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人生の最後に起きる様々な介護の問題を手助けする介護専門の奉公人の人情奮戦記。「江戸版介護師は見た」は現代に見通じることが多いです。

銀の猫
 今も昔もある老人の介護。老人ホームもデイケアもない江戸時代は自宅で息子が老父母を看取っていたようであるが何かとトラブル続きで、専門の女中に助けてもらっていたようです。主人公は離婚歴のある25歳のお咲。妾奉公をしてはしくじっているダメダメの母のせいで借金を抱え、その返済と生活のために介抱人という割のいい仕事を、口入屋を通して請け負っています。

 一見暗く重そうなテーマですが、気立ての優しいお咲は江戸の気のいい仲間たちにも恵まれて作風は至って明るい。但し出てくる老人たちとその家族は曲者ぞろいで何らかの問題を抱えており一筋縄ではいきません。呆けて昔のことを思い出しては騒ぎ出す元旗本や、多趣味のため散財が激しい大店の女隠居、いがみ合っている老姉妹の老々介護など、老人とそれを介護する家族とのわだかまりを解いていくお咲の活躍が、温かく描かれるのです。

 題名が「銀の猫」というからてっきり猫小説かと思って手に取ったのですがさにあらず、離縁された婚家でただ一人の理解者だった舅からいただいた銀細工の猫。介護に困って疲れたお先はこの猫を握りしめて辛抱するのでした。江戸の四季の風情とそこに暮らす人々の人情を巧みに盛り込んだ名著です。
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  • 掲載日:2026/04/20
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