DBさん
レビュアー:
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弘徽殿の女御が主人公の話
源氏物語のパロディ物は多いが、弘徽殿の女御をメインに持ってくる発想がなかなか面白くて気に入っている。
タイトルからついつい十二単衣を着たメリル・ストリープをイメージしてしまいましたが、同じくらい強くてしたたかな女性を描いています。
主人公の雷は二流の大学を卒業するも就職浪人し、二年ほど付き合っていた彼女にも「派遣の彼氏は困る」と別れを告げられていた。
一流商社の副社長というエリートの父と、勉強もスポーツも万能でルックスもよい弟の間でコンプレックスの塊となっていた。
そんな雷が派遣先で源氏物語の世界の展示会の仕事で設営作業をした帰り道、なぜか源氏物語の世界にトリップする。
そこはたまたま弘徽殿の女御の庭先で、高麗帰りの「雷鳴」という陰陽師を名乗ってそのまま弘徽殿の女御に召し抱えられて平安の世の中で生きていく羽目になる。
特別に対面を許された弘徽殿の女御二十歳そこそこの若い女で、なにより迫力があるという印象だったようだ。
そして父親に溺愛され何事にも優れた光源氏を弟に持った兄の一ノ宮に自分を重ね合わせています。
源氏物語を読む限りではヒステリックなイメージの弘徽殿の女御ですが、本作では夫である桐壺帝や息子のことを冷静に分析している。
たまたま持っていた源氏物語の要約本で未来を読みながら、そんな弘徽殿の女御のアドバイザーのような役で年月が過ぎていきます。
平安時代の不便な生活にも慣れ五年、嫁をもらいこの世界で生きていく決意を新たにした雷と共に、光源氏が元服してようやく源氏物語の華やかな世界が広がっていきます。
藤壺の女御との不義の関係や夕顔の突然死、うまくいっていないという噂の割には子供はいる正妻の葵の上、恋に執着してしまった六条御息所といった有名どころが登場するが、やはり弘徽殿の女御の視点から見るだけに点が辛い。
一番じっくりと描いているのは弘徽殿の女御の妹である朧月夜で、兄弟で同じ女を取り合った感情のもつれを赤裸々に描いている。
光源氏の須磨への都落ちへついていって仲良くなったついでに、光源氏の理想の女性は実は弘徽殿の女御という衝撃の告白をさせてみたりと面白い。
源氏物語の世界で四半世紀が過ぎ、本気でこの世界に骨を埋めようというときに再び時空が歪みます。
浦島太郎ぶりには笑ったが、エピローグは割とお約束通りだった。
弘徽殿の女御の悪魔っぷりが楽しめるパロディでした。
タイトルからついつい十二単衣を着たメリル・ストリープをイメージしてしまいましたが、同じくらい強くてしたたかな女性を描いています。
主人公の雷は二流の大学を卒業するも就職浪人し、二年ほど付き合っていた彼女にも「派遣の彼氏は困る」と別れを告げられていた。
一流商社の副社長というエリートの父と、勉強もスポーツも万能でルックスもよい弟の間でコンプレックスの塊となっていた。
そんな雷が派遣先で源氏物語の世界の展示会の仕事で設営作業をした帰り道、なぜか源氏物語の世界にトリップする。
そこはたまたま弘徽殿の女御の庭先で、高麗帰りの「雷鳴」という陰陽師を名乗ってそのまま弘徽殿の女御に召し抱えられて平安の世の中で生きていく羽目になる。
特別に対面を許された弘徽殿の女御二十歳そこそこの若い女で、なにより迫力があるという印象だったようだ。
そして父親に溺愛され何事にも優れた光源氏を弟に持った兄の一ノ宮に自分を重ね合わせています。
源氏物語を読む限りではヒステリックなイメージの弘徽殿の女御ですが、本作では夫である桐壺帝や息子のことを冷静に分析している。
たまたま持っていた源氏物語の要約本で未来を読みながら、そんな弘徽殿の女御のアドバイザーのような役で年月が過ぎていきます。
平安時代の不便な生活にも慣れ五年、嫁をもらいこの世界で生きていく決意を新たにした雷と共に、光源氏が元服してようやく源氏物語の華やかな世界が広がっていきます。
藤壺の女御との不義の関係や夕顔の突然死、うまくいっていないという噂の割には子供はいる正妻の葵の上、恋に執着してしまった六条御息所といった有名どころが登場するが、やはり弘徽殿の女御の視点から見るだけに点が辛い。
一番じっくりと描いているのは弘徽殿の女御の妹である朧月夜で、兄弟で同じ女を取り合った感情のもつれを赤裸々に描いている。
光源氏の須磨への都落ちへついていって仲良くなったついでに、光源氏の理想の女性は実は弘徽殿の女御という衝撃の告白をさせてみたりと面白い。
源氏物語の世界で四半世紀が過ぎ、本気でこの世界に骨を埋めようというときに再び時空が歪みます。
浦島太郎ぶりには笑ったが、エピローグは割とお約束通りだった。
弘徽殿の女御の悪魔っぷりが楽しめるパロディでした。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:幻冬舎
- ページ数:542
- ISBN:9784344422742
- 発売日:2014年12月04日
- 価格:832円
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