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テーマ:文芸部2017(久々のリレー小説)

冬の夜ひとりの旅人が

テーマ主催者:

かもめ通信

かもめ通信 さん

登録日:2017年06月04日 13時08分

テーマの説明

みんなで話をつないで「小説」を作る遊びです。

<遊び方>
素敵な物語を一緒に作りましょう。
1行からどなたでも参加できます。
「感想・声援」や「ぜひXXXもXXXして」といった要望などは、ぶら下がりコメント欄に書き込んでください。
投稿がかぶってしまった場合、後の方が修正して無理やりこじつけてください。
㊟ストーリーの投稿は一人一日一つまでとさせていただきます。
感想等の書き込みには回数の制限はありません。

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  1. 1
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    <登場人物>
    (随時更新していきます)
    ・私 …… とりあえず本を読む人のようだと思ったら、どうやら作中作の登場人物だったよう。
    ・輪貴氏 …… 三兵理出版の編集者
    ・北野可藻目 …… 作家
    ・おっさん(多毛増) …… 黒バットにまたがって空を飛ぶ。実は伊賀一族の頭領、服部多毛増らしい。
    ・ダンシングキャット …… 小粋な黒いブーツを履いた猫
    ・野洲比呂 …… 常野一族最強の超能力者
    ・本好きうさぎ
    ・レディー羽印虞素 …… 赤の女王、匿名(?)ブロガー
    ・著輪姉さん …… なにやら事情通らしいドリル販売店の女性
    ・愛州帝 …… 雲の上のカフェオーナー・講釈師
    ・行くっち坊 …… つる家の看板娘
    ・武野紹鴎 …… 利休の師匠のあの人?!
    ・言渚魅太夫 …… 行くっち坊の幼なじみの吉原の花魁。
    ・者殺師 …… 伝説の殺し屋
    投稿日:2017年06月04日 13時43分
    GOOD! 5 コメント 1

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  2. 2
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    <あらすじ 1>若手作家北野可藻目は、三兵理出版の編集者輪貴にいくつか持参したプロットを否定されて落ち込むが、気分転換にと向かった図書館で不思議な本と奇妙なおっさんに出会う。おっさんから本を奪い返したその瞬間、可藻目に異変が。気がつくと彼女はベッドの上で傍らにはブーツを履いた猫が。おまけに自分はすっかり子どもの姿になっていた。握りしめていた本は、おっさんと争ったときの「怪物本」ではなくなぜか「人間失格」だったが、ブーツを履いてくるくる踊るダンシングキャットは、これまたなぜか理由も告げずに有無も言わさず「『罪と罰』を握りしめている子供を探しなさい。」と少女を旅立たせるのだった。猫と少女はいくつかの扉をあけて限りなく透明に近い、雲ひとつなく晴れ渡った空と美しいコバルトブルーの海が広がる場所にたどり着く。海を前に途方にくれていると、沖合に見覚えのある船が見えてきた。どうやら難破寸前らしかった。
    投稿日:2017年06月04日 13時44分
    GOOD! 5 コメント 8

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    • ikutti 06/11 23:30
      >人間と猿の混血ネギラールが運転するスカイカーを、呼び出す発信器

      どう使えばいいのかこれは悩むー
      自分が言った「罪と罰」を使わねばと思いながら登場させられぬ。
    • Yasuhiro 06/12 07:13
      もう別のものに変えましたが、それももう役に立たなくなったような(^_^;)
  3. 3
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    <あらすじ 2>ダンシングキャットに促され「ヤ―チャイカ」と叫んだ可藻目はカモメになって船に乗り込むが時既に遅し船ごと海底2万マイルに沈んでいった。そこで彼女を待ち受けていたのは自称常野一族最強の超能力者野洲比呂。「自分の書きたい小説を書くんだ」と可藻目を諭して元の世界に帰してくれたと思いきや,どうしたことか見覚えのない図書館に送られて,赤の女王・レディー羽印虞素と伊賀一族の頭領服部多毛増の本をめぐる争いに巻き込まれてしまう。なにやら事情通らしいドリル売りの女性著輪姐さんや謎の講釈師愛州亭,つる屋の看板娘行くっち坊,伝説の殺し屋者殺師までが現れて謎の本をめぐる攻防と,行くっち坊の幼なじみ言渚魅太夫救出に乗り出すはめに陥る可藻目だったが,誰が敵で誰が味方か疑心暗鬼が深まる。果たして正義はどこに?!謎本の正体は?!
    投稿日:2017年06月04日 13時44分
    GOOD! 7 コメント 4

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    • かもめ通信 06/15 17:40
      あらすじ,書いてみました。こんな話だったような気がするのですがw
    • ikutti 06/15 17:47
      そんな感じです。吉原で全員集合させたいですね。
  4. 4
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    その日私は読み終えたばかりの本について、その余韻が冷めないうちにと書評を書き始めた。
    2、3確認したい点があったので、閉じたばかりの本を再び開くと、おどろいたことにそこには先ほどまで読んでいたものとは全く違った物語が書かれていたのだった。
    投稿日:2017年06月04日 13時48分
    GOOD! 9 コメント 3

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    • 踊る猫 06/04 14:27
      参加したいんですけれど、ルールが……書評と関係のある内容にしないと行けないんでしょうか?
    • かもめ通信 06/04 14:29
      あ、ごめんなさい。説明不足だったかな。全く、関係なく好きなように続けてください。書影もつけてもつけなくても、お好きなようにw
  5. 5
    たけぞう
    たけぞう さん
    ぱらぱらとめくったり、ひっくり返したりしてみる。しかし机の上にあるのはこの一冊のみ。間違えようがない。表紙を飾るのも、空色のワンピースの少女で覚えている通りだ。

    あらためて考えると、一冊読んだら書評にまとめるというのが、仕事みたいになっている気がする。書き始めの頃の、どんな反応がくるかとどきどきしていた気持ちが薄れている。気持ちがうわの空のまま書こうとして、何か別の物語でも思い浮かべていたのかもしれない。
    ため息をついて本を閉じ、もう一度表紙を見た。

    ふと目がとまる。何かおかしい。何かが私の心に呼びかけている。
    投稿日:2017年06月04日 15時26分
    GOOD! 7 コメント 7

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    • ikutti 06/05 07:59
      そういえば私リレーに参加したことなかった。
      私もしばらく野次馬で~
    • かもめ通信 06/05 12:47
      ikuttiさん、これは思いついたときに1行だけでも参加しておかないと、もう一度のぞきに来たときには、全く違う話になっていた~という遊びなので、どうぞお気軽にご参加くださいww
  6. 6
    踊る猫
    踊る猫 さん
    そもそもその本は、図書館が処分した本だった。奥付を見てみるとかなり古い本らしいが、誰も読んだことがないのではないかと思われるくらいコンディションもしっかりしている。図書館の蔵書の刻印がなかったら古本屋に持って行っても良いのではないか、と思ったほどだった。

    読んだはずの本と記憶が一致しない……興味を持ったので Google で検索してみる。しかし本のタイトルでは引っ掛からない。作者名を検索してみても引っ掛からない。ということは自費出版の類のものなのか。もちろん誰も書評など書いていない。なにかの間違いではないか……。

    それで知人のビブリオマニアにその本の話をしてみた。「一体どういう本なのだろうか」と。するとそのビブリオマニアは関心を示してくれた。「なかなか面白い話だね。どんな話なの?」と質問して来たので私は掻い摘んだ内容を説明しようとした。そしてメモ書きしていた書評を確認した。すると……。
    投稿日:2017年06月04日 17時00分
    GOOD! 7 コメント 2

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    • かもめ通信 06/04 17:12
      すると~どうなるんですか!ううっ続きが気になる~ww
    • 踊る猫 06/04 18:36
      私も続きが気になりますね……。
  7. 7
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
     そのメモには一言「フェルマーの最小時間の原理」と書いてあった。おぼろげながら思い出したのはその本がルイーズというアメリカの言語学者の論文だという事だ。

     それを聞いたビブリオマニアの顔が蒼白になった。「その論文の噂は聞いたことがある、たった一冊焼却処分を免れたエイリアンの言語体系に関する最重要機密論文だ、図書館が間違って処分したとしたら大変なことだぜ。」

     彼の説明するところによると、その論文を読み理解したものは因果律ではなく、合目的的に結末への最短距離で物事を理解するようになる。つまり始まりから結末までを最短距離で理解するので、二回目に開いた時の印象が全く違ってくるのだ、と。

    「じゃあもしかして、私はこれからどんな本を読み始めても、その結末が最初から頭に入っているわけ?」
    「そういうことになるね、気の毒だけど。そして心に呼び掛けているのはルイーズさんかもしれないぜ。」
    投稿日:2017年06月04日 22時55分
    GOOD! 8 コメント 7

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    • Yasuhiro 06/05 12:52
      ありがとうございます。ちょわさんのつなぎ方が見事だったのでうれしかったです。リンク先の鴎外も面白いですね。私も2年前一人鴎外祭り「渋江抽斎への長い道程」というのをブクレコでやったことがあります(笑。
    • ちょわ 06/05 13:42
      かもめ通信さん、ご紹介ありがとうございます!m(__)mリンクまで貼ってくださるとは。チョイスも神すぎますw

      Yasuhiroさん、いつも書評興味深く読ませていただいてます!そして読みづらい鴎外書評お読みいただきありがとうございます。こんな奴ですがよろしくお願い致しますm(__)m一人鴎外祭り凄そうですね!よろしければ「本が好き!」でもぜひ!
  8. 8
    ちょわ
    ちょわ さん
    地獄のような日々が始まった。

    ベルばらもあしたのジョーもごんぎつねも、本を開いた瞬間に主人公が死んでいた。情緒も何もあったもんじゃない。すべてのミステリは1秒で結末が分かり、泣けると噂の本に触れただけで号泣するハメに。

    もっとやっかいなのは専門書や実用書で、突き指をして家庭の医学を開いただけで大量の理解不能の医療の知識が頭に流れ込んできた。

    「ちくしょう……私はわざわざ書評なんか書くくらい本が大好きなのに、こんな毎日じゃ狂っちまう!誰か!誰か助けてくれ~!!!」


    (………落ち着いてください。………聞こえますか。…今……あなたの心に……直接…語りかけています……聞こえていますか………)
    投稿日:2017年06月04日 23時31分
    GOOD! 11 コメント 3

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    • Yasuhiro 06/05 09:25
      ありがとうございます。私の思惑通りに引き継いでいただけました。ちなみに「吾輩は猫である」→「溺れて死ぬ」というプランがありました(w。
    • ちょわ 06/05 13:28
      >「溺れて死ぬ」
      そんなオチが想定されていたなんてww
  9. 9
    女の声が私の頭で鳴り響いた。

    (……落ち着いてください。あなたはまだ気づいていないのです。きっと、あなたはまだ、新しい「時間」の考え方に慣れていないのでしょう。おそらく、あなたはまだ、こう考えている。あなたは過去、現在、未来へと前へ進んでいくように時間の中を過ごしていると。そう、まるで本のページを1ページ1ページめくっていくように。あなたが生まれた時があなたの1ページ目。そしてそれからあなたは1ページ1ページ人生を歩んできた、と。でも、本当はそうではないのだとしたら?)

    私は混乱した。意味が分からない。この頭の声の意味が分からないし、いや、そもそもそれ以前にこの女は何者? 彼が言っていたルイーズ?

    (「そもそも」も「以前」も、本当は存在しないのです。本当に存在しているのは、ただ無数にある1ページだけ。「未来」も「過去」も「現在」も、それぞればらばらな本の1ページだったとしたら?)
    投稿日:2017年06月05日 01時36分
    GOOD! 9 コメント 2

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    • かもめ通信 06/05 06:13
      (「時間」ものは難しいのよねえ。SF苦手だし…でもこれもしかして傑作路線じゃない?!)と、次の展開をあれこれ考えていたら…レディーウイングスにやらかされましたw
    • 哀愁亭味楽 06/06 02:04
      や、自分で書きながら「これこの先どうすんの?」と思ってたので、「あー、よかった」と思いましたw
  10. 10
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    「うーむ。」
    ここまでの原稿を読んだ三兵理出版の編集・輪貴は言った。
    「可藻目先生、新境地を開拓しようというお気持ちはわかりますがねえ。こちらは古典文学を下敷きにしたラブロマンスを、とお願いしたんですよ。」
    「あら!これから出てくるルイーズが本の中を過去へ辿ってヘンリー8世と恋に落ちるのよ。」
    苦い顔の輪貴に彼女は微笑んだ。

    北野可藻目はデビュー作『舞鳥』で本屋大賞を、次作『嬢ちゃん』で芥川賞を受賞し、「夏目漱石の再来!村上春樹のように売れて欲しい!」と出版界の期待を背負う気鋭の作家である。SF風の序盤から歴史小説へ変貌する愛の物語の構想が通じないことに、可藻目は内心イラッとしていた。
    「それならこっちはどうかしら。」

    …今は昔、都のはずれに男が住んでいた。その名は多毛増、野山で竹を採っては様々な物を造る技術が都で大評判の、たいそう腕の良い職人であった。ある日、多毛増が山へ行くと…
    投稿日:2017年06月05日 05時16分
    GOOD! 9 コメント 2

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    • かもめ通信 06/05 06:04
      ぶっ!SF超大作の予感が一気にレビュアー総出演コメディに変貌か?!ww
    • Wings to fly 06/05 13:10
      どっかに笑いも欲しいでしょ〜(^o^)/
  11. 11
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「あーダメダメ!ダメです先生!」と、作家の話を遮って、輪貴は言い放った。
    「いいですか。今どきの読者はね。昔話なんか絶対読みませんよ!小難しい話もダメ!気楽に読めて、なおかつ、“なんだかちょっと本格小説よんじゃった~”という気分になれるものが好まれるんです。だからですね。“古典文学を下敷きにしたラブロマンス”をとお願いしているんですよ。そういう話なら、原典に当たらなくても古典名作を読んだ気分になるし、気軽に手頃に楽しめるというお得感がウケるんですよ。」
    投稿日:2017年06月05日 06時28分
    GOOD! 10 コメント 8

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    • BOOKSHOP LOVER 06/05 13:46
      りんき?…わたか?……????
      ってなっちゃってましたw
    • たけぞう 06/05 20:52
      うう、多毛増のラブロマンスが(瞬殺
  12. 12
    踊る猫
    踊る猫 さん
    それで結局「週末にまたプロットを持って来て下さい」という話になったので、可藻目は気を取り直して落ち込んだ自分に喝を入れるべく新しい本を探そうかと図書館に赴いた。可藻目は新進気鋭とは言ってもこの世界でまだ筆一本で食って行くという訳にはいかないので、下積みの作家がやるような新人賞応募作の下読みの仕事や、その他アルバイトの仕事も引き受けなければならない。そんな可藻目の貴重な憩いの場は図書館と古本屋なのだった。

    図書館で蔵書の整理/処分をしている光景に遭遇した。借りられなくなった本を譲り渡すというのだ。なにか収穫があるかもしれない。可藻目は本の背表紙をひと通りさっと眺め回した。自分の興味を惹くような本はなかなか見当たらない。それはそれで当然かと考えたのだが、その時にふと一冊の本に目が留まった。

    「この本は……?」

    本のタイトルを見た時に何故かデジャ・ヴを感じた。この本は、もしかしてあの本?
    投稿日:2017年06月05日 08時48分
    GOOD! 10 コメント 3

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    • ちょわ 06/05 13:46
      踊る猫さんすご~い!見事に本筋に戻しましたね!
    • Wings to fly 06/05 16:05
      こういうチームメイトがいると、安心して脱線できますわww
  13. 13
    ikutti
    ikutti さん
    そのとき図書館に面した広場から強い風が吹き、その本は見事に無くなっていた。

    「わはははは、お前はこの本の魔力に気がついたようだな、もらっていくぞ」

    わけがわからないまま佇んでいると、そのおっさんは飛び立っていった。

    そう、その本の魔力とは世界を・・・
    投稿日:2017年06月05日 18時11分
    GOOD! 8 コメント 2

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    • ikutti 06/05 18:12
      とりあえず、足跡を汚していきます。
    • かもめ通信 06/05 19:50
      ぶぶっまさか、そう来るとはww
  14. 14
    たけぞう
    たけぞう さん
    世界を……どうしてしまうのか?
    考えても分からない。答えはあの本にあるはず。とにかく取り返さなければ。

    おっさんが少し先に舞い降りる。飛ぶというより、ジャンプしてグライダーのように滑空するようだ。
    全身黒ずくめ。分厚い胸板に半分以上顔が覆われたマスク。甲殻類のようなプロテクターをつけ、マントが翻っている。そして手には黒く光るバットが。

    おっさんが次のジャンプの態勢になる。
    「待てっ」可藻目は図書館から駆け出した。
    「その本を返せ!」
    「ふはは、この本の魔力があればこんなこともできるのさ」
    バットにまたがり持ち手を前に突き出す。細い部分をがばっと本ではさみ込んだ。おっさんが低い声でつぶやくと、マントがぶわっとはためき体ごと宙に浮いた。

    「じゃあな、鳥のお姉さんよ。悪く思うなよ」

    (……まだです。目に見えることが全てではありません。落ち着いて下さい。……聞こえますか。私はまだここに…)
    投稿日:2017年06月05日 21時48分
    GOOD! 8 コメント 2

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    • たけぞう 06/05 21:51
      「フェルマーの最小時間の原理」とか、新しい「時間」の考え方とか、ついていくのに必死です。皆さんすごいですねー
      と思ったらまさかの急展開に。なんとかトスを上げてみました♪
    • Wings to fly 06/05 22:37
      トスが凄すぎるよー!カッコイイなぁ。カッコの中の声、この後どう展開されるのー⁉︎
  15. 15
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
    「アクシオ!」 

      心の声を聴き、思わず可藻目は手にしていた鉛筆を空に浮かぶおっさんに向けて叫んだ。驚いたことにおっさんは一も二もなく、可藻目の元へ引き戻されてきた。

    「な、なにをしやがる、貴様はハーマイオニーか、エマ・ワトソンか、そういや似てるな!?」
    「よく言われるけど、とにかくガタガタ図書館で騒ぐんじゃないわよ!」
    「き、貴様は一体何者だ!?」
    「それはこっちの台詞よ、あんたみたいな冴えないおっさんがなんでバットで空飛べんのよ!?」
    「そ、それは作者の都合だろ!」
    「ポストモダンなこと言ってんじゃないわよ、さっさと本をお返し!」
    「わかったわかった、クルーシオされちゃたまらんしな。。。」

      渋々おっさんは本を差し出した。予想通り、あのかみつくことで有名な凶暴極まりない「怪物的な怪物の本」だった。デジャブがあったのはUSJで売ってたからだった。

    (続く、続け、頼む)
    投稿日:2017年06月05日 22時36分
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    • Wings to fly 06/05 22:40
      やっとついて行けそうなレベルに…いや、まだ高すぎ!
    • Yasuhiro 06/05 22:56
      なことはないでしょ(^_^;)
  16. 16
    ちょわ
    ちょわ さん
    (ついに…目覚めましたね……)

    心の声はまだ続いている。

    (あなたが手にした力は、……全ての本につながる力。

    あなたは…読んだことのある全ての本に出てくる内容を……具現化することができる。あなたの手にしたその本は……あなたに従いあなたの既読の本へと姿を変える……。あなたはその本に選ばれた………。


    だからあなたは読み続け、力を得て、戦い続けなければならないのです……。そう……世界を救うために………。



    私の言葉が…嘘でない証拠に……試しに唱えてごらんなさい……。

    あなたが子どもの頃に…大好きだった……、あの漫画の必殺技を……!!)
    投稿日:2017年06月06日 00時07分
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    • ちょわ 06/06 00:38
      ふふふ、可藻目さんはなんと叫ぶことになるのか、はてまた全然叫ばないのか、次の展開が楽しみですww
    • かもめ通信 06/06 06:00
      ひっ!必殺技が一つも思い浮かばないww
  17. 17
    「でも、私は、誰とも戦いたくなんかない!」

    (あなたはもう、選ばれたのです……)

    「え?」

    突然可藻目が手にしていた「怪物的な怪物の本」のページがぱらぱらとめくられる。そのページには、輪貴さんや多毛増さんや黒いバットマンやエマ・ワトソンが悲しそうな瞳でこちらを見つめている。彼らは本の中に閉じ込められてしまったのだ!

    (彼らを助けることができるのは、あなただけ)

    「そんなことできないわ! 愛する本にあの必殺技をしかけるなんて!」

    クシュルシュルシュル…「怪物的な怪物の本」は奇妙な音を立てながら宙に浮かび、白紙のページを開いた。何か不思議な力が働いて、そのページの中に吸い込まれそうになる。そう、いつもそんなことを心に思い描いていた。本が好きすぎて、本の世界の中に入っていけたらと、そんなことを子どもの頃からずっと……

    (だめよ! 目を覚ましなさい! さあ、早く! あの必殺技を!)
    投稿日:2017年06月06日 01時57分
    GOOD! 7 コメント 0

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  18. 18
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    可藻目は戸惑い立ち尽くしていた。その時、轟音と共に白い光が閃き、可藻目は本の中へと吸い込まれていった。
    ……遠くから声が聞こえてくる。
    「新しい始まりを作ることができるのは、人の子のみ。」
    「彼女はいま境界を越えました。彼女は私たちの話を聞いています。つまり、ここにいるのです。」
    「彼女はすでに、果てしない物語の一部になっている。すなわち、これは彼女自身の物語なのだ。」

    可藻目は自分がフカフカのベッドに寝かされていることに気づいた。
    「やあ、お嬢さん。ご気分はいかが?」
    白い猫が、オレンジジュースを乗せたトレーを片手に心配そうに可藻目を覗き込んでいる。
    「あなたは誰?ここはどこなの?」
    「僕は猫のダンサー、その名もダンシングキャットさ。」
    猫はトレーを持ったまま、陽気にステップを踏むとクルリと回った。その足には、小粋な黒のブーツ。
    「それで、ここはね。その前にジュースをどうぞ。」
    投稿日:2017年06月06日 06時15分
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    • かもめ通信 06/06 06:21
      あ、先を越されたww
      油断していたわ。早起きさんがここにもw
    • Wings to fly 06/06 08:36
      お先に〜♪
      必殺技は秘蔵のアレがあったのですが、その後が全く思い浮かばなかったわ〜〜(><)
      きっとまた後で必殺技の出番がある予感!
  19. 19
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    (とりあえず、落ち着かなくては!)と思い、ダンシングキャットが差し出したジュースに手を伸ばした可藻目は、大きく目を見開いた。
    (これが私の手?今どき珍しいと編集者にもからかわれるペンだこもなければ、シミの一つも無い。丸ぽちゃの……。これって、子どもの手なんじゃ?!)

    慌てて部屋を見回し、部屋の隅におかれた姿見をのぞき込むと、そこには、ベッドの上に座り込む幼い女の子が映っていた!!
    投稿日:2017年06月06日 07時25分
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  20. 20
    たけぞう
    たけぞう さん
    鏡の向こうに写った子は、栗色の髪をショートボブで切りそろえ、レースのフリルのついた水色のワンピースを着ていた。右を向くと女の子も右を向く。うつむいても同じ。
    信じられないけど、自分の姿らしい。

    可藻目の目に涙がうっすらと浮かぶ。小さな頃、ベッドの上でひとりで本を読んでいたことが胸によぎる。あの時、お父さんやお母さんはどこにいっていたのだろう。どうして一人でずっと本を読んでいたのだろう。

    背中越しにダンシングキャットの柔らかい声が聞こえる。
    「可藻目さん。手の中にある本をよく見てごらんなさい」
    いつの間にか手には文庫本が収まっていた。むかしから大好きだった、太宰治の人間失格だった。可藻目は幼稚園に上がる前からのダザイストで、母がずいぶん心配していたことを思い出した。

    しかし、この本はいったいどこから?
    投稿日:2017年06月06日 21時46分
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    • たけぞう 06/06 21:51
      今日はみなさんゆっくりですね。
      そろそろ夜の執筆隊が現れる予感が。
  21. 21
    ikutti
    ikutti さん
    「さあ!可藻目、この世界で『罪と罰』を握りしめている子供を探しなさい。」
    とダンシングキャットは言うと、扉を開けた。
    投稿日:2017年06月06日 23時50分
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  22. 22
    ちょわ
    ちょわ さん
    その扉の中には限りなく透明に近いブルーの扉があった。

    可藻目がそれを開けると、最近の美輪明宏の毛髪のようなイエローの扉があった。

    可藻目がまたそれを開けると、林家ぺーパー夫妻の全身のようなショッキングピンクの扉があった。

    可藻目がまたまたそれを開けると、無機質な自動ドアがみょいんと開いた。


    「ちょっとこれいつまで続くのー!!!」


    「ははは失敬失敬。ちょっとふざけたくなってね。次で終わりだ。さぁ」


    可藻目が最後に出てきたふざけた蛍光黄緑の唐草模様の貼られた襖をガラッと乱暴に開けると……


    ………そこには、ほんとうに限りなく透明に近い、雲ひとつなく晴れ渡った空と、美しいコバルトブルーの海が広がっていた。
    投稿日:2017年06月07日 00時56分
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  23. 23
    「この海の向こうに行くの?」
    「大丈夫。すべては君が手に持ってるその本が教えてくれるさ」
    「この本が?」
    可藻目はじっと『人間失格』を見つめた。この本が一体、何を教えてくれるというのだろう?
    「でも、やっぱり不安だわ。たった一人で旅に出るなんて」
    可藻目がそう言ってダンシングキャットの目を見つめると、ダンシングキャットは少し困った顔をして、そうしてくるくるとその場で回り始めた。それは多分、ダンシングキャットが困ったときの踊りなのだ。
    「どうしても、ダメ?」
    ダンシングキャットはくるくる回りながら可藻目の周りを一周した。
    「そんな目で見つめられちゃ、とてもかなわないな」
    「じゃあ…」
    「ご一緒してもよろしいですか? お嬢さん」
    ダンシングキャットは深くお辞儀した。まるで貴族の男性が女性をダンスに誘うみたいに。
    「よかった!さあ、行きましょう!『罪と罰』を握りしめた子供を探しに!」
    投稿日:2017年06月07日 01時01分
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    • かもめ通信 06/07 05:43
      とりあえず投稿No.2に18あたりまでのあらすじを書いてみましたが……ちゃんと筋を押さえられているかどうかは……ww
  24. 24
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    でもちょっとまって。よく考えてみなくては。
    ブーツを履いているとはいえ、連れは猫だ。
    私はなぜか子どもの姿になっているとはいえやっぱり人間なわけで、この海をどうやって渡ればいいわけ?
    そんな可藻目の心を見透かすように、ダンシングキャットはいった。
    「ちがう。今必要なのは『人間失格』の方じゃない。読んだことのある全ての本に出てくる内容を具体化できる魔法の本、怪物の本の方だ。」

    あ、あの本、でもあの本はおっさんがもって逃げて…そのあと確か取り返したはずだけれど……?!
    可藻目は自分の記憶を必死にたどろうとするものの、なぜだかもやがかかっているように、はっきりと思い出すことができなかった。

    ちょうどそのとき、沖合にうかぶ一艘の船が目に入った。
    どこかで見たことがあるようなあの船は……
    投稿日:2017年06月07日 06時39分
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  25. 25
    ことなみ
    ことなみ さん
    初めまして!上手く波に乗れるか心配です……
    よろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペコリ



    「あの船は!早く助けないと!!」可藻目の肩の上でくるくる回りながらダンシングキャットが叫んだ。
    横に出来た大渦が見えませんか
    さあ 限りなく透明に近いようなブルーのページをよく見るのです。船を見つけるのです、そして今こそ叫ぶのです可藻目さん」

    可藻目は目を凝らした、確かに何か見える。目の靄を払って見つめると、船はまさに大渦巻きのふちで大きく円を描き始めていた。
    可藻目は「人間失格」を握りしめて、飛んだ、叫んだぁぁぁーーーー「ヤ―チャイカ」

    体が浮いて 危なく船のマストに着地した。

    時すでに遅し。渦の大穴が開いてみんなを飲み込んだ。

    目覚めたのは深い海底二万マイル。
    「ここはどこなの? 「罪と罰」はここにあるの?」
    投稿日:2017年06月07日 09時05分
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    • ことなみ 06/07 11:34
      ありがとうございます、じつはどきどきで(^^;;
      とっさに変な所に落としてすみません。
    • かもめ通信 06/07 11:37
      いやいや良い落としどころでしょうw
      私は既に今日のカードを切ってしまったので
      チャイカのその後は他の皆さんに任せた!
      楽しみですw
  26. 26
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    ・・・かすかな声が聞こえてくる。
    「彼女は合言葉を思い出したようです。キャットは役目を果たしました。」
    「そのために無人の船を使ったのだよ。海に潜伏させたあの男の出番が、ようやくきた。」・・・

    可藻目の目に映ったのは大きな本棚だった。夏目漱石全集の隣に池澤夏樹の本が並んでいる。文机に端然と座って何やら書き物をしていた着流し姿の男性が振り返り、微笑んで言った。
    「やっと会えたね。深海の庵・農地羅須へようこそ。」
    「あなたは?」
    「私の名は、野洲比呂。君をこの世界の反対側に送り出すために、ここで待っていたのだ。」
    私、海に落ちたのになんで息ができるのかしら。ダンシング・キャットはどうしたのかしら。
    可藻目の戸惑いを見透かしたように男は言った。
    「なんで息ができるのか説明しても君にはわからないから省くとして、キャットはダイオウイカに乗って家に帰ったよ。今日はダンス教室の生徒が来るからね。」
    投稿日:2017年06月07日 13時12分
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    • Wings to fly 06/07 16:20
      そうですよ、野洲比呂=Yasuhiro さんですよ^ ^
      「書楼弔堂」(京極夏彦)の弔堂店主のイメージです。 だから着流しなのよー♪

      文芸部員全員を小説に登場させるつもりですから、未登場の方は待っててね!その日の展開によっては出せない日もありますのでご承知おき下さいませ(^^)
    • Yasuhiro 06/07 21:51
      >かもめ通信さん ことなみさん Wings to fly さん
      あはは、弔堂店主ですかあ、実物は見せないでおこう(w。アイコンのリヴィエールの「エデンの園」の向こう向いてるおじさん的に思っておいてくださいませ。
  27. 27
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
    「ダンシングキャット君のジュースを飲まなくても君は『ヤーチャイカ』を叫ぶことができた、君の潜在能力には驚いたよ。」

      着流しの裾に纏い付くチンアナゴたちをやさしく撫でながら野洲比呂は可藻目にジュースを飲ませた。可藻目は現実界の姿を取り戻した。

    「ど、どうしてこんなことを?」
    「君の作家としての覚悟と知識を試させてもらった。合格した者に最終質問をする、正解すれば君や閉じ込められた人達を現実界に帰す、それが僕の役目。」

      野洲比呂の意外に鋭い視線が可藻目を捉えた。(え、う、動けない!)

    「質問、僕は拝島瑛子の夫だ、それで僕の正体を暴けるかい?」
    「ひょ、ひょっとして、あなたは常野一族最強の超能力者!?」
    「正解、君たちは現実界に戻る、だから君は輪貴の言いなりではなく『自分の書きたい』小説を書くんだ、いいね!」

    可藻目は息も出来ず頷いた。

    「怪物的な怪物の本よ、裏返れ!!!」
    投稿日:2017年06月07日 14時38分
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    • Yasuhiro 06/07 21:44
      >Wings to flyさん コメントありがとうございます。えへへっ、てよろしければ恩田陸の「光の帝国(オセロ・ゲームという短編です)」「エンド・ゲーム」お読みください!
    • Yasuhiro 06/07 21:46
      >かもめ通信さん ご苦労様です!
  28. 28
    ikutti
    ikutti さん
    「ここは・・・」
    可藻目が目を開くとそこは元いた図書館・・・のはずだった。
    「なにか違う・・・」
    窓がなく薄暗いその空間にたくさんの書棚が並んでいる。
    しかし違和感を感じる。
    そうだ、本が少ないのだ。

    「ちょっとあなた、そこでなにをしているの!?」
    可藻目が振り返ると妙齢の女性が立っていた。
    「あぁ!あなたが手に持っているその本は、伝説のダザーイオサム。その本は禁書のはずよっ。どこから持ち出したの!」
    そういうと本を奪おうとする。
    「やめて!この本は私の宝物なの!」

    ここはどこなのっ。野洲比呂の超能力が間違ったと思えない。これは何か意味があるはずだわ。可藻目は光射す場所を目指して駆け出した。
    投稿日:2017年06月07日 20時39分
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    • Yasuhiro 06/07 21:55
      常野一族最強の超能力者なのに~(笑 ちなみに字数制限がもう少し多ければ「君は笠原郁という大柄な女に起こされるよ。」というセリフを用意しておりました。
    • ちょわ 06/07 22:50
      これこそリレー小説の醍醐味ですねwww
  29. 29
    ちょわ
    ちょわ さん
    「これにつかまれ!」
    目の前に見覚えのある黒いバットが差し出された。可藻目が必死でそれにつかまると、バットは風を切って空中を飛び、目指す光の方に凄い速さで飛んでゆく。

    「あ、あなたは!!」

    「また会ったな、エマ・ワトソン似のお嬢さん。なんだかだいぶ若返りすぎたみたいだが。アンチエイジングにも程があるだろぉ」

    可藻目がつかんだバットにまたがっているその人は、いつか可藻目から本を奪おうとした、全身黒ずくめの怪しいおっさんだった。

    「全く、あの時このオレ、多毛増様に大人しく本を渡しておきゃあ、こんな面倒なことにならなかったのに。」
    投稿日:2017年06月07日 22時03分
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    • Yasuhiro 06/07 23:23
      さすが、ちょわさん、全員助け出しといてよかった(^^)。
    • ちょわ 06/08 01:35
      多毛増様いらっしゃいませw
      好きにしていいんですか~!?そんな寛大なこと仰ると、またパンツを頭にかぶせますよ(^w^)

      あっ弔堂店主そっくりの野洲比呂さんだ!そうです野洲比呂さんの活躍で多毛増も本から解放されて元の世界?に戻ったのです(^o^)vさぁ次は誰が出てくるかなぁ~。
  30. 30
    多毛増と可藻目は黒いバットにまたがって空を飛ぶ。光射す場所を目指して。

    しかし可藻目は気づいた。多毛増の黒いマントの中に、一冊の本があったのを。そしてその本のタイトルに「罪と罰」という字が見えた。多毛増はずっとその本をマントの中に隠し持っていたのだ。

    「え? じゃあ、まさか、この人がダンシングキャットが言ってた…」

    一瞬そう思って、可藻目は首を振る。

    「いや、そんなはずがないわ。だってこの人はどう見ても子供じゃないし」

    だけどここで確かめないわけにはいかない。可藻目は覚悟を決めた。そうして後ろから多毛増の脇腹を……

    えーい、こちょこちょこちょ!

    「うひゃひゃひゃ、こら、おい、やめなさい! うひゃひゃ、ほら、危ない! 落ち、うひゃひゃひゃ、落ちるぞ! うひゃひゃ」

    隙を見て可藻目は本を奪い取る!

    その本は……

    「『罪と罰』を読まない」

    だった。
    投稿日:2017年06月08日 02時01分
    GOOD! 9 コメント 9

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    • 哀愁亭味楽 06/09 01:59
      Yasuhiroさん

      やー、実は私、「『罪と罰』を読まない」読んでないんですよねー。気にはなってるんですが(恥

      かもめ通信さん

      ですねえ。この先どんな本が登場するのかも楽しみですねw
    • Yasuhiro 06/09 08:44
      あ、そうなんだ。なんせドストにラスコ、マメ父にスヴィドリなんとかですからねえ(^_^;)。味楽さんとカモメさんに登場願ってレビューしちゃおかなー
  31. 31
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    「うひゃひゃひゃ、落ちるぞ! あ、危なーい!」
    多毛増が身をくねらせるとバットが大きく揺れ、可藻目は「『罪と罰』を読まない」を握りしめたまま滑り落ちた。
    「し、しまったー!!」
    バットは多毛増を乗せたまま猛スピードで走り去ってゆく。
    「きゃ~~~!!!」

    幸いなことに可藻目は草深い野原にバウンドしながら着地した。
    ぶつけたお尻をさすり「こわかったー。」と呟きながら、とりあえず本を開く。最初のページには黒々と大きな字で <我々は、『罪と罰』を読まないことを誓います> と書いてある。その脇には大勢の署名が続き、赤黒い指紋の跡がある。
    「なにこれ?血判状?!」

    するとその時、野原の穴の中から左耳が半分折れた白いうさぎが顔を出した。うさぎは後ろ足で立ち上がり可藻目の顔を見つめたかと思うと、右手を挙げて「本が好き!・・・だよねっ!」と顔を指さし、そのまま可藻目の手を取って走り出した。
    投稿日:2017年06月08日 12時09分
    GOOD! 10 コメント 2

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    • Wings to fly 06/08 12:12
      本日の登場人物は、「本が好き!」のキャラクターの、あのうさぎさんです。↓
      http://www.honzuki.jp/sp/2011/honzukilp/
    • そのじつ 06/26 15:41
      「『罪と罰』を読まない」!そんな本やったか〜い!(るねっさーんす)・・・・え?ホントじゃないですよね?ともかく爆笑しました。ウイングスさん素敵!
  32. 32
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「待って!もう走れないよ!」息を切らせた可藻目が脇腹を押さえてしゃがみこむ。
    「それでおまえは誰を連れてきたの?今度こそ本当に役に立つんだろうね?」響き渡る声にびくつきながら可藻目が顔を上げると、花柄のドレスをきた婦人が片手でうさぎの首根っこを捕まえながら、自分を見下ろしていた。
    「この女は間違いなく本を持っています。きっと女王様がお探しの本のことも……」そう言いかけたうさぎをにらみつけて黙らせた婦人は、さきほどとはうって変わった猫なで声で可藻目に話しかけた。
    「あらまああなた、ずいぶん驚いた顔をしているのねえ。きっとこういう冒険にはなれていないのね?大丈夫。心配いらないわ。私ならあなたを助けてあげられる。」
    その優しげな声に励まされて可藻目は尋ねた。「そういうあなたは?」すると…
    「私?おまえはこの私を知らないというの?我こそは赤の女王・レディー羽印虞素」そう高らかに名乗りを上げた。
    投稿日:2017年06月08日 13時01分
    GOOD! 9 コメント 3

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    • ことなみ 06/08 13:15
      羽印虞素> ニヤリ お二人の知性と教養があふれて、、、
      やっと読めた (‥;)
    • Wings to fly 06/08 20:23
      昔ヤンキー路線を踏襲していただき、そして登場させてくださってありがとう(笑)
      あのうさぎさん、手下だったのか!かわいそうにねぇ(≧∇≦)
  33. 33
    ことなみ
    ことなみ さん
    「ア、浮かんだわ」
    頬を赤らめてレディー羽印虞素が小さな声で呟いた。
    「今日のブログは”可藻目に走ることを教えたウサギ”にしましょう」


    「女王は隠れブロガーなんです」ウサギは小声でそっと言った

    「匿名だけど”ある女王のつぶやき”って題名で自費出版したのよ。ホラ印刷屋に命じたら私のことばれるでしょう。でも今ベストセラーなの」

    「本屋さんに積み上げてサイン会もしたんですよ、匿名ってサインです。買わないと帰れないでしょう」ウサギはまた一段と声を潜めた。

    「あの本持ってるね。私に寄こしなさい。血判状もあるのよね」
    「はい、女王様」可藻目はこれが災いの元だったのだ、とほっと胸をなでおろした。

    (「罪と罰」を読まない、読みたかったのよねぇ)女王は胸の奥底でそっと笑った。

    「本と血判状は私が処分します」きっぱりといった。
    「代わりにお土産の箱を上げます、帰るまで開けてはいけません」
    投稿日:2017年06月08日 21時30分
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  34. 34
    ちょわ
    ちょわ さん
    箱は、汚泥のような茶色に変色した段ボール箱だった。冷蔵庫で〆サバを腐らせたような酸っぱい臭いがした。Amazonのロゴが印刷されているのが、かろうじて分かる。


    「…ありがとうございます。でもこれを持ち歩くのは……素手で持ちたくな、いやえーと、そう!荷物になりますから!なんだか長い旅になりそうなので!お気持ちだけいただきます!」

    「いいから持っていきなさいよ。それは私が注文して届いたのを大広間の隅に置いておいたらウチのワンコが粗相をして3年くらい経ってたAmazonの小包、なんかじゃ絶対ないわよ!!すごくいいものだから!ただえーと、帰るまで開けちゃダメよ!絶対!!特にここでは!いや別に汚いからじゃないし!」

    レディー羽印虞素はやけに慌てている。

    「あっほら、このウサギ、荷物持ちに連れていっていいから!このへんは私の領土だから、コイツといると色々便宜を図ってもらえるから!」
    投稿日:2017年06月08日 23時27分
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    • ちょわ 06/09 00:22
      せっかくのお土産をなにやら臭うものにしてしまいました(^^;

      いや、臭いはアレですけど!もしかしたらホントにすごくいいものが入っているかもしれませんw
    • ことなみ 06/09 01:02
      何が入っているのかとっても楽しみ。
      このくらい期待に震えてます ヾ(。>﹏<。)ノ゙

      ちょわさんのお話がどう開いていくのかワクワクです。
  35. 35
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    うさぎが囁いた。
    「お願いだから下さいって言ってよ。」
    「い、嫌よ!なんであんな臭いもん貰わなきゃならない…」
    うさぎが慌てて言った。
    「女王様、いただくそうです!この人を送ってきます!」
    うさぎは箱を頭に乗せると再び可藻目の手を取り走り出す。広い野原のはずれに小さな店が見えてきた。
    <ドリルあります>と看板がかかっている。うさぎは可藻目を連れて店に飛び込んだ。

    「著輪姉さん!やっと手に入れました!!」
    暖簾の奥から若い小柄な女性が顔を輝かせて走り出てきた。
    「よくやったわ、うさぎ!私が思った通り、女王はコレを目覚めさせる最後の一手を知らなかった。」
    「今こそ我らの勝利の時!」
    著輪姉さんと呼ばれた女性は鼻をつまんで箱に穴を開け、店に積んであった「うんこ漢字ドリル」を突っ込んだ。
    しばらくすると、臭い箱の中から一本の草の芽が伸びてきた。
    「…肥料の匂いだったのか」
    可藻目は納得した。
    投稿日:2017年06月09日 09時28分
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    • ちょわ 06/09 14:25
      これはすごい!!巧すぎる展開ですね~!
      うんこドリル書評のご紹介までありがとうございますm(__)m
    • Wings to fly 06/09 20:38
      たけぞうさん
      え、そんな(汗)本の使い方が乱雑ですんませんって感じです(汗)
      ちょわさん
      書評をネタにしてごめんなさ〜い!でもさ、あの書評はどっかで使わないともったいないと思って^ ^
  36. 36
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
      と思う間もなく草の芽はずんずんずん伸びていき、あっという間に空の上、「夏の朝の成層圏」を突き抜けていきその先は見えなくなった。
      それを見上げながら、可藻目はため息をつきつつ呟いた。

    「やれやれ、今度はジャックと豆の木?、蜘蛛の糸?、それともカリン塔?、どっちにしても必死にこんなぶっとい木を登っていくなんてもうたくさんだわ。」

      著輪姉さんは耳ざとく聞きつけて苦笑交じりに言った。

    「あなた一体何時代の人間よ、単純な御伽噺なんか今時のブンガクが許すと思うわけ?これはね宇宙エレベーター。」
    「わあいエレベーターだ、ラッキー(^^♪」
    「あなた本当に楽天的ね、村上龍の『歌うクジラ』って知ってる?」

      可藻目は愕然とした。

    「あの趣味の悪い究極のディスユートピア小説、チョ、チョイ待てよ!」

      「キムタクかっ!」著輪姉さんは有無を言わさず可藻目を押し込みボタンを押した。
    投稿日:2017年06月09日 15時15分
    GOOD! 7 コメント 7

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    • ikutti 06/10 00:40
      村上龍は何作か読みましたがどれも圧倒させられます。
      読んだ後は放心します。
      『歌うクジラ』も凄そうですね。
    • Yasuhiro 06/10 11:26
      ありがとうございます。鮮烈なデビュー作の直後に超大作「コインロッカー・ベイビーズ」を書いたほどの男ですからね。「歌うクジラ」は読んだ後ikuttiさんと同じく放心状態、レビューしようにもどこから手をつけていいか分からず降参しました。ここで宇宙エレベーターネタを使えて本望です(w。
  37. 37
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    ※リレー小説の途中ですがここでお知らせです※

    『罪と罰』を読まない

    この掲示板に参加されている皆様はこのレビュー必読ですww
    投稿日:2017年06月09日 19時37分
    GOOD! 8 コメント 5

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    • かもめ通信 06/09 21:31
      いやいやちょわさん、あれはほら野洲比呂さんの一人芝居だから!
      (といいつつ、某かもめも積読山から数冊本を取り出してきたらしいw)
    • Yasuhiro 06/09 23:08
      お恥ずかしい。味楽さんの「実は読んでない」の一言からすべては始まったのだった(w。
  38. 38
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    可藻目をのせたエレベーターはぐんぐんと上昇し、ついには雲の上まで到達。
    ドアがあくとそこには、シンプルながら洒落たテーブルセットが一揃えあり、
    一人の男性がおいしそうにアイスティーを飲んでいました。
    「そういえば私、もう何時間も水の一滴も口にしていなかったわ。」
    可藻目が思わずゴクンとのどを鳴らすと、
    男性はようやく気づいたかのように、おもむろに顔を上げ
    「おや、新顔か。君はどんな話を聞かせてくれるのかな。」と、
    口の端を心持ち持ち上げるようにして、にやりと笑ったのでした。
    投稿日:2017年06月09日 22時13分
    GOOD! 8 コメント 3

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    • かもめ通信 06/10 06:33
      私としてはのんちゃんのおじいさんみたいな上手な諭し役を想定したつもりだったんですけれどねえ。
      あ、いや、別に哀愁亭さんには老け役が似合うとか思ったわけでは決して!!!ww
    • 哀愁亭味楽 06/10 17:48
      おお、そうだったのですね。いや私「ノンちゃん雲に乗る」も読んでないのでって、なんかそんなのばっかし(汗

      ちなみに私、隠れロウジンスキーなので老け役全然オッケーです~
  39. 39
    「あの、もしよかったら、そのアイスティー、一杯いただけないかしら?」
    可藻目が言うとアイスティー男は
    「うーん、いいけど、その代わりに何か話を聞かせてくれないか。アイスティーはその後で」
    と言ってまたにやりと笑った。可藻目は腹を立て、
    「あなたに聞かせる話なんて何もないわ。いいじゃない、一杯くらい」
    「だめだね」
    「あ、そ。じゃあもういいわ。別の誰かに頼むから」
    そう言って再びエレベーターに乗り込もうとした。すると、アイスティー男は
    「や、君、ちょっと待ちなさい。ここで君に帰られたらせっかく待ちわびた私の出番がもう終わってしまう……じゃなくって、多分君にとって良くないと思うんだ」
    「あら、どうして?」
    「それを知りたければ何か話を……」
    「さようなら。もうあなたの出番は終わりね」
    「だー! ちょっと待って。分かったよ。まずは落ち着いてアイスティーでもどうぞ」
    「最初からそうすればいいのよ」
    投稿日:2017年06月09日 23時11分
    GOOD! 8 コメント 2

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  40. 40
    ikutti
    ikutti さん
    目の前のアイスティー男が差し出したアイスティーは今まで味わったことのないおいしさだった。
    「おいしいだろう、知恵を授かる木から作らせた茶葉なのだよ」

    喉が潤うばかりか身体から疲れが抜けていくのを可藻目は感じた。
    「君はまだ高みを目指さなければならない。この知恵が君を助けることになるだろう。だからね、何か話を・・・」

    可藻目はため息をつきながら、ある朝目覚めると巨大な虫になっていた男の話をし始めた。
    投稿日:2017年06月09日 23時35分
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    • かなえ 06/09 23:55
      二転三転のストーリー。目が離せませんね。
      続きがとても気になります!
      明日の朝にはどんなお話になってるのかなぁ。
      楽しみにしていますよ~♪
    • かもめ通信 06/10 06:35
      朝起きたら、昔の「変身」レビューにいくつか票が入っていて何事かと思ったら発信源はここだったのか!w
      てっきり、朝起きたらアイスティーになってしまう話かとおもいきや…次でハリセン?!
  41. 41
    たけぞう
    たけぞう さん
    「その男は巨大な虫になったの」男が聞き耳をたてる。「話せないし下手をしたら駆除される。自由に動けなくて心配…でも本当はどうでもいいの。虫になりたかったのは自分。仕事に行きたくなくて心のどこかで望んだの」
    「分かる気がする」男はマイセンのポットを引き寄せ二人の紅茶を注ぐ。「ただのお荷物でも家族は愛してくれるのか。虫に変身した男は存在意義に悩み、戻れない体に絶望するの」「最後は?」「それは自分で見つけて」
    チン。男がポットをはじき透き通った音色が響く。
    「これはいい物だ」

    可藻目は男の視線を外し物語の終わりを告げた。ここは男のカフェらしい。カウンターに愛州帝牛乳と書いたボードがある。
    「あいしゅうていぎゅうにゅう?」
    「DJ風に読むとアイスティーミルク。ま、好きなように」
    「なんで牛乳でミルクなのよ」
    「だって母乳だとまずいだろ。僕にも立場が…」
    スパーン。可藻目はハリセンを握りしめていた。
    投稿日:2017年06月10日 00時42分
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    • Yasuhiro 06/10 11:29
      へ~、愛州亭さん、母乳が好きなんだ~、どっかで使おっかな~(^^♪
    • 哀愁亭味楽 06/10 17:01
      ええ。さらに本音を言うと別に母乳がでなくてもい……ってコラ!
  42. 42
    ちょわ
    ちょわ さん
    「……じゃ、私の名前も明らかになったことだし、君の旅路はまだ長い。そろそろ戻りたまえ」

    ハリセンで叩かれた頭をさすりながら、愛州帝はエレベーターの▼ボタンを押した。

    「最後にこれをあげよう。いつか君は、私と私のアイスティーを再び必要とする時がくる。その時はこのチタニウムのカードで私を呼び出したまえ。さ、エレベーターが来たようだ。SW遺伝子を埋め込まれる前に、あと『歌うクジラ』を一行も読んでないことがバレる前に、急いで帰りなさい」

    「何だか分からないけれど、ありがとう」

    可藻目はエレベーターに乗り込んだ。

    「えー、それでは、最後にひとつ講釈にお付き合いのほどを」

    そこでエレベーターのドアが閉まったので、可藻目はせっかくの講釈を聞き逃してしまった。
    投稿日:2017年06月10日 01時04分
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    • ちょわ 06/10 09:17
      お~たけぞうさん!いやいやたけぞうさんが哀愁亭さんにものすごくピッタリな素敵な名前をつけてくれてよかったです(>_<)私あやうく変な名前をつけるところでした…。

      そして歌うクジラネタを無理矢理ツッコミましたが、次はどんな本が飛び出すやら~。
    • Yasuhiro 06/10 15:15
      昔ハルキストだったころなら「井戸に潜らせる」ところですが、某二人のレビュアーに無理やりナツキストにされてしまったので、多分もうそのネタは使いません。それにしても一度は宇宙で「ヤー・チャイカ(私は可藻目)」と叫んでほしかったな~(笑。
  43. 43
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    「愛州帝の紅茶は美味しかったけど、考えてみたら輪貴さんと打ち合わせをして以来なにも食べていないわ。」

    可藻目のお腹がグーっと鳴った。すると、まるで合図のようにエレベーターが停止しドアが開いた。「もう着いたの?」足を踏み出すと時代劇のような風景が広がり、着物姿の若い娘が小さな店の前で客を呼んでいた。

    「さあさあ、はてなの飯ですよ!味見して行くっち!」
    娘の持つ盆の上には何やら良い匂いのする握り飯が並んでいる。
    「なんだい、こりゃ。ウメエじゃねえか!もっと食いてえや!」
    味見した町人髷の男たちが次々に暖簾をくぐって店に入ってゆく。

    「つる屋」と染め抜かれた暖簾をわけて、初老の男が顔を出した。
    「お澪坊・・・おっと、今じゃ”行くっち坊”だったよな!そろそろ満員だぜ!」
    「はい、旦那さん。」
    可藻目と目が合った娘がにっこり笑うと、眉毛が下がった。
    「さあさ、お嬢さんも食べて行くっち。」
    投稿日:2017年06月10日 18時31分
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    • ことなみ 06/10 22:48
      いつの間にか進んでるというか、時代が遡ってる。わぁぉ(^▽^)/
    • かもめ通信 06/11 06:45
      あら、みをつくし、TVドラマになっているの?知らなかった…。
  44. 44
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    とりあえずお腹を満たそうと勧められるままに席に着いた可藻目に差し出されたお品書きには、ちょっと変わったメニューがずらり。
    とりわけ目を引いたのはドリンクの項。
    キャベツのお茶は、消化促進の効能があり、イラクサのお茶は記憶力を強化する、パピルスのお茶は枯れた欲望をふたたび燃え上がらせる…?!
    中でも気になったのは、一番最後に載っているのは「物語のお茶」!
    本日のおすすめ料理とともにこのお茶を注文したことは言うまでも無い。

    お腹いっぱい食べた後、食後にでてきたちょっと変わった色のお茶を一口飲むと……。
    投稿日:2017年06月11日 06時44分
    GOOD! 8 コメント 1

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    • かなえ 06/11 11:44
      飲むと? 飲むと…?!
      どうなるのかしら…!
  45. 45
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
      この上ない高雅な香りが鼻腔をさし絶妙な味覚がのど元を通り過ぎる。可藻目は陶然とした。

    「いかがでおます、拙のたてたお茶は?」

      驚いて目を開けるとそこは茶室、恰幅のいい茶人が微笑んでいる。

    「信じられないくらい美味しい。」
    「そらそうでしょうなあ、お~いお茶なんぞとはものがちゃうよってに」
    「えっ、なんで私が市川海老蔵ファンであのお茶を飲んでることをご存じなの?」

      そこで可藻目は思い出した、千利休を海老蔵は演じたではないか!

    「あなたは千利休様!」
    「残念、利休の師匠の武野紹鴎と申します。『利休にたずねよ』で貴方様を匿う役目なんやが、そうすると結局貴方は死ぬし利休もいずれ切腹。」

      緑釉の香合と引き換えに現実界に戻すと紹鴎は言う。でもそんなもの持っていないわ、と思った可藻目はふと気がつく。あのチタニウムプレートが形を変えて香合になっているではないか、さあどうする!
    投稿日:2017年06月11日 12時15分
    GOOD! 7 コメント 3

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    • ikutti 06/11 23:32
      チタニウムプレートの上手い使い方によだれが垂れてしまった。
    • Yasuhiro 06/12 07:15
      あ、上でコメントしたらもうみてもらってたんだ、ありがとうございます。
  46. 46
    そのとき可藻目は気付いた。回りを黒装束の男達に囲まれていることを。
    男達は武野紹鴎を羽交い絞めにし、可藻目に言った。
    「北野可藻目は貴様だな。我らが伊賀一族の棟梁、服部多毛増様から奪った本、返してもらおうか」
    「ああ、あれね、あれ……レディ羽印虞素に取られちゃって」
    「なに!?あの赤の女王に!!」
    男達はざわめき立つ。
    「貴様、それがどういうことを意味しているのか、分かっているのだろうな?」
    「いや、全然」
    「とにかく貴様は赤の女王の元へ行き、あの本を取り返してくるのだ。さもなければこの老いぼれを殺し、この香合はどこぞの戦国大名にでも売りつけてやるわ。よいな!」
    そう言うと男達はぼわんっと白い煙とともに姿を消した。


    「あー!あいつら、お代を払っていないっち!」
    行くっち坊が叫ぶ。
    そのとき、可藻目は気付いた。そういや自分もこの世界のお金を持っていなかったということを。
    投稿日:2017年06月11日 16時36分
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    • たけぞう 06/11 21:58
      差し出がましくて恐縮ですが、登場本リストを設定コメントのところに作りました。
    • かもめ通信 06/12 05:46
      おおっ!たけぞうさんありがとうございます。
      この登場本の定義がまたちょっと難しいところですね。
      空振りになったものも入れようと思うとww
      たとえば「冬の夜ひとりの旅人は」は、開くたびに他の話になってしまうし
      「のんちゃん雲に乗る」は雲の上でおじいさんにあれこれ話をするうちに見えなかったものが見えてくる話だしww
      最後に登場した本の中からお勧め本コーナーでも設けようかしらw
  47. 47
    ちょわ
    ちょわ さん
    お金がないなら体で払ってもらうっち!ということで、可藻目はレディー羽印虞素の所に戻る前に、つる屋の皿洗いをすることになった。

    「さっ!キリキリ働くっち!お客様がどんどんいらっしゃってるんだから、早くしないと間に合わないっち!回転率が……原価率が…」

    ぶつぶつ言いながら次々料理をこしらえている行くっち坊を尻目に、可藻目は大量の茶碗やら皿やら湯呑みやらと格闘した。

    「行くっちさんごめんなさい…」

    「いいんだっち。事情があるなら仕方ないっち。ツケ払いにしてもいいんだけど、今なるべく早くお金を稼ぎたいから、手伝ってもらったほうが助かるっち」

    喋りながらも、行くっち坊の手は休まずに、はてなの飯の具の戻り鰹をさばいたり、鍋の中身をかき混ぜたり、ときどき空中でそろばんをはじいたりしている。

    「私には、今は吉原で言渚魅太夫になっている幼なじみのお言を身請けするという、大きな目標があるんだっち」
    投稿日:2017年06月11日 21時49分
    GOOD! 9 コメント 7

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    • かもめ通信 06/12 05:48
      やーこれは、ネタ本をいかしたうまい展開!さすがちょわさん!一行も読んでいないというのにすごすぎるわw
    • ちょわ 06/12 22:18
      一応wikiであらすじチェックしたのですけど、合ってるかドキドキでした(^^;
      「っち」語尾は書いてて楽しかったです(^-^)


      そして、コメント欄の言渚魅太夫のセリフに萌えました!イメージ通りです!最高(>_<)
  48. 48
    たけぞう
    たけぞう さん
    吉原、太夫、身請け。可藻目の記憶が呼び覚まされる。読んだことのある本の内容を具現化できる能力。いまこそ必殺技を叫ぶとき!
    「ヤー・チャイカ」光が走ると、可藻目は南極1号伝説を手にしていた。
    「さあ、この本を吉原に持っていき、言渚魅太夫の部屋に投げ込むのです。本が身代わりになってくれます。太夫がお言に戻れるのです」
    「しかしお店がてんてこまいだっち」

    きらん。可藻目の目が光る。皿を洗いながら行くっちの手際を覚えたのだ。
    1.戻り鰹を醤油・酒・みりんで煮込む
    2.ご飯に混ぜる
    3.はてなの飯の完成!
    驚く行くっちを横目に一杯作り上げた。続いて鰹の代わりに鮭を使い、いくらを散らして差し出した。
    「名付けて北はてなの飯」
    「て、天才だっち。江戸の魚ではないね?」
    「この時代には早かったかしら。さあ時間がないわ。早くお言に会いに行って」
    「目指せ銀二貫!」行くっちは叫びながら店を飛び出していった。
    投稿日:2017年06月11日 23時56分
    GOOD! 9 コメント 4

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    • Wings to fly 06/12 20:19
      「はてな飯」には、あさつきと揉み海苔を散らして食べるのが美味いっち!(こないだ作ってみたよ。生姜をたっぷりがコツですな。)
      ただいま身辺多忙につき明日以後に参加するっち。
    • ことなみ 06/12 22:47
      わちきの妓楼は、輪番制で7月の夏祭り当番に当たり、明日はイカのげそ焼、(ってどんなものイカの足だけ焼くの??)を作る準備をするそうな、珍味かもでありんす。
  49. 49
    はにぃ
    はにぃ さん
    「ほぉー、ほっ、ほっ!そうはさせないわよ。」
    どこからか甲高い声が聞こえてきた。
    「その本はあたくしのものよ。返していただくわ。
    それから実は、太夫はあたくしの一番弟子なの。
    まだまだ稼いでもらわないとならないのよ。」
    駆けだそうとした行くっちの前に現れたのは・・・
    投稿日:2017年06月12日 22時50分
    GOOD! 9 コメント 6

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    • たけぞう 06/14 00:20
      Honey王女を思い浮かべながらネタふりしました(本当
    • はにぃ 06/15 17:58
      ことなみさん 途中参加で全然ついていけませんが、どうぞよろしくお願いします。

      姐さん ありがとうございます。南極1号に呼ばれたのかも(^-^;

      多毛増さま あの本を取り上げてくださってありがとうございます。
      どうぞよろしくお願いします。

      参加したものの、どれだけついていけるかわかりません。
      でも、前のリレー小説よりはだいぶゆっくりですよね♪
      なんとか完結まで見守りたいと思います。
  50. 50
    ikutti
    ikutti さん
    吉原へ向かう行くっちの前に現れたのはレディー羽印虞素だった。
    「返してくださいっち、お言を助けるんだっちーー」
    レディー羽印虞素は奪った「南極1号伝説」を小脇に抱え吉原の奥へと逃げて行った。
    そして目の前の吉原大門が閉まろうとしていた。
    途方にくれる行くっちにある男が声をかけた。
    投稿日:2017年06月12日 23時04分
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    • Wings to fly 06/13 15:37
      ごめんね(笑)きっと悪さをするんだよ。どんなだかはわからないけど。
    • mono sashi 06/15 11:47
      Wings to flyさん
      すいません、つい熱くなってしまって……>_<。
      この後どんな展開になるか楽しみです。
  51. 51
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「娘、悪いことは言わない。取り返しのつかないことにならないうちに、さっさと家に帰るんだな」
    暗がりから出てきた男がいう。

    「あれは、あのレディー羽印虞素は、おまえが相手にできるような女じゃない。俺でさえ、手玉にとられているぐらいなんだから。」と、自虐気味につぶやく横顔には、どこかで見覚えがあるような…。

    「あなたはもしや!あの伝説の殺し屋“者殺師”じゃないっち?!」思わず声を上げかけたいくっち坊の口をふさいで男が言う。

    「人違いだろう。だがどうしておまえはその“者殺師”の顔を知っているんだ?殺し屋は顔など売るもんじゃなかろうに。」

    「人違いだったらわるかったっち。でも“者殺師”はみんながいうような血も涙もない殺し屋なんかじゃないっち。昔、わたしらがまだ小さかった頃、お言ちゃんと私を助けてくれた命の恩人なんだっち。」
    そういっていくっち坊は見知らぬ男相手に身の上話を始めたのだった。
    投稿日:2017年06月13日 06時02分
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    • mono sashi 06/13 12:25
      伝説の殺し屋……者殺師!! あざっーーす! 
      まさかこんないい役を与えていただけるとはw
      いやー、実はタイミングを見計らい、
      誰かのお付き役としてケロをぶっ込もうと思っていたのですが、
      かもめさんが登場させてくれるとは思わなんだ。感謝・感謝です(_ _)

    • Wings to fly 06/13 15:44
      渋いね、者殺師!!
      それで、えっとー。羽印虞素から本を2冊取り返さなきゃならないんだよね?「南極1号」はお言ちゃんのためで、「罪と罰を~」は人質になった武野紹鴎を助けて香炉を取り返すため・・・で良かったんだっけ?
      者殺師がキーマンになりそうですねえ。
  52. 52
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    いくっち坊とお言は、洪水で親も家も失いさまよっているところを助けられた。親切な男は、いくっち坊を知り合いの料亭に預けた。その時、いくっち坊は料亭の主人がひっそりと男に囁くのを聞いていたのだ。
    「者殺師さんの頼みとあらば、大事に育てますよって。あんさんもそろそろ殺し屋家業からから足を洗いなさいましよ。」
    そして男はお言を連れて旅に出たのだった。

    「・・・ということは・・・へ?あなたがお言ちゃんを遊郭に売った?!」
    「ちが、違うって!あわわ。」

    口を押えても遅かった。その一言でいくっち坊は、この男があの者殺師であることを確認した。
    「あのレディー羽印虞素めに攫われたのだ。上玉だねえ、お寄こし!!とか言ってさらっていき、金目当てに吉原に売ったのだ。」
    それ以来、者殺師は密かに吉原に潜入し、さる遊郭の用心棒として働きながらお言が太夫になるまでを見守ってきたのだった。
    投稿日:2017年06月13日 16時15分
    GOOD! 8 コメント 0

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  53. 53
    「と、とにかくお前がお言を助けるためにはレディー羽印虞素から本を取り返す必要があるようだ。今この世界はあの赤の女王によってあらゆる本が奪われてしまっている。レディー羽印虞素は匿名ブログで『本が読めなければ漫画を読めばいいじゃない』という記事を書いた。多くの人がその言葉に怒りを覚え、炎上レジスタンスが始まっている。そして噂では北の国から世界を救うカモメが飛来したとも聞いている」
    「北の国から来たカモメって…」
    「お言の身はひとまず俺に任せておけ。お前は救世主のカモメやレジスタンスのリーダーであるドリル屋とともに赤の女王の元へ行き、この世界に本を読む自由を開放するのだ。だが、気をつけろ。レディー羽印虞素の手下には超能力者や講釈師がいるのだとか。奴らの言葉に惑わされるな」
    「分かったっち!お言のことは頼むっち!」
    いくっち坊は店に帰る道を急いだ。救世主のカモメはきっと、あの女の子だ!
    投稿日:2017年06月13日 16時47分
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    • Yasuhiro 06/13 18:30
      を、ついていけないうちに超能力者が下っ端ヒールに(w。羽印虞素様に逆らうと裏返すぞっと(^^)。
    • 哀愁亭味楽 06/13 21:19
      Wings to flyさん

      ありがとうございますー!
      >断頭台 やや、きっとそんな血なまぐさい展開にはならないはず!

      Yasuhiroさん

      勝手に悪役の方にまわしちゃってすみませんwまたご登場いただきたいなーというのもあったので。
  54. 54
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
     息せき切って帰ってきたいくっち坊に驚いた可藻目だったが、その経緯について聞かされてなおのこと驚いた。私が救世主?ないない、ありえない!

    「きっと何かキーアイテムがあるはずだっち」
    「う~ん、あっ、ひょっとしてこれかしら?」

    例の緑釉の香合を懐から取り出した時、様子のおかしい二人のことを聞きつけ駆けつけていた女将の芳が驚いた。

    「あなたどうしてそんな高価なものをお持ちだい?それは一角獣の骨からとった『夢見の香』の入った幻の香合『世界の終わり』だわ」

    その香を焚くと、今一番見たいものが見えるという。

    「それだっち、可藻目ちゃんが焚けばきっとヒントが見つかるっち!」

     事情を訊いた芳は二人を奥の部屋に通し香を焚く準備を整えてやった。可藻目は『夢見の香』をひとつまみくべた。そして煙の中から現れたのは。。。
    投稿日:2017年06月13日 22時16分
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    • かもめ通信 06/14 13:05
      もしかしてYasuhiroさん,可藻目ちゃんが話について行けるように工夫してくれたんじゃない?w
      いろいろ気を遣わせてごめんなさいね~。
      でもまああんまり難しく考えずに気楽に楽しんでください。
      たとえYasuhiroさんが難しい技を繰り出しても
      受ける側はそれに気づかず,
      すたすた歩いて行ってしまうかもしれないけれどww
    • Yasuhiro 06/14 13:39
      いえいえ、そういうことじゃないんですよ、メンバーを不快にさせてしまうことを書いてしまったかなと猛省しております<(_ _)>
  55. 55
    ちょわ
    ちょわ さん
    もくもくもく………ドロロン!

    紫色の煙が盛大に上がった後、黒ずくめの人影が現れた。

    「ある時は山に行く竹取りの翁、ある時はバットに乗って空を飛ぶ怪しいおっさん、してその正体は…伊賀一族の棟梁、服部多毛増様とはこのオレ様のことよ」

    シャキーン!
    手裏剣を構えてドヤ顔でポーズをキメた忍者服のおっさんは、頭巾に隠れて目しか見えないが、間違いなくいつか可藻目をバットに乗せて飛んだ多毛増その人だった。


    「またまた会ったなお嬢さん。先日は部下が手荒な真似をして申し訳ない。
    この私の姿は幻影だ。この香は遠くにいる者と話せる秘術を使うための香」

    「テレビ電話みたいなものかしら」

    「時間がないから要点だけ話すぞ。赤の女王に対抗するレジスタンスに参加している勢力の中の大きな一派となっているのが我ら伊賀一族。南極1号を取り戻しお言を助けたければ、我らと手を結ぶのだ」
    投稿日:2017年06月14日 10時41分
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    • たけぞう 06/14 21:45
      おおぅ、まさかの展開に。赤の女王チームとレジスタンス側に登場人物を分けていたら、多毛増がどっちつかずでやばいと思っていました。雑魚キャラのボケでもやろうかと考えていたところ、もったいない役どころで、ありがとうございます。
    • ちょわ 06/15 20:21
      実は、湯治の合間にぼーーっとゴロゴロしている時に書き込んだもので、なんとなくバットに乗った多毛増さんを再び出したいなぁ~という軽い気持ち先行で書いてしまいました~

      後でWings to flyさんの>58を読んで、あっレジスタンスのリーダーって著輪だったんだ、と気づいて慌ててちょっと修正しました。失礼しました~(^^;

      まだぼーーっとしてるので、しゃきっとしたらまた参加いたしますです。
  56. 56
    ikutti
    ikutti さん
    「う、うぅ…」
    可藻目は躊躇した。あのとき助けてもらったとはいえ信用ならん。
    ふと横を見ると行くっち坊がきらきらした目で可藻目を見つめていた。
    「わかったわ、手を組もうじゃない」
    まさに背水の陣、仕方ないわ。

    「そうとなれば話は早い。お嬢さん、あの呪文を唱えてみな。わたしは、吉原で待っているぞ」
    と服部多毛増はかっ消えた。

    もうまたあの呪文を叫ぶの?
    可藻目は声高に叫んだ。
    「ヤーチャイカ!」

    すると一冊の本が現れた。
    「この本はわたしの大好きな円紫シリーズだっち」
    可藻目と行くっちは店の外へ出ると本を開いた。
    投稿日:2017年06月14日 13時50分
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    • かもめ通信 06/14 16:37
      なんと行くっち坊は円紫シリーズのファンだったのか!
      可藻目のことは知らないけれど,
      私はあれダメダメだ~wあ,でもピブリアよりはずっといいかと
      最近見直しつつあったんだっけww
    • ikutti 06/15 12:46
      人が死ぬミステリばかり読んでいて、北村薫を初めての読んだとき感動したんだっち。
      と言っています。
  57. 57
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「空飛ぶ馬」から飛び出すのはいったいなんだろう?と、首をかしげるまでもなく、現れたのは片手にアイスティー、もう一方の手に扇子をもった愛州亭と名乗った男。
    者殺師は確か、この講釈師、赤の女王の手下だと言ってなかったか?!
    「なんであなたが!」と可藻目が叫ぶのと同時に男も口を開いた。
    「おやおや君かい?お嬢さん。しかしまたあのときあげたチタニウムのカードではなく、その本で私を呼び出すとは…いやはや参ったねえ。」と、ちっとも参った様子もなく大げさなため息をつく講釈師。

    「そんなに大きな口をぽかんと開けていたんじゃ。いらぬものがとびこむぞ。」
    可藻目の口を閉じさせた愛州亭は、かったるそうに、しかし渋々というよりは嬉々として事の次第を話し出す。
    「私は元々どちらの味方というわけでもないのだ。召還アイティムによって立場を変えざるを得ない魔法をかけられているんだよ」
    投稿日:2017年06月15日 06時32分
    GOOD! 9 コメント 2

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    • ikutti 06/15 12:47
      なんか吉原で全員集合な予感。
    • Yasuhiro 06/15 14:19
      カードキャプターさくら、子供が小さいころ夢中になっていたのでつられて読んでました。原田知世の大ファンなので大道寺知世が好きでした(^^;)。
  58. 58
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    「それじゃ、今は私たちの味方ってことになるのよね?」
    「まあね。」

    「ホントかねえ?者殺師さんはこう言ったっち。」いくっち坊は思った。
    いくっち坊は苦労してきたので、世の中には人を騙す手合いがいることを知っていたのだ。

    ”お前は救世主のカモメやレジスタンスのリーダーであるドリル屋とともに赤の女王の元へ行き、この世界に本を読む自由を開放するのだ。だが、気をつけろ。レディー羽印虞素の手下には超能力者や講釈師がいるのだとか。奴らの言葉に惑わされるな”

    「味方だっていう証拠をみせてもらうっち!本当に味方なら、者殺師さんが言ってたドリル屋のヒトを、あなたに連れてきてもらうっち。」
    「やあ、下がり眉の可愛いお嬢さん。君にも物語がありそうだ。何か話を聞かせてくれないか?」
    「今はそんなノンキなこと言ってる場合じゃないっち!」

    すると愛州帝はにっこり笑って言った。
    「この野郎。キスしちゃうぞ。」
    投稿日:2017年06月15日 14時50分
    GOOD! 10 コメント 5

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    • Wings to fly 06/15 22:03
      あの書評にはたいそう楽しませまでいただきました!
    • そのじつ 06/26 16:36
      ウイングスさんのネタがツボで、声だして笑ってまう。
  59. 59
    はにぃ
    はにぃ さん
    そう言いながら愛州帝は持っていたアイスティーを空高く放り投げた。
    そして、行くっちを壁に追いやりドンと手を突くと、行くっちの唇を奪ってしまった。
    「な、何をするのだっち!ま、まさか・・・こ、これがあの、う、噂の・・・」
    行くっちはそのまま崩れるように倒れた。
    地面に横たわっている行くっちに、空から茶色の液体が降り注ぐ。
    すると・・・
    投稿日:2017年06月15日 17時50分
    GOOD! 9 コメント 4

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    • ikutti 06/15 23:24
      はにぃさん、いらっしゃーい
    • はにぃ 06/16 17:56
      ikuttiさん よろしくお願いします。
      行くっち坊には幸せになってもらわないと!
  60. 60
    行くっち坊の姿が少しずつ薄くなっていく。

    「うまく騙せると思ったのだがね。そうすれば二人とも女王の元へ連れて行ったものを」
    愛州帝はニヤリと笑った、
    「次は君の番だよ、お嬢さん。大人しくして」
    そう言いながら愛州帝は口を蛸のようにして近づいてくる。

    そして……


    ぶちゅっ


    ……


    「む、むむむ。お嬢さん、こう言っては失礼だが、君の唇の味はまるで……フナ寿司のようだ」
    そう言って愛州帝が目を開けると、彼が口づけをしていたのは可藻目の唇ではなく

    う○こだった。

    「な、なんだこれはー!!!」
    愛州帝はあまりの臭さに悶絶して気絶した。う○こは愛州帝の唇にくっついたままドリルへと変わる。
    「危ないところだったね」
    著輪姉さんが可藻目を見て言った。
    「あの木馬がなければ間に合わなかったわ」
    そう、可藻目の呪文が召還したのは円紫師匠まがいの講釈師なんかではなく、空飛ぶ木馬だったのだ。
    投稿日:2017年06月15日 18時33分
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    • はにぃ 06/15 22:57
      い、行くっちはどうなるのですか?
      まさかこのまま消えないですよね?
      救世主は誰なの?
      続きが気になってしょうがないじゃないですか!
    • ikutti 06/15 23:23
      素晴らしい展開。
      >君の唇の味はまるで……フナ寿司のようだ
      で吹いた。
  61. 61
    ikutti
    ikutti さん
    「さあ、可藻目行くわよ、いざ吉原へ!」
    と著輪姉さんが手を伸ばした。
    「行くっち坊は女王の元に転送されたわ。さあ、みんなを助けに行きましょう」
    可藻目が木馬に乗り込むと空高く舞い上がった。

    吉原上空へ着くと満開の桜が迎えてくれた。
    提灯の灯りと相まって妖しくも美しい吉原の町。
    仲ノ町の一番大きな店の瓦屋根の上へと降り立った。

    「やあ、お嬢さん、また会えて光栄だよ。」
    そこには黒づくめの忍者たちと共に服部多毛増が待っていた。
    投稿日:2017年06月15日 23時37分
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  62. 62
    たけぞう
    たけぞう さん
    可藻目の後ろから著輪姉さんが顔を出すとざわめきが起こった。
    「あ、あなた様は」多毛増がさっと跪き忍者たちも従う。驚く可藻目を横目に著輪姉さんがゆっくりと口を開いた。
    「ご苦労。吉原の大門は閉まったけど、お前の呼び寄せでなんとか着けた。いつもは失敗だけど役に立つこともあるのね」
    「で、では、世間様なみに賞与3カ月分など」
    「このケチ増!」多毛増は雷に打たれたように跳ね上がった。
    「私が何も見ていないとでも思ったの? ……はてな飯のお代」忍者たちがあたふたし始める。
    「ほ、本さえ取り返せば埋め合わせが、あわあわ」多毛増の声は今にも消えそうだ。著輪姉さんが切れ長の目を細める。
    「ドリルの刑だけはっ」多毛増は穴に入る勢いでひれ伏した。
    「分かっているわよ。これからお言と行くっちを取り戻さないといけないし。しっかり働くのよ」
    著輪姉さんが可藻目に顔を向けた。
    「頼りないけど人数だけはいるからさ」
    投稿日:2017年06月16日 00時33分
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    • ちょわ 06/16 13:49
      レジスタンスがブラック企業みたいなんですけどww
    • たけぞう 06/16 21:32
      >かもめ通信さん、ikuttiさん
      すみません、一番手ってなんだかこそばゆくて。著輪さんを隠れみのにしてしまいました。

      >ちょわさん
      経済ヤクザと言われる時代です、レジスタンスもビジネスですよ♪
      多毛増がちょっと偉そうなのでお灸をすえただけでして。
  63. 63
    ikutti
    ikutti さん
    「多毛増様、店の下階にも上階にもお言殿と行くっち殿はおりませぬ。店の地下牢かと思われます」
    と内偵に出ていた者が帰ってきた。
    「わたしたちが来ると考えさては二人を隠したな。確か裏手にある神社の井戸が地下牢と通じていたはず」
    と多毛増を先頭に神社へ向かった。

    井戸を全員で取り囲む。
    「ここから本当に入るの?なんか深そう」
    可藻目は少し涙目である。

    「皆の者、救出奪還に向かうぞ!」と円陣を組むと著輪姉さんが一番手で飛び降りた。
    投稿日:2017年06月16日 09時58分
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    • ikutti 06/16 10:00
      井戸といえば、「ねじまき鳥クロニクル」か「有頂天家族」か「リング」である。
  64. 64
    ちょわ
    ちょわ さん
    著輪姉が飛び下りた瞬間…

    ゴッッヅゥゥゥゥン!!

    凄まじい衝突音が井戸の中から響いてきた。

    「ややっ何事!?」
    多毛増が慌てて井戸に降りると、中で倒れている二人の人影があった。

    「こっちの白眼剥いて鼻血出して気絶してるのは著輪の姉御として…この長い髪の不気味な女は何だ」

    多毛増は知るよしもなかったが、それは井戸に住み込みで警備していた亡霊・貞子で、一行が来たのに気づいて全員を根こそぎ呪い殺そうと這い出てこようとしたところだったのだが、ちょうど入ってきた著輪姉と鉢合わせし、頭と頭が激しくごっつんこしてしまったのだった。

    「仕方ない、姉御を担いで先を急ぐぞ」

    多毛増は手下四人に命じて担架で著輪姉を担ぎ上げた。

    「うっ…重い!お頭、これは厳しいです!」

    「通路の幅からしてこれ以上の人数で担いだら通れないんだ。気合いで我慢しろ。…姉御また太ったな。相撲取りにでもなるつもりかね」
    投稿日:2017年06月16日 14時07分
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    • かもめ通信 06/16 17:55
      著輪姉さんってば、いつのまにそんなに肥えたのよ?!
      さてはストレス太りか?!(><)
    • ちょわ 06/16 23:56
      著輪の体重は本を読みながらヤケ食いするチップスターとうまい棒により増加中ですww
  65. 65
    井戸の中を進んでいくと、そこには見慣れた風景が広がっていた。そこにあったのは大きな本棚だった。夏目漱石全集の隣に池澤夏樹の本…ここは、深海の庵・農地羅須だ。
    「また会えたね」
    着流し姿の男性が言った。
    「ここまで来たということは愛州帝は失敗したということか。いやはや、君の潜在能力には驚かされることばかりだよ、お嬢さん」
    「言渚魅太夫と者殺師さんはどこに?」
    「この二人のことかね?」
    野洲比呂はそう言って本棚から一冊の本を取り出し、ページを開いた。二人の男女が描かれている。
    「私の能力が裏返りであることはもう知っているだろう。ならば当然裏返りの裏返りもまた、造作もないわけだ」
    野洲比呂は微笑む。
    「おっとそれからそこの忍者諸君。君たち動かない方がいいよ。ここには結界が張られている。一歩でも足を踏み入れたら…」
    ヒューン、と言って野洲比呂は白紙のページを指差した。
    「さ、チェックメイトだ」
    投稿日:2017年06月16日 17時18分
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    • かもめ通信 06/16 17:57
      おっ!野洲比呂、かっこよく再登場!
      しかし、伝説の殺し屋者殺師がww
    • mono sashi 06/17 18:43
      伝説の殺し屋・者殺師……お前はいったいw
  66. 66
    はにぃ
    はにぃ さん
    「キマった。やっぱり俺ってカッコいい。」自分に酔いしれていた野洲比呂は、次の瞬間我が目を疑った。
    カッコつけている間に、閉じ込めていたはずの言那魅太夫と者殺師がなぜか本から飛び出し駆け出して行ったのだ。「な、なぜだ!結界は・・・?ま、まさかあいつら・・・」そう言いながら、崩れるように倒れてしまった。

    その頃、行くっちは一人地下牢で悲嘆に暮れていた。
    どうやら閉じ込められているようだ。
    「どうしてこんなところにいるんだっち?お言ちゃんはどうしているんだっち?」
    そこへ禿の一人がやってきてそっとふみを差し出し、逃げるように去っていった。
    「こ、これは・・・」
    ふみを読んだ行くっちは、崩れるように倒れてしまった。
    床に落ちたふみには
    「あいすてぃ + うんこかんじどりる → やあちゃいか 」
    と書かれていた。
    投稿日:2017年06月16日 17時51分
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    • かもめ通信 06/16 18:47
      えいやっと続けてみましたw
    • ことなみ 06/16 19:08
      また出た!うんこドリル 、貞子まで 笑
      解放されたけど、生き残って読み逃げしてます(>人<;)
  67. 67
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「しかし、人間っていう奴はどうしてこうも迷信深いんだろうねえ。今どきうんこドリルの呪いを信じて卒倒するなんて、この娘、ウブだよなあ。」
    倒れた行くっち坊の元に音もなく戻ってきた禿は、くるくると踊りながら猫の姿に変化した。
    「ダンシングキャット、おまえ、“おごれる者は久しからず”という人間のことわざをしらないの?人を侮るようなことを言ってはいけないわ。」と、牢の隅の暗闇から凜とした声が響く。
    一瞬そこだけにスポットライトが当たったかのようにまぶしい光がさし、光の中から背中の羽を羽ばたかせながらなぜか足下にスリッパをはいた妖精が現れた。
    「そういいますがね。羽似衣王女、人間なんて本当にどうしようもないとおもいませんか?われらがかつて人間に与えた魔法界のアイティムをめぐって争奪戦を繰り広げるなんて」と相変わらず踊りながらキャットはいう。
    投稿日:2017年06月16日 18時46分
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    • はにぃ 06/16 23:02
      姐さん、稚拙な書評へのリンクまでありがとうございます。
      わーい、妖精の王女だ。
      でも、レディー羽印虞素とダブル女王!?
      私は汚れ役でも何でもします。
      芸術のため、リレー小説のためなら脱ぐことも厭わない・・・って需要がないか。
    • ことなみ 06/16 23:12
      Oh Legend Review!! (喜んで気取ってみました(-_-;))
      ざりがに、美容サンダル、レビュー読み冥利でありんす(まだやってるアハ)
  68. 68
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
    Baaaang!


    「全く妖精の悪戯好きにも困ったんだ。僕の『遠目』も知らずに倒せると思うなんて見
    くびられたもんだね、『さよなら妖精』に君たちを封印してあげるよ、ピッタリだろ。」

      野洲比呂はキャットとスリッパの羽似衣王が踊っている紙面に、落ちていたメモを挟み込んでそっと閉じた。そして座敷牢の施錠を『消しゴム』で消し、まだ気を失っている行くっち坊にそっと手を触れ彼女の記憶を『しまう』ことにしばし集中した。

    「ふ~ん、愛州亭も脇が甘いねえ、こんな関係ない子まで巻き込むからやられちゃうんだよ。可哀そうに、嫌な記憶はすべて消してあげるよ、これで元通りの唇処女に逆戻り。さあどうぞ後ろのお嬢ちゃん。」

      お言ちゃんが暗闇から飛び出して行くっち坊に縋りつく。

    「さあ、君たちの要求は果たしたよ、まだ僕に用があるのかな、可藻目君と殺し屋君?」

      
    投稿日:2017年06月16日 22時21分
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  69. 69
    ちょわ
    ちょわ さん
    「行くっち坊!しっかり!」

    「……はっ!私は一体どうしたっち!?あれ?お言ちゃん??これは夢だっちか?」

    「気がついてよかったでありんす……あぁ、吉原で使っていた花魁言葉が抜けないでありんす。でも、行くっち坊とこうして再会できるなんて、本当に夢のよう…」

    「あの~お取り込み中すいません、私はどうしたらいいですかね」
    本から一緒に飛び出してなんとなく言渚魅太夫に着いてきてしまった者殺師は途方にくれていたのだが…

    じろり。
    抱き合って再会を喜ぶお言と行くっち坊に同時に睨まれ、そっと口をつぐんで牢のすみっこに行き、体育座りをした。




    その頃、すっかり農地羅須に置いてけぼりにされた可藻目・著輪・多毛増たちも途方にくれていた。

    「本から出てきた二人が走って行ってしまったら今度は倒れた野洲比呂が突然消えたなんて…。皆どこにいったのかしら」

    「とにかく二人が行ったこの道を辿りましょう」
    投稿日:2017年06月17日 09時25分
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    • mono sashi 06/17 18:18
      おとなしく体育座りの巻~(;´∀`)
    • ちょわ 06/17 21:49
      何故かど~~しても者殺師さんに体育座りをさせたくて、このシーンはほぼそれだけのために書きました(^^;
  70. 70
    一方、地下牢では。
    騒ぎを聞いて地下牢に降りてきたレディー羽印虞素は驚いて辺りを見回した。
    「そこにいるのは野洲比呂と、それに、あら、あなたはお言ちゃんね。まあきれいになって。えっとそれから、そこに体育座りしてるあなたも見たことがあるわ。あと、あら、そこの下がり眉のお嬢さんは誰かしら?」
    「幼馴染の行くっちでありんす」
    「あら、そう。初めまして」
    レディー羽印虞素はそう言ってにっこり笑った。
    「一体何が起きているのかしら? 私は野洲比呂と愛州帝にカモメのお嬢さんを連れてきてくれるよう頼んだはずだけど」
    「もうすぐ現れるでしょう。この二人の後を辿って」
    野洲比呂の言葉を聞きながら、赤の女王は一冊の本に目を留めた。
    「『さよなら妖精』? この本も面白そうね」
    そう言ってページを開いた瞬間、ボンッという音ともに羽似衣王女とダンシングキャットが飛び出した。
    「あらあらあら、お客さんがまた増えたわ」
    投稿日:2017年06月17日 16時57分
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    • Wings to fly 06/17 17:41
      あ、かぶった!出直しまーす(^^) なんか良い人みたいになっちゃってるよー。
    • はにぃ 06/17 18:51
      復活した!
  71. 71
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    「早く早く!」
    「ちょっと!そんなに走ったら頭ガンガンするからさぁ」
    「幽霊と鉢合わせなんて、ワタシには耐えられません。」

    「そう言えばお前はホラーが苦手だったね。」
    息せき切った可藻目と著輪姉さんと多毛増が走りこんできた。

    「ほーらね。」
    ドヤ顔の野洲比呂にレディ羽印虞素は言った。
    「このお嬢さん、ずいぶん回り道をしたようね。あんまり裏返したから世界が混乱しちゃったんじゃないの?」
    「違いますって。悪いのは愛州帝なんです。あの口説き癖のせいで…」
    野洲比呂は口を蛸のようにして、いくっち坊を見た。
    しかし、衝撃のファーストキスの記憶が消されているいくっち坊は首を捻ってお言ちゃんに聞いた。
    「口説かれたっちか?」
    「それが仕事でありんすから。」


    「ちょっと!あんた!世界中の本を独り占めしようったって、この私が許さないよ!」
    レジスタンスの闘志をみなぎせらて著輪姉さんが叫んだ。
    投稿日:2017年06月17日 18時30分
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  72. 72
    はにぃ
    はにぃ さん
    地下牢は一気にカオスと化した。
    著輪姉さんは叫び、多毛増はビクビクと辺りを見回しいる。
    可藻目は走って疲れたのか座り込んでしまった。
    レディー羽印虞素は、頭をフル回転させながら野洲比呂と顔を突き合わせ何やらコソコソ話してる。
    羽似衣王女とダンシングキャットは、なぜか楽しそうに踊り続ける。

    お言と行くっちは昔話に花を咲かせている。
    「お言ちゃんは占い師に『曲日翔店』の相、曲を聞いた日にゃ翔ぶんだなって言われてたっちな。懐かしいだっち。」
    「お行くちゃんは、『運良相店』の相、運が良いんだなって言われてたでありんすじゃなかった、言われてたわね。懐かしいわ。」

    一人ポツンと体育座りしていた者殺師は、汚れた紙が落ちているのを見つけた。
    「なんだこれは。汚い紙だな。」
    どうやら行くっち宛てのふみから落ちたようだ。
    そこには「悲しみ」という文字が書かれていた。
    それを見た者殺師は、崩れるように倒れ・
    投稿日:2017年06月17日 18時50分
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    • はにぃ 06/18 09:00
      多毛増さま ありがとうございます。助かります。ただ、やっぱり難しい。
      なぜ?って考えちゃいけないのかな。
      多毛増はなぜか部下の役目が多いですね。
      この次は(次があるかはわからないけどw)、多毛増が主人公(ヒーロー)で、私が使いっぱしりでw
    • はにぃ 06/18 09:02
      Yasuhiroさん わかりやすいまとめ、ありがとうございます。
      次は、それぞれ何の目的で地下牢に集まっているのか、教えて下さると助かりますw
  73. 73
    ことなみ
    ことなみ さん
    小さな声でお言が囁いた。
    「変な地響きのような音が・・・しない?」「えっ」いくっちは昔話をやめて耳を澄ました。
    「上方で大水が出た時もあんな音がしたような」
    「何?シャンシャンお話よ!!」いくっちはじりじりしてきた。
    「だから、おかしな音が聞こえるけど空耳?」

    「もうぅ、アレ ほんとだ。みんな鎮まって」

    急に地下牢が静かになった。遠くで人が騒ぐ声もする。また火事だろうか。

    すわりこんだ可藻目・著輪・多毛増。者殺師も立ち上がり、野洲比呂と著輪姉さんも一時本のことを忘れた。

    「外に出ないと、者殺師は錠前が消せるなら牢屋も消せるでしょう!!!!」
    赤の女王の声には威厳があった。

    「誰か外を見てきなさい」「安全ならここから井戸を通って外に出ましょう」

    汚れっちまった悲しみに・・・愛州帝の小さな声が聞こえた。

    裏は大川。何が起きたの。
    みんなの視線は、羽のあるカモメと妖精羽似衣王女に。
    投稿日:2017年06月17日 20時12分
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    • はにぃ 06/18 09:03
      吉原炎上!もう物語は収束に向かっているのですね?
    • ことなみ 06/18 09:47
      出来れば、吉原からワープできればいいな、とか
      役者が揃ったし、気分を変えて再バトル、とかでありんす (o^―^o)ニコ
  74. 74
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
    お江戸篇キャラのまとめで~す。



    主人公: 可藻目 もともと小説を書いていた「わたし」

    悪の組織(世の中の本を収奪しまくる) 
     赤の女王=レディ羽印虞素 
      野洲比呂 部下 着流しの超能力者
      愛州帝  部下 アイスティが武器

      お貞 落下した著輪姐さんに瞬殺される

    悪の組織へのレジスタンス集団
     著輪姐さん リーダー、ドリルが武器
      多毛増 部下 著輪姐さんにこき使われている
      黒の忍者たち ブラック企業並みの労働量

    第三者
     行くっち坊 可藻目を励ます料理人、「--っち」が口癖
     言那魅太夫 行くっち坊の幼馴染お言ちゃん、今は吉原の太夫でありんす

     者殺師 行きずりの人の好い殺し屋、騒動に巻き込まれる

     武野紹鴎 レジスタンスに拉致されそのまま

    妖精軍団
     羽似衣王女 真打らしいがまだ活躍していない
      ダンシングキャット 部下 野洲比呂を裏切る
     
    投稿日:2017年06月17日 21時05分
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    • Yasuhiro 06/18 10:05
      いやいや、身請けした上で行くっち坊のお店へ修行に出させるいい人的な感じで考えてたんですが(^_^;)。まあ、雑魚キャラですから難しく考えなくてもいいでしょうね。
    • ことなみ 06/18 10:25
      それでお願いします、修行アリ笑
  75. 75
    はにぃ
    はにぃ さん
    羽似衣王女は優雅に舞い、皆の視線を十分に惹きつけてから、歌うように話しだした。
    「♪だから、言ったじゃない。♪アイスティーを漢字ドリルにかけて、汚れちまった悲しみに向かって呪文を唱えるの。♪ヤーチャイカって。」
    「♪そうすれば…」
    (一同)「そうすれば…?」
    「♪本の世界に…」
    (一同)「本の世界に…?」
    「♪ふふふ…」
    王女は微笑みながらお付きのものと共に、すーっと消え去ってしまった。

    一同は、王女が消えた場所をただ呆然と見つめていた。
    投稿日:2017年06月18日 08時55分
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    • ことなみ 06/18 10:29
      あ、書いたのが消えた( ノД`)シクシク…
      有名書店についたのに、もう一度デナオソウ。
  76. 76
    その時、地上から一人の忍者が倒れこみながら降りてきた。
    「大変です!地上で愛州帝が暴れまわっています!」
    「何、あいつ、目を覚ましたのか?」
    「いや、奴はうんこの臭さと汚さに耐えかねてそのまま死んでしまいました。しかしよほど悔しかったのでしょう。恨みをこめて「この汚れっちまった悲しみに!」と叫びながらわんわん泣いております。きっとこの洪水もそれが原因ではないかと」
    「いや、恨みも何も、悪いのは100%あいつの方…」
    著輪姉さんの言葉をレディー羽印虞素が手で止めた。
    「怨霊となってしまった以上、もはや理屈の通じる相手ではないわ。貴方方は私に何か言いたいようだけれど、その話は今は後。とにかく怨霊となったあの男を止めないと!」
    「でも、どうやって?」
    その時可藻目は妖精の言葉を思い出した。

    『♪アイスティーを漢字ドリルにかけて、汚れちまった悲しみに向かって呪文を唱えるの。♪ヤーチャイカって』
    投稿日:2017年06月18日 16時19分
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    • ちょわ 06/18 20:44
      愛州帝さんの死因が気の毒すぎますっ(T_T)そして「汚れちまった悲しみに」へのつなぎかたがお見事すぎます!
    • 哀愁亭味楽 06/19 00:57
      ことなみさん ちょわさん

      おお、ありがとうございます~!ことなみさんが愛州帝の名前を出していただいたので汚れ→うんこがつながりましたw
  77. 77
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
      可藻目は考えた。多分私が「ヤー・チャイカ!」と叫べば、何か本が出てくる、それがヒントになるはず。

    「叫べばいいってもんじゃないわよ。」レディー羽印虞素が押しとどめる。
    「愛州帝はあれでいてなかなかの実力者だったのよ、怨霊になればなまなかの本じゃ太刀打ちできないわ。」

      「ところでさっき羽似衣王女が消えたところでひらひらしてるのは何なのかしら?」、と著輪姐さんが訝しむ。そう、蝶の幻影が微光を放ち漂っていたのだ。

    「蜜虫ですよ、多分」さすが忍者、多毛増は分かっていた。

    それを聞いた可藻目は王女の謎かけを完全に理解した。

    「野洲比呂さん、本が出たら裏返して!ヤーチャイカ!」

    予想通り蜜虫は本と化した。予想通り「陰陽師」だ。野洲比呂が本を掬い取る。

    「そういう事か、よくやった可藻目君、さあ裏返って帰ってこい!」

    Bong!

    愛州帝がこの世に戻ってきた。
    投稿日:2017年06月18日 22時15分
    GOOD! 7 コメント 0

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  78. 78
    ちょわ
    ちょわ さん
    「………。」
    蘇った愛州帝は、無言で手にしたうんこを著輪に投げつけた。

    「……っうわっ!何すんだよコイツ!!」
    間一髪ドリルで防いだ著輪は、すぐさま仕返しにドリルをうんこにして投げつける。それをひらりと涼やかな身のこなしで避ける愛州帝。

    「……!?」「………!!」ドリルから噴出させたうんこを無言で投げ合う著輪と愛州帝。二人の戦いを止められるものは誰もいない。




    「……さ、これは放っておいて」
    レディー羽印虞素が冷ややかなまなざしで著輪と愛州帝を一瞥して、口をひらいた。

    「私の話を聞いてちょうだい。なぜ私がこの世界の本を全て集めようとしているのか……。私が本を集めるのは、ただ自分が読みたいから私利私欲に走っているのではないわ。これには理由があるの…」


    「私が本当に探している本は、たった一冊。その本さえ手に入れば、これまで集めた本は全て元の持ち主にお返しすることを約束するわ」
    投稿日:2017年06月19日 14時00分
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    • はにぃ 06/19 17:06
      著輪と愛州帝ってもしかして過去に・・・(*_*;
      「たった一冊」ってなんの本だろう?
      っていうか、どなたがどんな本を選ぶのか、気になります!
    • ちょわ 06/19 20:33
      すいませんただちょっとうんこを投げたかっただけなんです出来心ですホントすいませんww
  79. 79
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    愛州帝に向かってう○こを投げる手を休めることなく著輪姉が叫ぶ!
    「まだそんなこと言っているの!あの子はねえもう大人になったのよ!1人で冒険に出たんだから,いい加減過保護はやめて放っておいてあげなさいよ!」

    それまで氷のような微笑をたたえていたレディー羽印虞素の頬がかあっと赤くなり,声を荒げていう!
    「お黙り!私の可愛い坊をお前がそそのかしたんだろう!そそのかして騙して旅出させたんだ。あの子はいまごろきっと本の中を彷徨って母恋しさに泣いているに違いないのよ!」

    2人の会話を聞いていた可藻目が隣に立つ野洲比呂を見上げて尋ねる。
    「ねえ。あの人達が言っている“あの子”って誰?その子,本の中に閉じ込められてしまったの?」
    野洲比呂は深いため息をつく。
    「結局赤の女王は,いつだって“坊”“坊”って“坊”のことばかり。幾ら忠義を尽くしても私のことなど…」
    どうやらここにも悩める男がいるらしかった。
    投稿日:2017年06月19日 15時39分
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    • Yasuhiro 06/19 21:19
      ええっ、赤の女王って、湯婆婆なんですかぁ(@_@。一体私はどうすれば。。。
    • はにぃ 06/19 23:18
      赤の女王が湯婆婆なら、もしかして羽似衣王女は双子の銭婆?
  80. 80
    はにぃ
    はにぃ さん
    「♪そんなにあの子に会いたいの?」
    その声に一同が振り返ると、スポットライトを浴びた羽似衣王女が優雅に微笑んでいた。
    「♪簡単なことよ。そこの綺麗なお姉さん。」
    女性陣一同が自分を指さす。
    それを無視して王女が続けた。
    「♪あなた自分の能力をご存じなくて?旭日昇天じゃなかった、曲日翔店の相って占い師に言われたでしょ?曲を聞いた日にゃ翔ぶんだなっていう能力を持っているの。音楽にのってどこへでも翔んで行けるのよ。」
    「お言ちゃんだっち!そんな能力を持っていたなんて知らなかったっち!」
    「♪あの子に会いたいなら、音楽を流し、綺麗なお姉さんにしがみついて翔んでいけばいいのよ。」
    「ただし、曲選びには気を付けて。さもないと…」
    (一同)「さもないと…?」
    「ふふふ…」
    王女は微笑みながらお付きのものと共に、すーっと消え去ってしまった。
    一同は、王女が消えた場所をただ呆然と見つめていた。
    投稿日:2017年06月19日 23時16分
    GOOD! 5 コメント 2

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    • はにぃ 06/19 23:19
      いつまでも、う○こまみれの地下牢にいたくないでしょ?
      どうぞお好きなところにワープしてください。
    • ikutti 06/19 23:25
      かぶってしまった。
  81. 81
    ikutti
    ikutti さん
    う〇こを投げ合っていた二人が手を止める。
    二人は並ぶと突然歌を歌いだした。
    なんて素晴らしいデュオ!
    愛州帝と著輪はただならぬ関係ではなく、昔共に歌声で稼いだ間柄であった。

    なんと二人が歌ったのは「旅立ちの日に」
    卒業合唱ソングである。

    ♪いま、別れのとき
    飛び立とう 未来を信じて~♪

    お言が光を放ち始めた。
    投稿日:2017年06月19日 23時48分
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    • ikutti 06/19 23:50
      う〇こまみれが嫌なので無理やり外に出る算段を考えましたが、行先は次の人に委ねます。
    • はにぃ 06/21 08:23
      歌声で稼いだって、もしかして二人は売れっ子デュオだったの!?
      意外なことだらけで、驚きっぱなしのリレー小説ですw
  82. 82
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「大変!間に合わなくなるっち!みんな手をつなぐんだっち!」そう叫ぶと、行くっち坊は片手でお言の手を握り、もう片方の手で可藻目の手をつかんだ。可藻目は一瞬迷ったのち者殺師の手をつかむ。さすがにこの状況で著輪姉さんの手をつかむ気にはなれなかったのだ。
    シャイな者殺師は多毛増の手を取り、多毛増はためらいもなくここぞとばかりに著輪姉さんの汚れた手をにぎる……こうして、人々が次々と手をつないで大きな人の輪ができた。

    いつのまにか行くっち坊の膝のあたりまで水が押し寄せてきていた。

    「お言ちゃん、今だっち!」と行くっち坊が叫ぶと同時に、まぶしい光が一瞬、皆の視力を奪う。

    一同がおそるおそる目を開けると、そこは深い森の中だった。
    投稿日:2017年06月20日 20時28分
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    • はにぃ 06/21 08:24
      レディー羽印虞素は地下牢に残っている可能性がありますねぇ。
    • かもめ通信 06/21 10:50
      皆さんそろそろお疲れのようなので,ここらで大団円めざしましょうかw
  83. 83
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「坊!坊はどこ?!」と大声を上げはじめたレディー羽印虞素と彼女に影のように寄り添う野洲比呂をのぞく面々は円陣を組んだまま話を続けた。
    「お言ちゃん、ここはどこ?」「さあ?」「ここの坊がいるっちか?」「さあ?」
    「とりあえず他にすることもないから私らも坊を探す?」「でも、坊ってどんな格好をしているの?」
    「そもそも人なの?」「……。」
    話に詰まった一同の視線は一斉に著輪に集まる。
    ふうっと大きなため息をついて著輪が重い口を開いた。
    「坊はね。レディー羽印虞素の一人息子。魔法使いよ。普段は大抵人間の姿をしているわ。時々鹿になるわね。でも…ここだけの話だけど、彼、あまり変化は得意じゃないの。鹿というより犬に見えることもあるわ。」と、うっすらと頬を染めながら著輪が言う。
    (犬に見える鹿……)可藻目は一瞬、何かひらめいた気がしたが、愛州帝が不愉快そうに鼻を鳴らす音に気をとられてすぐに忘れてしまった。
    投稿日:2017年06月21日 20時38分
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    • かもめ通信 06/21 22:44
      あれ…もしかして、意外に知られていないのかしら?
      犬ではございません、鹿ですのあの方は……ww
    • Wings to fly 06/21 22:56
      あの方の見当がつかなかったので、茶色い犬にしてみました。すまんすまん!
  84. 84
    はにぃ
    はにぃ さん
    すると突然、笑みを浮かべた羽似衣王女がスポットライトに浮かび上がった。王女は、不思議がる皆の注目を存分に味わったあと、少しずつ姿を変えていった。
    レディー羽印虞素が叫ぶ。
    「お、お前は、双子の姉の羽似衣!どうしてここに?」
    「久しぶりだな、羽印虞素。地下牢は臭かったので、場所を変えたかったんだ。」
    羽似衣王女は、邪悪なオーラを身に纏った黒の女王・レディ羽似衣だったのだ。
    スリッパを手にしたレディ羽似衣の後ろには、お付きのものに抱きかかえられ、ぐったりした子供がいた。
    「…はっ!そこにいるのは、坊、私の坊じゃないか!坊ーーーっ‼」
    「羽印虞素よ。すべては私が仕組んだこと。お前の大切なこの子を返して欲しかったら・・・あの本を・・・」
    投稿日:2017年06月21日 20時55分
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    • かもめ通信 06/21 21:07
      ぶっ。私が勝手に描いていた大団円が遠のいていくww
    • はにぃ 06/21 21:23
      かぶってしまったので、少し修正しました(^-^;
      「千と千尋の神隠し」と、ちょわさんがおっしゃった「たった一冊」の伏線を回収して、大団円・・・と思ったのですが。
      もう、すべてレディ羽似衣にせいにしていいので、終わらせてください!
      無責任ですが、丸投げしますw
  85. 85
    Wings to fly
    Wings to fly さん
    「なんだって⁉︎ 私の坊を誘拐したのは、あの本のためなの⁉︎」
    レディー羽印虞素は、若返りの魔術が記された伝説の本を取り出すと
    「なんで貸してって言わなかったのかい。」

    『細胞アンチエイジングと再生医療』を羽似衣王女に渡した。

    「レディー羽印虞素は”不老不死”を求めて世界中の本を集めていたの。」
    円陣を組んでいた一同に向かい、著輪姉さんは説明した。

    坊やをひったくると、レディー羽印虞素は猫なで声を出す。
    「可愛い可愛い私の良い子。さ、お母さまとお家に帰りましょうね〜」
    鹿の角を持った巻尾の坊やは「ワン!」と鳴くと、茶髪の少年に変身した。
    「ただいま、お母さま。どうです?羽似衣おばさまのとこで修行した変身術の成果は?」
    「惜しいわ〜、柴犬のお耳の形は三角でしょう?」

    お前たちも自分の技を生かして早くお家にお帰り!一同に告げると、レディー羽印虞素は坊やの手を引き幸せそうに帰って行った。
    投稿日:2017年06月21日 22時54分
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  86. 86
    ちょわ
    ちょわ さん
    「……姉妹の本の貸し借りのためだけに巻き込まれた私達って一体……」
    「俺なんてうんこを味わう羽目になったのに……」

    一同は遠い目をして呆然としていた。

    「じゃまぁ、とにかく帰ろうか」
    「え、どうやって?」

    お言につかまって移動してきたので、皆ここがどこだか分からない。一同はお言の方を見た。

    「私も分からないですよ。だって歌で翔ぶ能力ったって行き先選べるわけじゃないし、もう一回やっても元の場所に戻れるかも分からないし。あっ羽似衣王女ならどうにかできるのかしら」
    しかしその頃、羽似衣王女は手にいれた本を読むためにさっさと自宅である城に帰っていた。


    一同がオロオロしていると、坊が突然また現れた。
    「皆帰れないと困るでしょ。これあげる」
    そしてまたサッと姿を消した。今度こそ帰ったらしい。

    坊が置いていったのは、耳のない猫のような青い丸い生き物が表紙に描かれている漫画の単行本だった。
    投稿日:2017年06月22日 01時18分
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  87. 87
    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
    「ああやっとレディから解放されたな、さっさと庵にテレポして本読もうっと」


    野洲比呂が目を閉じた途端、著輪姐さんにがしっと腕をつかまれた。

    「あんたの出番だってこと分かってやってるんなら意外に性格悪いわね。」
    「テヘペロ、でもあの陳腐なロボットに頼るなんて安易すぎないかな~」
    「安易な方がいいのっ、さっさとやるべし!」

    野洲比呂は仕方なくその本に向かって「裏返れ!」と呼びかけた。

    「きゃー、のび太さんのエッチ~!えっ、あ、あなたたちは誰!?」

    あろうことか、耳のないロボットじゃなくて、しずかちゃんが出てきたではないか、それも恒例の真昼間のお風呂から。

    「お、おかしい、ここは時空が歪んでいる!」

    「ふざけんな あんたはただの ロリコンよ どこでもドアを さっさとお出しっ」
    (みんなの心の短歌)
    投稿日:2017年06月22日 13時07分
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    • ちょわ 06/22 18:29
      ふふふ、まさかしずかちゃんが登場するとはww
  88. 88
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    さすがに皆の非難がこたえたのか野洲比呂は再び叫んだ。「裏返れ!」
    今度は期待通りドアが現れたが,行き先を相談するまもなく,皆我先にと扉の向こうに飛び込んだ。
    押すな押すなの大騒ぎをしながら,たどりついた先では,書類の山から顔をあげた1人の男あきれ顔で一同を見つめていた。
    「また随分,大勢で現れたものだな。しかも人間界もファンタジー界もごちゃ混ぜときた。いったいどうやったらこんな複雑な状況を作り出せるんだい?」
    男の言葉を受けて著輪姉は行くっち坊顔負けの下がり目の困り顔になった。
    「これはその,赤と黒の女王が……」と口ごもる彼女の後を引き取るように男は大きなため息をつく。
    「また母さん達か。いったい幾つになったらあのじゃれあいを止めるんだか。どうせまた子どもの僕をおもちゃにしてたんだろう。」
    「そういうあなたは…」皆が一斉に口を開く中,1人,可藻目だけがつぶやいた「この人三兵理社長だ!」
    投稿日:2017年06月22日 17時44分
    GOOD! 7 コメント 4

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    • サンペーリ 06/23 10:49
      なんと!
    • かもめ通信 06/23 12:36
      およ。しゃっちょーいらっしゃいませ。
      一応,説明しておくと,役どころはレディー羽印虞素の息子で羽似衣王女の甥,三兵理出版の社長で,編集者輪貴さんの上司です。
  89. 89
    三兵理社長は背後にあった書棚から一冊の本を取り出す。それは『罪と罰』だった。
    「さ、君たち、むこうの世界へ帰るんだ。それともこのままこの世界で生きていく? あるいは……」
    ファンタジー世界の人物たちは「罪と罰」を見た瞬間顔を青ざめさせ、我先にとどこでもドアへ向かっていった。そして可藻目に別れの言葉も告げずに消えてしまった。
    「あっちの世界ではね、有名なんですよ、この本。誰も読んだことがないから、読んだら随分ひどいことがおきると思ってるようなんです。って、僕もまだ読んでないんですけどね。だから効果覿面ってわけ」

    三兵理社長は言った。
    「しかし、先生には驚きましたよ。だってあなたが旅をしてきたのは、僕の世界、ぼくがこれまで読んできた本の世界なんですから」
    先生、と言われて可藻目は気づいた。いつの間にか少女ではなくなっている。
    「あなたには、誰かの読書体験を共有できる能力があるようですね」
    投稿日:2017年06月22日 19時46分
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  90. 90
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「そんな能力があっても原稿がボツじゃねえ…。」と現実に引き戻された可藻目がため息をつくと,にわかに勢いづいた三兵理社長が身振り手振りを交えて語り出す。「今や出版業界は…」
    「これ,話し出すと長いわよ。座った方が良いわ」と口を挟んだのは著輪だった。
    「あれ?著輪さん,あなたはみんなと一緒じゃ…」「私?私はドリル屋,つまり三兵理出版の看板商品“うんこドリル”を手がける敏腕編集&営業よ。」
    「そうだ!それが問題なんだ!著輪だって昔は愛州亭と組んでめくるめくラブロマンスの主役をはっていた人気のヒロインだった。多毛増だってそうだ。忍者ものが売れまくる時代もあった。者殺師は必殺仕事人として憧れの的だったし,野洲比呂だって正統派娯楽小説の頂点に立つ勢いだったんだ。なのに,いまや売れるのは行くっち坊の料理本とうんこドリルだけだという。ここをどうにかしなければ,我が社もファンタジー界も共倒れなんだよ!」
    投稿日:2017年06月23日 13時03分
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    • かもめ通信 06/23 13:06
      このままぼっちで一日一投稿ラストまで描き上げそうで心配ですw
      乱入お待ちしておりますww
  91. 91
    mono sashi
    mono sashi さん
    三兵理社長の話しが身にこたえたのか、
    可藻目はぶるっと体を震わせ、くしゃみをした。
    投稿日:2017年06月23日 13時29分
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    • mono sashi 06/23 13:31
      すみませ~ん。なかなか顔を出せないので、いちよ足跡を残しておきます。
      あとはよろしくお願いします(_ _)
  92. 92
    ちょわ
    ちょわ さん
    「それじゃ、私が書けばいいのね?皆が活躍して、再び人気が出て本が売れるような物語を!!」

    加藻目はその日から図書館にも行かず、毎日パソコンに向かって原稿を書き続けた。書くのはもちろん、自分があちらの世界で体験した物語だ。ただし村上龍とか貞子とか青い猫型ロボットとか、版権のヤバそうなものには触れずにうまいことそれぞれの登場人物の特殊能力を活かしてアレンジして書いた。


    そうした努力の果てに、ついに物語は完成した。編集の著輪と三兵理社長の入念なチェックの後、ついに出版に漕ぎ着けた。


    三兵理出版のこれまでの人気作の登場人物が多数登場する本ということで、マスコミや業界人を多数読んで盛大な出版記念パーティが行われることになった。

    今日はついにその当日である。
    投稿日:2017年06月23日 14時14分
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  93. 93
    はにぃ
    はにぃ さん
    パーティーの裏方としてまめまめしく働く著輪を、遠くから見つめている者がいた。
    愛州亭だ。
    手には三兵理社長の部屋で見つけた「『黒いブランチ』ヒットの秘密~著輪と愛州帝」という題名の本を持っていた。二人は、「黒いブランチ」をヒットさせた歌手でもあり、ラブロマンスで主役をはっていた人気者でもあったのだ。
    著輪が愛州亭の視線に気づく。
    愛州亭は、輝いていた若い二人が満面の笑みで見つめあっている表紙を高く掲げる。
    二人の視線が絡み合い、互いに大きく頷きあった。
    地下牢で久しぶりに歌った時、二人で歌うことの楽しさを思い出したのだ。
    (その後二人はデュオを復活。「アイスティーをあなたに」「ドリルをあなたに」「ヤーチャイカをあなたに」の「あなたに3部作」が大ヒットし、大スターへと昇り詰めることになる。)

    7時になった。
    さあ、パーティーの始まりだ。
    投稿日:2017年06月23日 18時04分
    GOOD! 8 コメント 4

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    • はにぃ 06/24 18:19
      >ロマンチスト
      あら、長い付き合いなのにご存じじゃなかったかしら? (笑)

    • 哀愁亭味楽 06/25 20:00
      おお、ビリー・ペンペン再結成!ありがとうございます⭐️
  94. 94
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「ぷっ。あの人のあの格好!まるで物語の登場人物に扮しているようですね。忍者姿がよく似合っている!コスプレヤーなのかな?」
    「あっちの女性たちは時代劇風か、もしかして行くっち坊に扮しているのかな?」
    ビールジョッキを片手に赤ら顔の輪貴氏がハイテンションで盛り上がっていると、真っ赤なドレスに身を包んだ女性が彼のジョッキを取り上げていった。

    「あら、あなたなにを飲んでいるの?ビール?だめじゃない。せっかくのパーティーだもの、もっとふさわしい飲み物を飲まなくちゃ。」そういうと七色に輝くグラスを差し出した。

    「なかなかの盛況ぶりですな。」着流し姿の涼やかな目をした男が可藻目に声をかける。
    「気を悪くしていないといいのだけれど」と可藻目は遠慮がちに言った。

    あの人この人を登場させた物語を書き上げてはみたものの、皆にいい役どころを割り当てるというわけにはどうしたっていかなかったのだ。
    投稿日:2017年06月24日 16時56分
    GOOD! 9 コメント 7

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    • たけぞう 06/24 21:48
      仕事が立て込んでしまい、読み組に回っていました。あまり貢献できずすみません。かもめ通信さんの100話目、わたしも楽しみにしています。
    • ikutti 06/25 01:55
      「家康」を読むまで控えてました。

  95. 95
    はにぃ
    はにぃ さん
    「今日は借金のことは忘れて。せっかくのパーティーなんだから楽しみましょう。」
    「そうね。ありがとう。」
    そんな会話をしている若い二人のもとに、派手な年増女二人が近づいてきた。
    「あら、あなたかわいいわね。下がり眉のあなたじゃなくて、こちらのお嬢さんよ。あなたの夢は何?」
    「私は、この友達が作る料理をたくさんの方に食べてほしいと思っています。いつか二人でお店を持つことが夢なんです。」
    (この会話がきっかけとなり、年増姉妹のプロデュースで三兵理出版より写真集を出版。その美しさに世間は騒然となった。その後、借金返済・レストラン開店を経て、二人は美のカリスマ・食のカリスマとして崇めたてられることになる。)

    突然、著輪が壇上に駆け上がり、マイクをとるとこう言った。
    「たった今入ったニュースです!」
    投稿日:2017年06月25日 17時56分
    GOOD! 9 コメント 4

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    • Yasuhiro 06/25 19:11
      >かもめ通信さん よろしくお願いしま~す。
    • はにぃ 06/25 22:55
      派手な年増女二人はもちろんあの姉妹です。
      妹もきっと怒らないと思うのw
  96. 96
    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    「たった今入ったニュースです!」壇上でマイクを握った著輪が興奮気味に話し出す。
    「世界的に有名なフィンランドの映画監督ソノー・ジツ氏の新作映画に、日本が誇る忍者多毛増氏の出演が決まりました!」

    実のところ、それはソノー・ジツ氏が監督業の傍ら趣味で手がけたBL漫画を三兵理出版が全面的にバックアップして日本で売り出すこととのバーター取引ではあったが、結果的には双方を律することになった。

    多毛増の本格的な「演技」は世界の注目をあつめ、ニンジャは世界共通の言葉となった。
    そしてソノー・ジツ氏のBL漫画は多くの愛読者をもつ、三兵理出版人気のレーベルへと成長することになる。
    もっともそれは、もう少し先の話ではあるが……。
    投稿日:2017年06月25日 18時57分
    GOOD! 9 コメント 3

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    • そのじつ 06/26 17:15
      忍者・多毛増は、やっぱり映画で脱ぐんですかね(^^)
    • かもめ通信 06/26 17:19
      それはほら,監督次第だからww
  97. 97
    ikutti
    ikutti さん
    「ちょっと待ったー!」
    パーティー会場の扉を開けて入ってきた男があった。
    皆さん覚えているだろうか、江戸編に登場しあっという間に消えたあの男である。
    「北野加藻目さん、私の入れたてのお茶で朝を迎えませんか」
    武野紹鴎一世一代の告白である。
    投稿日:2017年06月25日 22時19分
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    • ikutti 06/25 22:20
      あっという間に消えてかわいそうで登場させてみました。
    • Yasuhiro 06/25 22:26
      ありがとうございます!
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    Yasuhiro
    Yasuhiro さん
    「あ、ありがとうございます。」

      可藻目がありがたく誘いを受けようとすると着流しの男が間に立って遮った。

    「かもめさん、この方は異界の人間ですよ、あなたまだ緑釉の香合を持っていませんか?」

    「あっ、本当だ。」

      なんと、まだ香合が懐に入っていた。そうか、だからまだ異界の影響が残っていてみんなの名前が万葉仮名のままだったのだ。可藻目は武野紹鴎に香合を渡して言った。

    「ありがとう、武野紹鴎さん、お気持ちは嬉しいけれどあなたは異界の人間、私はあなたと一緒にはいけません、だからお茶は飲みません。その代りにこれをお持ち帰りください。」

      武野紹鴎は緑釉の香合を恭しく両手にて拝受し、押し頂いたまま徐々に体が透明になり消えていった。

      そして、可藻目はかもめに、野洲比呂はYasuhiroにと、全員が現実界の名前に戻ったのだった。
    投稿日:2017年06月25日 22時55分
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    • Yasuhiro 06/25 22:58
      可藻目ははじめかもめだったのが気になっていたので、そのあたりの整合性を合わせてみました。
    • かもめ通信 06/26 06:10
      ん?名前、最初から北野可藻目だった気も…?
      でもいいや、とにかく名前変更ね。了解!
      ハンドルそのままだと呼び捨てにしにくい気もするけれど~その辺はご容赦!
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    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    こうしてパーティーは成功裏に終わり、三兵理出版も安泰、ファンタジー界にも再び活気と平和が訪れた……というお定まりの結末にはならなかった。
    パーティーの終盤、次回作について尋ねられたかもめが、なんと突然の絶筆宣言をしたのだ。
    その理由は「これからは趣味のプロファイリングをいかして、敏腕編集者をめざします!」というなんとも不可解なものだった。

    新人とはいえ売り出し中のお抱え作家に公衆の面前で造反された三兵理社長の話題は、しばらくの間、ワイドショーの格好の餌食となり、株価も暴落、一時は経営危機もささやかれたほどだ。

    しかし、そこからの巻き返しはすごかった。

    三兵理出版は出版不況をものともせず、次々と新人作家の作品を発表し続けたのだ。

    かつての者殺師は、剣をペンに持ち替えて今や鋭い切り口でどこにでも突っ込んでいく社会派のノンフィクション作家になっている。
    投稿日:2017年06月26日 06時55分
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    • mono sashi 06/27 18:23
      かもめさん
      たびたび作中に登場させてもらい感謝であります!
      あまり顔を出すことが出来ずに申し訳ありませんでしたm(_ _)m
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    かもめ通信
    主催者
    かもめ通信 さん
    漱石の娯楽性と鴎外の優美な文体を併せ持つと評判の作家Yasuhiroは、新作が出るたびに書店の店頭に本のタワーができるほどのベストセラー作家だ。

    もちろん驚異的な売り上げの裏には、編集者から営業担当に配置換えされて水を得た魚のように全国の書店を飛び回っている輪貴氏の活躍があったことは見逃せない。

    かくいう私、踊る猫も、異世界と人間界をつなぐ独特の文体で、多くのファンを持つ。

    実を言えば、この「三兵理出版奇跡の歩み(仮題)」の草稿は、Yasuhiroが書くはずだった。
    だが奴ときたら「異世界にも顔が利く踊る猫が適任だ」などと俺に仕事を押しつけたのだ。

    まあここらで出版社に恩を売っておくのもいいだろう。

    どうせこの原稿は、あちこちからのクレームで、滅多切りされて都合良く改変されるに違いないのだ。
    ふっ。かもめ編集者のお手並み拝見といこうではないか。     (完)
    投稿日:2017年06月26日 07時12分
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    • Wings to fly 06/28 08:10
      100話で全てがちゃんと収まって大団円を迎えて…すごいです!
      みなさんの妄想力の凄さに感動しちゃいました。
      楽しかったです!ありがとうございましたm(__)m
    • 哀愁亭味楽 07/02 19:57
      まさかのオチに驚きました!

      ちょっと最後ばたばたしてて参加できませんでしたが、楽しく参加させていただきました!ありがとうございましたm(__)m
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    はにぃ
    はにぃ さん
    登場人物のその後(名前は漢字名にしました。)

    北野可藻目 小説家を志し、三兵理出版から念願の処女作「私はカモメ~北国通信」を出版するが、その出版パーティーで「作家をやめ編集者になる」と宣言、周りを驚愕させた。現在、三兵理出版の編集者として活躍しているが、社員の誰より、いや社長より大物に見えると評判である。多くの作家から指名され、三兵理出版にはなくてはならない存在となっている。趣味はプロファイリングで、いつも閻魔帳を持ち歩いているという噂。
    投稿日:2017年06月26日 17時20分
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  102. 102
    はにぃ
    はにぃ さん
    愛州帝 パオ山学院大学卒業。著輪とフォークデュオ「ピリー・ペンペン」を結成、「黒いブランチ」などをヒットさせるが解散。その後、カフェオーナー兼講釈師として活躍した。著輪と再会し「ピリー・ペンペン」を再結成。「アイスティーをあなたに」「ドリルをあなたに」「ヤーチャイカをあなたに」の「あなたに3部作」が大ヒット。世界的大スターとなる。好きな飲み物はアイスティー。
    投稿日:2017年06月26日 17時22分
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  103. 103
    はにぃ
    はにぃ さん
    著輪 パオ山学院大学卒業。愛州帝とフォークデュオ「ピリー・ペンペン」を結成、「黒いブランチ」などをヒットさせるが解散。その後、ドリル販売店勤務などを経て、三兵理出版の看板商品「うんこドリル」を手がける敏腕編集&営業となる。愛州帝と再会し「ピリー・ペンペン」を再結成。「アイスティーをあなたに」「ドリルをあなたに」「ヤーチャイカをあなたに」の「あなたに3部作」が大ヒット。世界的大スターとなる。


    多毛増 伊賀一族の頭領、服部多毛増。フィンランドの映画監督ソノー・ジツ氏の映画に出演したことから人気爆発。現在、世界中で活躍している。昨年度「世界で最も稼いだ人ランキング」5位に入り話題となった。映画では濡れ場もあったことから、男性ファンも多数。写真集「NINNJA」自叙伝「成り上がり~しもべから忍者へ」好評発売中。
    投稿日:2017年06月26日 17時22分
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    • ちょわ 06/26 23:54
      はにぃさんがピリー・ペンペンネタを使ってくださって嬉しかったです(^-^)実はウィキペディアのビリー・バンバンの項目を丸パクしただけだったのですが~(^^;
    • はにぃ 06/27 07:47
      「白いブランコ」とかのもじりだろうとは思っていましたが、丸パクとは!(笑)
      でも、こんなにう○こまみれの物語に使われたとは夢にも思わないでしょうね~(^-^;
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    はにぃ
    はにぃ さん
    行くっち 天性の舌を持つ世界的料理人。「つる家」の看板娘を経て、レストラン「つるやだっち」を開業。オーナー兼料理人として活躍しながら、料理番組にも多数出演している。丁寧に作る料理が評判。予約が取れない店としても有名で、映画監督ソノー・ジツ氏がお気に入りと話したことから、世界中から客が押し寄せるようになった。
    「はてなの飯」「とろとろ茶碗蒸し」など、看板メニューのレシピを惜しげもなく公開した「料理帖シリーズ」は世界中で大ベストセラーとなっている。下がり眉。
    投稿日:2017年06月26日 17時23分
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    はにぃ
    はにぃ さん
    言渚魅 行くっちの幼なじみ。ある事情から借金を抱え、雁字搦めにされていた。三兵理出版のパーティーで「年増姉妹」にスカウトされ、写真集「私は花魁~言渚魅太夫」を出版すると世界的ベストセラーとなった。借金を無事返済し、幼なじみの行くっちとレストラン「つるやだっち」を開店。現在レストランで働きながら「美のカリスマ」として絶大な人気を誇る。「世界で最も美しい100人の女性ランキング」の常連としても有名。

    者殺師 社会派のノンフィクション作家。「殺気」「伝説の殺し屋」など著書多数。必殺仕事人としても有名。その殺気だった雰囲気から「編集者泣かせ」「インタビュアー泣かせ」と呼ばれているが、なぜか北野可藻目にだけは頭が上がらない。弱みを握られているとの噂がある。
    投稿日:2017年06月26日 17時23分
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    • mono sashi 06/27 18:21
      はにぃさん、
      まとめていただき、ありがとうございました!
      こんな役柄だったんだぁ~、と初めて知りましたw
    • はにぃ 06/27 23:08
      mono sashiさん 私もこれを書いて初めて知ったことがたくさんありましたw
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    はにぃ
    はにぃ さん
    羽印虞素 羽似衣の双子の妹で三兵理の母。別名・赤の女王。「不老不死」を求めて世界中の本を集めている。大勢を巻き込みながら壮大な姉妹喧嘩を繰り広げた。息子の三兵理を「坊」と呼び、猫可愛がりしている。

    羽似衣 羽印虞素の双子の姉で三兵理の伯母。別名・黒の王女。「美」の研究に熱心。一冊の本をめぐり壮大な姉妹喧嘩を繰り広げた。いつもスリッパを履いている。

    年増姉妹 仲直りしたあとの羽印虞素と羽似衣のコンビ名。言渚魅のプロデューサーとしても有名。二人のセクシー写真集「アラ還ですけど、なにか?」が大ヒット。現在写真集「古希が好き!」を撮影中との噂がある。
    投稿日:2017年06月26日 17時24分
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    • かもめ通信 06/26 19:09
      >写真集「古希が好き!」
      ロウジンスキーとしては見逃せないな。その写真集!
    • ことなみ 06/26 20:14
      わはは
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    はにぃ
    はにぃ さん
    野洲比呂 漱石の娯楽性と鴎外の優美な文体を併せ持つと評判のベストセラー作家。着流し姿の写真集が異例の大ベストセラーとなった。エッセイ集「着流しは嫌い」が絶賛発売中。

    踊る猫 黒いブーツを履いて猫耳をつけたコスプレ姿が有名な作家。異世界と人間界をつなぐ独特の文体で多くのファンを魅了している。趣味はダンス。「三兵理出版奇跡の歩み」の著者でもある。

    ソノー・ジツ フィンランドの映画監督。世界的巨匠。代表作は「NINNJA 多毛増」。監督業の傍ら趣味で手がけたBL漫画も大ヒット。現在三兵理出版の人気レーベルとなっている。
    投稿日:2017年06月26日 17時24分
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    はにぃ
    はにぃ さん
    輪貴 三兵理出版社員。編集者を経て現在営業担当として全国の書店を飛び回っている。趣味は書店巡り。著書に「本が好き!」「街の本屋さん」などがある。

    三兵理 三兵理出版社長。一代で日本を代表する出版社に築き上げた敏腕社長。羽印虞素の息子で羽似衣の甥。人前で「坊」と呼ばれると耳まで真っ赤になってしまう。
    投稿日:2017年06月26日 17時24分
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    • Wings to fly 06/28 08:21
      はにぃさんの人物紹介は本編同様の面白さですね( *´艸`) とにかく笑っちゃいました。
      あー楽しかった。終わっちゃうのが寂しいですね。みんなの発想力に刺激されて、リレー小説は脳トレになった気がします(笑)…では、またの機会に!
      かもめ通信さん、お疲れ様&ありがとう!
    • はにぃ 06/28 17:41
      羽印虞素さま きっと私の妹なら怒らないと思ってセクシー写真集まで出版しちゃいました(^-^;

      皆さまありがとうございました。
このテーマは終了しました。
[主催者の終了メッセージ]
おつきあいありがとうございましたw