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「伝えること」「見え方」「プライバシーとは?」自分の深い部分に問題提起された本。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!2級
ドキュメント
港かなえさんの小説というと、ドロドロしたダークな感じのものが多いのだけれど、この「ドキュメント」という小説は、清々しさと一生懸命にギリギリのところで頑張っている高校生たちの姿、それゆえに悩み、時には暴走しているように感じた。帯には興奮と感動の高校部活小説と書かれている。

青海学院の放送部と陸上部の生徒を軸に書かれている。青海学院はスポーツ推薦がある一方、OBの職業やテストの頻度などから学力も高い、文武両道の高校だ。高校生の友情や恋愛を絡めた青春物語で、テーマとしては「伝える」。

「どう伝える?」「伝える部分をどう選ぶ?」「どんな意図で伝える?」「誰に伝える?」「誰に共感してほしい?」これは、中高生だけでなく、大人にとっても大きなテーマである。私だけでなく、「伝えること」「伝わり方」に悩む人は多いと思う。

私も書評という体裁で「伝えて」いる。この「ドキュメント」という小説のどの部分を切り取って、書評を書くかということも、この本を読んだあとだけに、いつも以上に考える。

第1章のタイトルになっているドローン。このドローンにスマホを接続し動画を撮影している。上から撮るものだから、普段の人の目とは違う見え方のものだ。
カメラも撮っているときには意識しないものが写っていたり、自分の目で見るのと、カメラを通して見るのとでは全く違う。また、カメラの写真も撮ったときには気づかなかったことが、時間を置いて気がつくことがある。
ドローン撮影とカメラでは、切り取る角度が違うのだ。伝えることも、どの角度から伝えるかが非常に重要で、そういう意味で、ドローンは、この小説を象徴するものだなと思った。

そしてこの小説はコロナ禍の2020年に書かれている。本では「コロナ」とは書かれていないが、学校が休みになり、大会がなくなったことが書かれている。今までにもあったが、ネットでの誹謗中傷などもかなりニュースになっている。誹謗中傷も「伝える」一つだ。そういった時代背景の中で、著者が「伝えたいこと」は何だろうと考えている。そして「伝えたいこと」を私はきちんと受け止めているか、真摯に考えているか、振り返らなければならないと思った。
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  • 掲載日:2021/05/13
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