『夜明けのハントレス』は直木賞を受賞した『ともぐい』以来、
それより以前の作品やそれ以降の作品と読み漁っている河崎秋子さんの2026年2月刊行の長編小説。
作者推しなのでタイトルにある「ハントレス」の意味がわからないまま読んだのだが、
これは「ハンター(狩人)」の女性形で「女性ハンター」というあとで知った。
「撃たれる動物にとっては、撃った人間が男か女か、関係ないんだって」と作中にあるが、
狩人に男のイメージが強いから「ハントレス」という言葉があるのもわからないわけではない。
物語の主人公マチはそういうものからも次第に解き放たれていく、強いハントレスになっていく。
この物語の太い骨格は、そんなマチの強さだろう。
裕福な家で育って容姿もよく運動能力にたけている女子大生のマチが狩猟の世界に魅力されていく姿。
ラスト、一人で熊と対峙した彼女はこう思う。
「成長でも劣化でも、どちらでもない。私の変化だ。」
この一文にしびれた。
この作品ではマチという女性の成長する姿が描かれているとともに、
最近大きな社会問題となっている熊との共存のありかたなど、
これまでにも何度も熊との世界を描いてきた著者だからこそ書ける視点などもあって、
まさに「令和の狩猟エンタメ」にふさわしい作品といえる。
西川真以子さんの装画があまりにも素敵すぎる。
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