休蔵さん
レビュアー:
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虫が苦手な人も多いだろう。ノートの表紙に異議が申し立てられるような状況だ。虫が苦手という気持ちは尊重されている。ただ、好きな人も多い。本書は虫への愛に溢れた1冊である。
子どもの頃、昆虫が好きだった人は多いはず。
でも、大人になるにつれて、子どもの頃のような昆虫愛は薄れていきがち。
場合によっては、虫が怖くなってしまうことだってある。
本書は写真家今村光彦が手がけた「昆虫記」。
きっと著者は昆虫が好きなまま大人になったんだろうね。
そして、その愛が溢れんばかりだったから、写真という手段を採用して表現し続けたのだろう。
そのことがよく分かる1冊だ。
本書には366日の写真カレンダーを掲載している。
12〜2月は一括りにされているが、それでも日々撮影してきた写真を掲載してくれている。
季節ごとの変化に日々の変化にまでおろしたカレンダーで、興味深い。
四季の変化は感じる。
月の移り変わりも比較的分かる。
でも日々の変遷はあんがい分かりにくい。
分かりにくいけど、確かに変わっていくもの。
そんなことを実感させてくれる。
さらに各月の観察記をまとめる。
ただ、観察記だけではない。
6月の章には昆虫の顔のドアップ写真を載せている。
昆虫の顔をマジマジと眺めることなど、普通ではありえない。
クワガタの場合、上から見下ろす見方が主流だろうが、それだと顔は見えない。
ハンミョウは顔を拝む前に飛び去っていく。
クモは円な瞳が愛らしいと初めて知った。
定点撮影も数々も面白い。
テントウムシやセミの羽化はともかく、水生昆虫のタイコウチが羽化する様子は興味深い。
むかし、タイコウチ、飼ってたな。
イラガの繭作りは興味深い。
子どもの頃、刺されて痛い思いをしたイラガ。
枝にとまり、くるりと体を丸め、棘を糸の網に収めていき、丸く丸くなる。
様々なイラガ繭はファッションショーのようだ。
キリギリスはドリルのような卵管を地中に打ち込み、卵を生む。
アスファルトの日々の間で必死に産卵をするキリギリスを見たことがある。
その近くで、共食いをするキリギリスもいた・・・
生と死は、近いものなのか。
コガネグモの巣作りは、芸術家の創作活動のよう。
ピンと張った糸は獲物を捕らえるためのもの。
それは生きるためであり、死がつきまとう。
コガネグモは産卵のためにも糸を使う。
ハンモックのようなベッドを作り上げるのだ。
獲物を捕らえる武器でベビーベッドを作ることになる。
やはり生と死は近しい存在なのだろう。
子どもの頃に興味を持ったものを、一生突き詰めていける人が一体どれだけいるのだろう。
本書をまとめた今森光彦は、それを実践している数少ない人物と考える。
子どもの頃からの継続だから、楽しさがふんだんに取り込まれている本書は、じっくり読んでも、ぼんやり眺めても楽しめる仕上がりとなっている。
時々、本棚から取り出したくなる本の1冊として、長い付き合いとなっている。
そして、これからも付き合い続けるだろう。
でも、大人になるにつれて、子どもの頃のような昆虫愛は薄れていきがち。
場合によっては、虫が怖くなってしまうことだってある。
本書は写真家今村光彦が手がけた「昆虫記」。
きっと著者は昆虫が好きなまま大人になったんだろうね。
そして、その愛が溢れんばかりだったから、写真という手段を採用して表現し続けたのだろう。
そのことがよく分かる1冊だ。
本書には366日の写真カレンダーを掲載している。
12〜2月は一括りにされているが、それでも日々撮影してきた写真を掲載してくれている。
季節ごとの変化に日々の変化にまでおろしたカレンダーで、興味深い。
四季の変化は感じる。
月の移り変わりも比較的分かる。
でも日々の変遷はあんがい分かりにくい。
分かりにくいけど、確かに変わっていくもの。
そんなことを実感させてくれる。
さらに各月の観察記をまとめる。
ただ、観察記だけではない。
6月の章には昆虫の顔のドアップ写真を載せている。
昆虫の顔をマジマジと眺めることなど、普通ではありえない。
クワガタの場合、上から見下ろす見方が主流だろうが、それだと顔は見えない。
ハンミョウは顔を拝む前に飛び去っていく。
クモは円な瞳が愛らしいと初めて知った。
定点撮影も数々も面白い。
テントウムシやセミの羽化はともかく、水生昆虫のタイコウチが羽化する様子は興味深い。
むかし、タイコウチ、飼ってたな。
イラガの繭作りは興味深い。
子どもの頃、刺されて痛い思いをしたイラガ。
枝にとまり、くるりと体を丸め、棘を糸の網に収めていき、丸く丸くなる。
様々なイラガ繭はファッションショーのようだ。
キリギリスはドリルのような卵管を地中に打ち込み、卵を生む。
アスファルトの日々の間で必死に産卵をするキリギリスを見たことがある。
その近くで、共食いをするキリギリスもいた・・・
生と死は、近いものなのか。
コガネグモの巣作りは、芸術家の創作活動のよう。
ピンと張った糸は獲物を捕らえるためのもの。
それは生きるためであり、死がつきまとう。
コガネグモは産卵のためにも糸を使う。
ハンモックのようなベッドを作り上げるのだ。
獲物を捕らえる武器でベビーベッドを作ることになる。
やはり生と死は近しい存在なのだろう。
子どもの頃に興味を持ったものを、一生突き詰めていける人が一体どれだけいるのだろう。
本書をまとめた今森光彦は、それを実践している数少ない人物と考える。
子どもの頃からの継続だから、楽しさがふんだんに取り込まれている本書は、じっくり読んでも、ぼんやり眺めても楽しめる仕上がりとなっている。
時々、本棚から取り出したくなる本の1冊として、長い付き合いとなっている。
そして、これからも付き合い続けるだろう。
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ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!
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- 出版社:福音館書店
- ページ数:176
- ISBN:9784834008104
- 発売日:1988年07月01日
- 価格:3360円
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