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DBさん
DB
レビュアー:
エジプトの旅を思い出す話
表紙といいタイトルといい「ザ・エジプト旅行」といった雰囲気ですが、ポワロが休暇で訪れたエジプトで出会った事件の話です。
プロローグでは田舎町に屋敷を買った若い女性リネットが高級車を乗り回し、手に入れた屋敷を自分の好み通りに改修するために多額の資金をつぎ込んでいる様子が街の人々の噂話のように語られていきます。
祖父から巨額の遺産を受け継いだリネットのもとには友人のジョウアナ・サウスウッドや婚約者候補のウィンドルシャム郷、婚約者の職を求めて訪ねてきた古い友人ジャッキーといった訪問者が訪れてきます。
そしてポワロがフレンチの名店で食事をしながら周囲の客を観察しているシーンへと移りますが、そこでポワロが目にしたのは「男を愛している女と、女に愛させている男」という取り合わせのカップルだった。

そしてとうとうエジプトへと舞台が移っていく。
ナイルのほとりの豪華なホテルでこれからエジプトの旅を楽しもうと集まった人々の中には、ジョウアナ・サウスウッドの親戚のティムとその母親、官能小説家の女性とその娘、アメリカの金持ちの老婦人と親戚の娘、そしてもちろんポワロも休暇でそこに来ていた。
ホテルには女王然としたリネットが新婚旅行できていたが、その夫はジャッキーの婚約者ドイルだった。
友人と結婚した元婚約者を追いかけるかのようにジャッキーも同じホテルに滞在していて、緊張した雰囲気が漂っています。

ナイル川をさかのぼっていく往復七日の客船に乗り込むポワロだが、そこにはホテルにいた人々の他にリネットの財産を管理する弁護士や考古学者、休暇中の医者になんにでも噛みつく若者といった雑多な人々が乗っていた。
そしてブリッジの最中の殺人事件の時に登場した諜報員のレイス大佐も同乗する。
レイス大佐が実はテロリストを追いかけているのだとポワロに秘密を明かすが、動く密室となった船の中で起きたのは殺人事件だった。
事件の動機は金か、愛憎のもつれか。
レイス大佐と医者を仲間にしたポワロは事件当夜の人々の動きを確かめながら、その動機について熟考していく。
被害者の性格を知ることが事件の犯人につながるというポワロの考え方も面白いが、被害者の本質が「自分本位の我儘な娘」と言い切ってしまうのもポワロらしい。
殺人事件だけでなく窃盗事件やテロリストといった要素が絡まって事件の解決を複雑なものにするが、それを丁寧に解いていくポワロの語りを楽しめました。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2034 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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