DBさん
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ルネサンスの法王たちの話
ローマ法王を中心にルネサンスのヨーロッパを見ていく本です。
まず最初に登場するのがピオ2世、ピウスで習った気がするけどね。
ボルジア家のカリスト3世の後を継いで三重冠を戴いた法王だ。
シエナ出身の法王は、6年の在位期間中、十字軍を送り出すことを悲願としていた。
法王の熱い想いと裏腹に、諸侯のみならず枢機卿たちも及び腰です。
病に臥した法王に仕える若き日のロドリーゴ・ボルジアがともに描かれていた。
次に登場するのはアレッサンドロ6世、晩年にようやく至高の座についたロドリーゴ・ボルジアだ。
この何人もの私生児を持ち豪奢を好んだ世俗的な法王と、狂信的なまでに清廉を主張するフェレンツェのサヴォナローラの戦いに焦点をあてています。
現実的なアレッサンドロ6世にとっては、サヴォナローラの振りかざす正義よりも、背後のフランスの動きの方が気になっていたと思う。
金も安楽な生活もいらないが、権力がほしい人間にとって狂信者ほど操りやすいものはないようです。
だが民衆の気が変わるのも早い。
サヴォナローラの演説に涙を流し熱狂した民衆が、彼の死刑を望むほどに。
アレッサンドロ6世の複雑な人間性を作者は強調しているが、競合会社の色々あるやり手の社長に見えた。
アレッサンドロ6世の次の法王は、1ヶ月もなかったピオ3世を挟んでジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ枢機卿がジュリオ2世として即位する。
コンクラーベにはじまりボルジアと常に争い勝利した枢機卿だ。
そして法王となっても「右手に剣、左手に十字架」と揶揄されるように戦う法王だった。
しかも異教徒トルコが相手ならまだ聖戦と呼んでもよかった。
だがジュリオ2世が戦ったのは、自らが導く子羊であるはずのイタリアだった。
枢機卿や外交官も引き連れての行軍に、贅沢になれた枢機卿からは不満が続出し離脱者も出すが、法王についていくしかない外交官たちを引き連れて山道を進むジュリオ2世を想像するとなかなか面白い。
行動力と決断力の塊のようなジュリオ2世は、約十年の治世の間常に戦争と外交戦争に明け暮れていた。
アレッサンドロ6世は息子チェーザレを剣としたが、ジュリオ2世はフランス、スペイン、ドイツといった諸外国をカードにするしかなかったようです。
怒れば悪態を吐きちらし、「聖ペテロの豚野郎!」とまで叫んでしまうこの法王への作者の愛を感じる話だった。
最後はレオーネ10世、メディチ家初の法王です。
お祭り好きの平和主義者といった雰囲気もあるが、平和主義者を気取るためには火の粉が飛ばないように注意しなければならないというのがよくわかる。
法王暗殺未遂事件の顛末や、レオーネ10世の動向を情報収集能力に長けたヴェネツィア外交官の本国への報告というかたちで追っていきます。
ローマの祭りの風景が目に浮かぶような話でした。
まず最初に登場するのがピオ2世、ピウスで習った気がするけどね。
ボルジア家のカリスト3世の後を継いで三重冠を戴いた法王だ。
シエナ出身の法王は、6年の在位期間中、十字軍を送り出すことを悲願としていた。
法王の熱い想いと裏腹に、諸侯のみならず枢機卿たちも及び腰です。
病に臥した法王に仕える若き日のロドリーゴ・ボルジアがともに描かれていた。
次に登場するのはアレッサンドロ6世、晩年にようやく至高の座についたロドリーゴ・ボルジアだ。
この何人もの私生児を持ち豪奢を好んだ世俗的な法王と、狂信的なまでに清廉を主張するフェレンツェのサヴォナローラの戦いに焦点をあてています。
現実的なアレッサンドロ6世にとっては、サヴォナローラの振りかざす正義よりも、背後のフランスの動きの方が気になっていたと思う。
金も安楽な生活もいらないが、権力がほしい人間にとって狂信者ほど操りやすいものはないようです。
だが民衆の気が変わるのも早い。
サヴォナローラの演説に涙を流し熱狂した民衆が、彼の死刑を望むほどに。
アレッサンドロ6世の複雑な人間性を作者は強調しているが、競合会社の色々あるやり手の社長に見えた。
アレッサンドロ6世の次の法王は、1ヶ月もなかったピオ3世を挟んでジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ枢機卿がジュリオ2世として即位する。
コンクラーベにはじまりボルジアと常に争い勝利した枢機卿だ。
そして法王となっても「右手に剣、左手に十字架」と揶揄されるように戦う法王だった。
しかも異教徒トルコが相手ならまだ聖戦と呼んでもよかった。
だがジュリオ2世が戦ったのは、自らが導く子羊であるはずのイタリアだった。
枢機卿や外交官も引き連れての行軍に、贅沢になれた枢機卿からは不満が続出し離脱者も出すが、法王についていくしかない外交官たちを引き連れて山道を進むジュリオ2世を想像するとなかなか面白い。
行動力と決断力の塊のようなジュリオ2世は、約十年の治世の間常に戦争と外交戦争に明け暮れていた。
アレッサンドロ6世は息子チェーザレを剣としたが、ジュリオ2世はフランス、スペイン、ドイツといった諸外国をカードにするしかなかったようです。
怒れば悪態を吐きちらし、「聖ペテロの豚野郎!」とまで叫んでしまうこの法王への作者の愛を感じる話だった。
最後はレオーネ10世、メディチ家初の法王です。
お祭り好きの平和主義者といった雰囲気もあるが、平和主義者を気取るためには火の粉が飛ばないように注意しなければならないというのがよくわかる。
法王暗殺未遂事件の顛末や、レオーネ10世の動向を情報収集能力に長けたヴェネツィア外交官の本国への報告というかたちで追っていきます。
ローマの祭りの風景が目に浮かぶような話でした。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:582
- ISBN:9784101181424
- 発売日:2012年10月29日
- 価格:788円
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