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星落秋風五丈原
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自分の設計した家に住まわせた女性と次々交際 新手のナンパ術は成功するか?
 ロンドンの住宅街に建てられた、奇妙なまでにシンプルな家を建てたのは、ミニマリストとして有名な新進気鋭の建築家エドワード。彼が手がけたこの一切の無駄が廃された家では、前にいた女性(The Girl Before=原題)が亡くなっていた。

 本編は二人の女性とエドワードの建てた家、そしてエドワードとの出会いを並行して描く。過去篇がエマ、現在篇がジェーン。二人ともエドワードに惹かれていく。エドワードの方はあらかじめ膨大な制約条項に同意させ、最終面談で入居を承諾。普通なら最終面談は人柄を見る上で大事だが、その後の展開を見ると、絶対ルックスを確かめてる、これ。入居後も毎日システムからの質問に答えさせているので、相手の嗜好をよく知ってからアプローチをかけられる。一方ヒロイン達も、「あれこれと条件をつけて家を貸す変わり者の建築家」として最初こそマイナスイメージだったものの、その後のエドワードのセレブとの付き合いや物慣れた振舞いとのギャップに、かえって惹かれていく。いわゆるギャップ萌えで、こちらも男性の作戦勝ちだ。

 さて、ここまで読んで「あ、共通の要素は建築家だから、犯人はきっと」「現場があそこだから、もしかして何か仕掛け?」などと考える読者がいそうだ。章が進むにつれて、わざと文章を少なめにしているのもサスペンスを煽る効果を挙げている。ここまで完璧主義なのだから、きっと主導権は男性にあると思われるが、実は…という、隠れたテーマがラスト近くに登場。ロン・ハワード監督による映画化作品は、サスペンス主体でいくのだろうか。それとも女性の自立をうたうのか。
 
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星落秋風五丈原
星落秋風五丈原 さん本が好き!1級(書評数:2329 件)

2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。

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