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DBさん
DB
レビュアー:
イルカになった男の本
映画「グラン・ブルー」をはるか昔に見たことはあるのですが、水着姿のジャン・レノのイメージしか残っていない。
フリーダイビングというスポーツがあることも知らずになんとなく見てしまったので、何をしているのかを理解するのに時間がかかりストーリーに入り込めなかった。
本書を読んでもう一度映画を見たらよく理解できるかもしれません。

ジャック・マイヨールは39歳で水深60メートルの素潜りに成功して以来、閉息潜水の第一人者として記録を伸ばしていき、十年後にはエルバ島で100メートルを超える記録を作った。
常に死の危険と隣り合わせのこの競技に熱中したのはなぜか。
「ホモ・デルフィナス」というマイヨールの造語には、イルカと同じように海に潜って泳ぎたいという夢が詰まっているような気がする。

マイヨールがフリーダイビングに挑戦するようになったきっかけは、7歳の時のイルカとの出会いだったようです。
夏の休暇を過ごしていた唐津の海でイルカと出会ったジャック少年は、彼らを仲間だと感じたそうだ。
そして30歳の時、マイアミ海洋水族館でイルカのクラウンと出会う。
彼女と出会った時世界が一斉にブルーに染まったかのように感じたそうです。
クラウンとの出会いでその水族館で働くことにしたマイヨールは、クラウンとの交流を通じてイルカへの理解を深めていく。
自分もイルカになった気分で泳ぐことが潜水のコツをつかむことにもなったようです。
マイヨールが水族館を離れて七年後にクラウンと再会した時、クラウンはマイヨールをちゃんと覚えていて歓迎してくれたそうです。
イルカの模様を見てどれがクラウンだっけと探していたマイヨールより記憶力がいい気がする。
もしかしたらマイヨールはイルカと同じ世界で過ごすためにフリーダイビングを続けていたのかもしれないと思った。

マイヨールは潜水中に起こる身体の変化を知るために、自信を実験台にしていろんな検査を行った。
水深100メートルでの水圧は11atm、本来なら肺の容積が縮小できる限界を三倍近く超えているはずなのに素潜りで到達できたのはなぜだろう。
素潜り中の検査で、腹部の内臓が横隔膜を胸郭中に押し込むことで残気量も減り、外圧と肺内圧の平衡を保っていることが分かったそうだ。
しかも深度を増すと抹消の血液を肺循環に回すブラッドシフトが起きていることも分かったそうだ。
確かにホモ・デルフィナスに近づいている。

水深60メートルの世界はブルーしかないそうです。
すべてが同じ色調のブルーに包まれる深海の風景を「グラン・ブルー」と呼ぶのだそうです。
マイヨールはそこでクラウンと出会っていたのだろう。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2035 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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