご想像のとおり、どの世界にも平等は保たれることはないし、言葉の綾、といえば聞こえはいいが、要するにご都合主義的な解釈によって上の7つは次々に反故にされていく。
それまで指導者として君臨してきたナポレオンが明日をも知れぬ命となっていると宣伝部長たるキーキー(もちろん、豚さんです)が蒼白になって知らせにきたのは、人間が使っていた家は使わないと約束していたにもかかわらず、豚は特別頭を使うから静かな空間が要るとそこに入り、見つけたアルコール飲料をしこたま飲んだ次の日のことだ。なんのことはない、二日酔いになっただけである。
あるいは、指導者たる豚さんたちがベッドで寝ていると噂がたったとき、この動物主義教義においてはそう書いてあるはずだが、本当はシーツを敷いたベッドで寝てはならないなんだ、とキーキーが説明する。
まぁ、だれもこの教義についてはうろ覚えなのがいけないことはいけないのだが(彼らはそれほどのメモリーを備えていなかったらしい)。
そして一番笑ったのは、身に衣服をまとい、二本足で豚さん一族が出てきた場面である。笑う、と言っても可笑しくて笑うのではないことは言うまでもないだろう。
レーニンが死去し、スターリンが全権を握った時代のソ連を一種の寓話にまとめようとオーウェルが著したのは1945年。
だからと言って、社会主義とか共産主義の社会を糾弾しようとか、やり玉にあげようというそんな狭量な態度で書かれたものでないことは一読了解されることだろう。
私が一番想起したのは既に解散させられたある宗教教団だが、現代社会においても「権力」を握ってしまったほんの一握りの人間が引き起こす国家単位の暴挙を思うにつけ、人間の愚かさ=本質なんだろうか、などと悲壮感に囚われてしまう。
ネットで聞いてみればとそれなりの注文を付けて検索したところ、世評高いものは別ではそうでもなかったりとバラバラなので、ちょうど訳が金原瑞人さんでイラストまでついているという私にとってはまたとない本があって求めたのが本書。
1 二本足で歩く者はすべて敵である
2 四本足で歩く者、翼を持つ者はすべて仲間である
3 動物は服を着てはならない
4 動物はベッドで寝てはならない
5 動物は酒を飲んではならない
6 動物はほかの動物を殺してはならない
7 すべての動物は平等である
これは、人間に使役されていた農場(「お屋敷農場」と呼んでいた)を豚のメイジャーがかつて唱え、同じく豚のスノーポールとナポレオンによってなされた人間を追いやる事業成功の後、掲げられた「動物主義」の教義である。
しかし、ご承知のように、あるいはご想像のとおり、どの世界にも平等は保たれることはないし、言葉の綾、といえば聞こえはいいが、要するにご都合主義的な解釈によって上の7つは次々に反故にされていく。
それまで指導者として君臨してきたナポレオンが明日をも知れぬ命となっていると宣伝部長たるキーキー(もちろん、豚さんです)が蒼白になって知らせにきたのは、人間が使っていた家は使わないと約束していたにもかかわらず、豚は特別頭を使うから静かな空間が要るとそこに入り、見つけたアルコール飲料をしこたま飲んだ次の日のことだ。なんのことはない、二日酔いになっただけである。
あるいは、指導者たる豚さんたちがベッドで寝ていると噂がたったとき、この動物主義教義においてはそう書いてあるはずだが、本当はシーツを敷いたベッドで寝てはならないなんだ、とキーキーが説明する。
まぁ、だれもこの教義についてはうろ覚えなのがいけないことはいけないのだが(彼らはそれほどのメモリーを備えていなかったらしい)。
そして一番笑ったのは、身に衣服をまとい、二本足で豚さん一族が出てきた場面である。笑う、と言っても可笑しくて笑うのではないことは言うまでもないだろう。
レーニンが死去し、スターリンが全権を握った時代のソ連を一種の寓話にまとめようとオーウェルが著したのは1945年。
だからと言って、社会主義とか共産主義の社会を糾弾しようとか、やり玉にあげようというそんな狭量な態度で書かれたものでないことは一読了解されることだろう。
私が一番想起したのは既に解散させられたある宗教教団だが、現代社会においても「権力」を握ってしまったほんの一握りの人間が引き起こす国家単位の暴挙を思うにつけ、人間の愚かさ=本質なんだろうか、などと悲壮感に囚われてしまう。
お気に入り度:









掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
容姿が似ているため、ムーミンと呼ばれています。
いろいろと読みますが、海外文学と児童文学が好みでしょうか? マンガも読みますが、手塚治虫に偏っています。
もう半世紀以上生きていますので、それなりの感想を書いていきたいです。某サイトでは255文字しか書けないので、いっぱい書きたいときはこちらを大いに利用させていただきます。
高知県に在住。出身は広島県。男性。
- この書評の得票合計:
- 0票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:バイ インターナショナル
- ページ数:0
- ISBN:9784756255600
- 発売日:2023年10月18日
- 価格:1980円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。
『絵物語 動物農場』のカテゴリ
- ・文学・小説 > 文学
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 政治
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 国際
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会問題
- ・人文科学 > 哲学・思想
- ・人文科学 > 倫理・道徳
- ・趣味・実用 > 自己啓発





















