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ゆうちゃん
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リネットはジャッキーの恋人サイモン・ドイルを奪って結婚した。恨んだジャッキーは彼らの新婚旅行先に出没し、幸せな旅行の邪魔をする。ドイル夫妻は彼女をまいた筈が、カルナック号で乗り合わせ殺人事件が起きる。
名探偵ポアロ長編第十五作目。これも「オリエント急行の殺人」と並びオールスター・キャストの映画化で有名な作品である。

リネット・リッジウェイは資産家の孫娘で若い美人。競馬で大損したジョージ・ウッド卿からイギリスの屋敷を買って修築している。彼女にはパリの女学校時代からの親友ジャクリーン・ド・ベルフォールがいる。ジャクリーンは貧乏だが、サイモン・ドイルと言う恋人がいた。彼との結婚を望んでいたがあいにく失業中でジャクリーンはサイモンをリネットの新しい屋敷の管理人として雇ってもらえないか?と頼みに来た。リネットはまずは会ってみてから判断する、と言ったが、サイモンをあまりにも気に入ってしまい、自分がサイモンと結婚してしまう。
ふたりの新婚旅行はエジプト。そこにジャクリーンは恋人を奪われた恨みを晴らそうとつけてくる。困ったリネットは、エジプトのアスワンのホテルで出会ったポアロにこのことを相談するがジャクリーンを排除する法的手段はとれないと言われた。それでもポアロは一応、ジャクリーンを諭してみることにした。実はポアロは偶然、ロンドンでジャクリーンとサイモンの会話を聞いていて、その時からジャクリーンのサイモンへの熱愛振りを心配していたのだった。ポアロが諭してもジャクリーンが聞き入れる様子はない。逆にピストルを見せられ殺すかもしれないと言われた。翌朝、サイモンはポアロにジャクリーンをまくため、自分らは10日ほどアスワン見物をすると言いふらし偽名で予約したカルナク号にシェルラルで乗船してナイル河を遡る積りだと言った。ポアロも実は旅行でその船に乗ることにしていた。ところがシェルラルで乗船してみるとジャクリーンはちゃっかりカルナク号に乗っていた。船はアブ・シンベル神殿の見学で何日か停泊していた。月曜の晩、展望室でジャクリーンはドイル夫妻に絡む。リネットが船室に引き取るとジャクリーンはサイモンと口論を始め、もうひとりの客コーネリアの前で彼を撃った。かつての恋人に大けがを負わせ恐慌状態に陥った彼女はピストルを展望室のソファの下に蹴りこんだ。ジャクリーンの様子を見てサイモンは、コーネリアに彼女を乗客のベスナー医師のところに連れて行き、ひとりにしないようにと頼んだ。銃声はたいして響かなかったようで、野次馬は来ない。ベスナー医師は看護師の資格を持つ乗客バウァーズにジャクリーンの面倒を見させ、次にサイモンの治療にとりかかった。
翌朝、リネットが殺されているのがわかった。至近距離から頭をピストルで撃たれていた。ジャクリーンが展望室のソファの下に蹴りこんだピストルは見つからなかった。ポアロはこの事件の捜査を頼まれる。

本書の男女関係のコンセプトは、実は第一作「スタイルズ荘の怪事件」にも通じるものである。クリスティの他の作品にも、またバーバラ・ヴァインの「階段の家」にも似たようなコンセプトがある。この男女関係の構図は、ミステリとしての親和性が高いらしく繰り返し使われるものだが、実際の殺人の手段・トリックは様々で、本書はその最も優れたものだと考えられる。映画化されたのも手の込んだトリックが素晴らしいからだろう。本書はそれに輪をかけて暴動の首謀者の乗船や宝石泥棒など二重三重に手の込んだ設定がある。しかし、映画では暴動の首謀者の話はカットされ、登場人物もそこそこ絞っている。映画にするに当たってあまりに複雑な筋書はなじまないからと言う理由もあるだろうが、トリックが十分優れているので、ほぼこれ一本で行けると判断された部分もあるのではないか。

本書では、ヘイスティングズ大尉の代わりにレイス大佐が相棒役で登場する。彼はイギリスの政府機関で働く人とされ、前記の暴動の首謀者を追って乗船しているし、ポアロへの正式な依頼もレイス大佐が政府を代表してという形になっている。彼は以前に「ひらいたトランプ」でポアロと出会い、一緒に事件を捜査している。なので、本書では既知の間柄であるが、この「ひらいたトランプ」事件が1年前のことと言っている。また、ポアロはカルナク号の捜査の過程で以前のオリエント急行の殺人での経験に言及しており、この事件は少なくともオリエント急行の殺人の後の事件だとわかる。
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ゆうちゃん
ゆうちゃん さん本が好き!1級(書評数:1741 件)

神奈川県に住むサラリーマン(技術者)でしたが24年2月に会社を退職して今は無職です。
読書歴は大学の頃に遡ります。粗筋や感想をメモするようになりましたのはここ10年程ですので、若い頃に読んだ作品を再読した投稿が多いです。元々海外純文学と推理小説、そして海外の歴史小説が自分の好きな分野でした。しかし、最近は、文明論、科学ノンフィクション、音楽などにも興味が広がってきました。投稿するからには評価出来ない作品もきっちりと読もうと心掛けています。どうかよろしくお願い致します。

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この書評へのコメント

  1. 星落秋風五丈原2023-06-23 20:29

    ゆうちゃんさんみなさんこんばんは。これ昔角川映画で♪ミステリィ ナアーーーーーーーーーイル♪ってよくTVCMで流れてました。(笑)

  2. ゆうちゃん2023-06-24 00:43

    星落秋風五丈原さん、コメントありがとうございます。
    これですね。
    https://www.youtube.com/watch?v=UZVWSStlCZs
    懐かしいです。ケネス・ブラナー版は見ておりませんが、こちらの映画で十分かなと思いました。

  3. 星落秋風五丈原2023-06-24 18:38

    ゆうちゃんさんみんさんこんばんは。そうそう!これ懐かしい。そして歌うまいじゃないですか!

  4. ゆうちゃん2023-06-25 16:29

    歌上手いですね。サンディー・オニール(鈴木あや)という歌手が歌っているようですが、ルパン三世のテーマも彼女の担当だったようです。

  5. No Image

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