世界各国・各地域での紛争やテロ、陰謀を主題にした小説で唸らせる船戸さんが、日本のそれも近代を舞台にしたかなり史実を踏まえた小説を提供してくれました。
日露戦争後浮かれていたら世界恐慌、不景気で急速に閉塞状態。これを打開すべく帝国陸軍が満州国併合をめぐりきな臭い陰謀を繰り広げる時代の満州が物語の舞台です。名門敷島家の長男・太郎は、奉天総領事館に勤務するエリート外交官、次男は馬賊をひきいる攬把(馬賊の頭)、三男は陸軍少尉、四男は左翼思想に共鳴する早大生とそれぞれ違った道を歩んでいます。奉天近郊で張作霖が謀殺され、時代の激流は四人を満州の地へと呼び寄せます。アヘン戦争後の清国の衰退が中国そして満州地域に及ばした影響が張作霖や蒋介石、石原莞爾ら豪華有名人の動きからつぶさに記載されている一方、軍隊の内部、庶民の生活も敷島兄弟の行動からいきいき描かれる大河作品です。今回は関東軍が企んだ盧溝橋事件が空振りに終わるも、日本国内では満州を併合しようという意見が盛んになってきたところまで。
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