たけぞうさん
レビュアー:
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有名絵画を飾る麗人たち。
怖い絵の評判がよくて中野京子さんの名前を知りました。
著作を読んでみたいと思いました。ただ、自分の趣味的には怖い絵を
見たくなかったので、この本の登場まで待ちになっていました。
古典絵画の造詣が深いかたのようです。
表紙の絵は見覚えがありますが、画家の名前は知りませんでした。
イワン・クラムスコイ作で、1833年ロシアのペテルブルグが舞台です。
画家はトルストイと交流があり、アンナ・カレーニナの刊行の六年後に
描かれたこの作品は、多くの人がアンナがモデルであると信じたそうです。
小説の登場人物なのでもちろんあり得ないのですが、
この絵の持つ力に魅了された結果でしょう。
それは素敵な連想だと思うのですね。
古典的な写実画が多いです。絵にまつわるエピソードが散りばめられていて
見ている絵に深まりを感じられるようになるのがいいです。
文中にはこんなことが書いてあります。
「もともと意味や物語のある作品は、それを知った上で鑑賞するのが
作品に対する敬意ではないだろうか」
「絵は自分の感性でのみ見ればよい、知識は不要という日本の美術教育は
誤りではないか」
わたしは中野さんの主張に半分だけ同意します。
絵の情報を知りすぎてそればかりが気になり、見る人の想像力をそぐことが
ないだろうか、ひいてはわくわく感を失うのではと心配しています。
じゃあ知識ゼロが正しいのかと言われると、それも間違いだと思うのです。
例えばこう考えるとしっくりくるでしょうか。
絵を見るのに、絵の技法を知っていて損はありません。
ただし絵は工芸品とは違うので、技法を用いて表現された中身を見るものだと
思うのですね。絵画にまつわるエピソードも同じです。
たとえば表紙の絵のモデルの名前を知っていても別にいいと思うのですが、
知った名前の人の絵を見るために絵の前に立つわけではないはずです。
絵を見る目的は別にあります。
すなわち、絵に描いてある中身を受け取りやすくするために、
知っておくというスタンスであるならば、中野さんの主張に賛成なのです。
それを踏まえ、この一冊で多くの素敵な作品を楽しむことができました。
そもそも一作目がロセッティですから。好きなのですよ。
モデルの写真を見ることができ、おおっと声が出てしまいます。
サロメやユーディットの話も面白いですね。
神話ベースの絵は、やはり物語を知っているほうが楽しみやすいと
思いました。
自分の趣味では、ローランサンの描いたシャネル、ミュシャの描いた
サラ・ベルナール、ピカソの描いたマリー・テレーズが気に入りました。
マリー・テレーズは写真もあり、とても素敵な人です。
ついつい気分が高揚しますね。
そしてNo.1は、ルノワールの描いたブージヴァルのダンスです。
これは旧名古屋ボストン美術館で実物を見たことがあり、
鼻血が出そうになった一枚です。
白いドレスに赤い帽子の女性の名前はヴァラドンといい、
ロートレックに画才を見出されて自らも作品を描いているようです。
そしてその息子がなんとユトリロ。
当時の画家の人間関係の濃さをまたしても知った気分です。
大好きな絵だけにとても得をした気分になりました。
ところでフェルメールはありません。
そんな著者の趣味が全開しているところも好感を持ちました。
著作を読んでみたいと思いました。ただ、自分の趣味的には怖い絵を
見たくなかったので、この本の登場まで待ちになっていました。
古典絵画の造詣が深いかたのようです。
表紙の絵は見覚えがありますが、画家の名前は知りませんでした。
イワン・クラムスコイ作で、1833年ロシアのペテルブルグが舞台です。
画家はトルストイと交流があり、アンナ・カレーニナの刊行の六年後に
描かれたこの作品は、多くの人がアンナがモデルであると信じたそうです。
小説の登場人物なのでもちろんあり得ないのですが、
この絵の持つ力に魅了された結果でしょう。
それは素敵な連想だと思うのですね。
古典的な写実画が多いです。絵にまつわるエピソードが散りばめられていて
見ている絵に深まりを感じられるようになるのがいいです。
文中にはこんなことが書いてあります。
「もともと意味や物語のある作品は、それを知った上で鑑賞するのが
作品に対する敬意ではないだろうか」
「絵は自分の感性でのみ見ればよい、知識は不要という日本の美術教育は
誤りではないか」
わたしは中野さんの主張に半分だけ同意します。
絵の情報を知りすぎてそればかりが気になり、見る人の想像力をそぐことが
ないだろうか、ひいてはわくわく感を失うのではと心配しています。
じゃあ知識ゼロが正しいのかと言われると、それも間違いだと思うのです。
例えばこう考えるとしっくりくるでしょうか。
絵を見るのに、絵の技法を知っていて損はありません。
ただし絵は工芸品とは違うので、技法を用いて表現された中身を見るものだと
思うのですね。絵画にまつわるエピソードも同じです。
たとえば表紙の絵のモデルの名前を知っていても別にいいと思うのですが、
知った名前の人の絵を見るために絵の前に立つわけではないはずです。
絵を見る目的は別にあります。
すなわち、絵に描いてある中身を受け取りやすくするために、
知っておくというスタンスであるならば、中野さんの主張に賛成なのです。
それを踏まえ、この一冊で多くの素敵な作品を楽しむことができました。
そもそも一作目がロセッティですから。好きなのですよ。
モデルの写真を見ることができ、おおっと声が出てしまいます。
サロメやユーディットの話も面白いですね。
神話ベースの絵は、やはり物語を知っているほうが楽しみやすいと
思いました。
自分の趣味では、ローランサンの描いたシャネル、ミュシャの描いた
サラ・ベルナール、ピカソの描いたマリー・テレーズが気に入りました。
マリー・テレーズは写真もあり、とても素敵な人です。
ついつい気分が高揚しますね。
そしてNo.1は、ルノワールの描いたブージヴァルのダンスです。
これは旧名古屋ボストン美術館で実物を見たことがあり、
鼻血が出そうになった一枚です。
白いドレスに赤い帽子の女性の名前はヴァラドンといい、
ロートレックに画才を見出されて自らも作品を描いているようです。
そしてその息子がなんとユトリロ。
当時の画家の人間関係の濃さをまたしても知った気分です。
大好きな絵だけにとても得をした気分になりました。
ところでフェルメールはありません。
そんな著者の趣味が全開しているところも好感を持ちました。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:PHP研究所
- ページ数:208
- ISBN:9784569840765
- 発売日:2018年06月19日
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