かもめ通信さん
レビュアー:
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「物語ることは生きるという行為であり、物語ることは抵抗であり、物語ることは私たちの記憶を形作るのだ」とリフアト・アルアライールは言った。彼の、彼らのあげた声に、読み手はどう応えるべきか考え続けている。
原題は“Gaza Writes Back:Short Stories from Young Writers in Gaza, Palestine ”
ガザの若者たちが直面する過酷な現実を伝えるこの作品集を編んだのは、リフアト・アルアライール。
1979年、ガザ生まれの詩人で、作家でもあり、大学で世界文学と文芸創作を教える教師でもあり、活動家でもあった人物だが、2023年、イスラエル軍によるピンポイントでリフアト本人を狙った空爆により死亡している。
彼の名は知らなくてもこのフレーズで始まる詩を見聞きしたことがある人もいるだろう。
この日本版では、2013年の初版を底本に、2024年末に刊行された「メモリアル・エディション」にリフアトとウェブサイトを共同運営するアリー・アブーニャマがよせたリフアトの死の真相を含めた「序文」と、リフアトを追悼する収録作家たち言葉が追加収録されている。
ただし作品が収録されたリフアト以外の14名の作家のうち、6名とは連絡が取れないことから、依然ガザの過酷な状況に身を置いているのか、最悪の場合、リフアト同様命を落としている可能性も否定できないとのことだ。
全23篇。
家族を失った悲しみを描く作品もあれば、今まさにがれきの下敷きになっている人やイスラエル兵士やその家族の視点で語る作品、ガザの日常や、ガザと難民キャンプの隔たりや分離壁が隔てるものを描く作品もある。
短篇集を編むにあたって応募作品を募ったこともあり、書き手のほとんどは書くことを本業としていないばかりか小説を書くのはこれがはじめてだったという人も。
そのため作品の出来にはばらつきがあるが、それでもそこに込められた想いや、突きつけられるあれこれに、心打たれずにはいられない。
同時に、外国で暮らすなどして今も生き延びている書き手たちが新たに書き足したリフアトへの追悼文が、彼らが紡いだ物語以上に鋭く読み手に突き刺さったりすることも。
彼の、彼らのあげた声に、読み手はどう応えるべきか、読み終えた後も考え続けている。
ガザの若者たちが直面する過酷な現実を伝えるこの作品集を編んだのは、リフアト・アルアライール。
1979年、ガザ生まれの詩人で、作家でもあり、大学で世界文学と文芸創作を教える教師でもあり、活動家でもあった人物だが、2023年、イスラエル軍によるピンポイントでリフアト本人を狙った空爆により死亡している。
わたしが死ななければならないとしても、
きみは生きなければならない
彼の名は知らなくてもこのフレーズで始まる詩を見聞きしたことがある人もいるだろう。
この日本版では、2013年の初版を底本に、2024年末に刊行された「メモリアル・エディション」にリフアトとウェブサイトを共同運営するアリー・アブーニャマがよせたリフアトの死の真相を含めた「序文」と、リフアトを追悼する収録作家たち言葉が追加収録されている。
ただし作品が収録されたリフアト以外の14名の作家のうち、6名とは連絡が取れないことから、依然ガザの過酷な状況に身を置いているのか、最悪の場合、リフアト同様命を落としている可能性も否定できないとのことだ。
イスラエルの侵攻中、そして侵攻終了直後は、土地や家屋のこと、収入がなくなったことについて話せば、自分勝手でまわりに配慮がないと思われてしまっただろう。人が亡くなっているのに、美しい家が更地にされてしまったなんて話はしないものだ。人が腕や脚を失って、一生その体で生きていかねばならないのに、かつては慎ましい地区の通りを飾る花瓶のようだった高級車がいまでは灰色の残骸になってしまったなんて話はしない。母親が別れを告げるまもなく子どもを葬っているときに、土地のことや、木が容赦なく根こそぎ倒されてしまったことは話さない。話すのは、そういう人たちのほうだ。その人たちは泣く。悼む。私たちは耳を傾ける。そして、自分たちのささいでちっぽけな惨めさの思い出に、無言で悲しみに暮れる。(「土地の物語」サーラ・アリー)
また、あのひどい歯の痛みで目が覚めた。頭のてっぺんを突き抜けるような痛みがある。(「ガザで歯が痛い」サミーハ・エルワーン)
息子のサラームと、娘のハヤートが恋しかった。サラームは「平和」、ハヤートは「生命」という意味だ。どうしてふたりにその名前をつけたのか、自分でもよくわからなかったが、子どもたちが生まれてきた世界の雰囲気に、私なりに抗いたかったのかもしれない。(「傷痕」アーヤ・ラブフ)
全23篇。
家族を失った悲しみを描く作品もあれば、今まさにがれきの下敷きになっている人やイスラエル兵士やその家族の視点で語る作品、ガザの日常や、ガザと難民キャンプの隔たりや分離壁が隔てるものを描く作品もある。
短篇集を編むにあたって応募作品を募ったこともあり、書き手のほとんどは書くことを本業としていないばかりか小説を書くのはこれがはじめてだったという人も。
そのため作品の出来にはばらつきがあるが、それでもそこに込められた想いや、突きつけられるあれこれに、心打たれずにはいられない。
同時に、外国で暮らすなどして今も生き延びている書き手たちが新たに書き足したリフアトへの追悼文が、彼らが紡いだ物語以上に鋭く読み手に突き刺さったりすることも。
物語ることは生きるという行為であり、物語ることは抵抗であり、物語ることは私たちの記憶を形作るのだ(p23)とリフアト・アルアライールは言った。
彼の、彼らのあげた声に、読み手はどう応えるべきか、読み終えた後も考え続けている。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:0
- ISBN:9784309209111
- 発売日:2024年12月03日
- 価格:2992円
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