SNSやオンラインゲームが日常化した現在、子どもたちの人間関係は以前にも増して見えにくくなっている。
本書は、2015年と2020年に実施された大規模調査をもとに、「ネットいじめ」と「スクールカースト」の関係を多角的に分析した一冊だ。
まず圧倒されるのは、約7万人という調査規模である。
本書は単純に「いじめが増えた」と語るのではなく、「学力層」「地域差」「オンラインゲーム」「進学意識」といった複数の視点から、現代の高校生たちが抱える息苦しさを丁寧に浮かび上がらせていく。
とりわけ興味深いのは、「スクールカースト上位」にいる生徒側にも不安やプレッシャーが存在するという分析だ。
また、第6章で論じられる「インキャ/陽キャ」という分類や、“クラスの空気”が生徒の居場所に与える影響の考察は、生徒指導や教育現場に関わる人にとって示唆が多い。
さらに本書は、ネットいじめを単なるSNS上の問題としてではなく、教室内の序列意識や承認欲求、さらには社会全体のコミュニケーション構造の変化として捉えている。
その視点に、本書の大きな特徴があるように感じた。
決して軽く読める内容ではない。しかし、コロナ禍を経た子どもたちの「生きづらさ」を感覚論ではなく、データと構造から理解しようとする本書の試みには、大きな説得力がある。
教育関係者だけでなく、今の若者を理解したい大人にも広く読まれるべき一冊だ。
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