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誰もが最初は初心者。どん底から希望の光を紡ぐ、情熱のソーラーカー物語。

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!3級
  • ライジング・ロード
  • by
  • 出版社:PHP研究所
ライジング・ロード
あらすじ
 三流大学の存続をかけた「学生確保」という至難のミッション。その切り札として選ばれたのは、ソーラーカーレースで日本一を目指すという大胆な挑戦だった。指導者に抜擢されたのは、大手電機メーカーを辞めて大学に採用されたばかりの若手女性講師・野口陽子。

 資金も経験も、そしてメンバーとなる学生さえもいないゼロからのスタート。しかし、彼女の熱意と「最初はだれも初心者だ」と厳しくも温かく見守る指導教授の言葉に導かれ、周囲が動き出す。個性豊かな学生たち、知恵と技術を貸してくれる地域の鉄工所の職人、カーボンファイバー加工を担う零細企業の技術者、そして最先端の太陽電池を開発するベンチャー企業の夫婦。
 
 人々の想いと技術が結集し、ついに独自のソーラーカーが完成。全国大会出場を決めたその直後、未曾有の悲劇——東日本大震災が彼らを襲い、すべてを押し流してしまう。すべてを失った絶望の淵から、彼らは再び立ち上がることができるのか。

本書の3つの見どころ

①ゼロからイチを創り出す「ものづくり」の熱量
資金難や技術不足という壁を、地域の町工場やベンチャー企業の「職人魂」で突破していくプロセスが圧巻です。日本のものづくりを支える人々の誇りと絆が、リアルかつエモーショナルに描かれています。

②「初心者」たちの泥臭い成長劇
最初は目的を持たなかった3流大学の学生たちが、陽子の情熱に触れ、ソーラーカー開発を通じて目に見えて変わっていきます。何かに夢中になることの素晴らしさと、若者の無限の可能性に胸が熱くなります。

③絶望から這い上がる「復興」への強いエール
震災によって技術も夢も一瞬で奪われる展開は、胸を締め付けられます。しかし、そこからのリスタートこそが本作の真骨頂です。登場人物たちが希望を捨てずに立ち上がる姿は、大震災の被災者へ向けた著者からの祈りであり、今を生きる私たちへの力強いメッセージとなっています。

総評
 本作は、単なる爽快な青春スポーツ小説やサクセスストーリーにとどまりません。
前半の「夢に向かって突き進むワクワク感」と、後半の「震災という過酷な現実」のコントラストが、物語に深い重みを与えています。
 どんなに深い絶望の底にいても、人はつながり合い、何度でも前を向くことができる――タイトルの「ライジングロード」にはそんな意味が込められています。読み終えると「明日も頑張ろう」と自然に思えるような、元気をくれる一冊です。

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  • 掲載日:2026/05/16
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