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向田邦子という人の正体

  • レビュアー: さん
  • 本が好き!1級
  • 親愛なる向田邦子さま
  • by
  • 出版社:河出書房新社
親愛なる向田邦子さま
脚本家でエッセイストで、直木賞受賞作家でもある向田邦子さんが亡くなって
 40年以上経ちます。
 (亡くなったのは、1981年8月22日、台湾への海外旅行中での飛行機事故という不慮の死でした。)
 それでも、向田さんの本が書店の棚から消えることはありませんし、
 いろんな編集の仕方で新しい本が出版されたりしています。
 その点ではなかなか稀有な作家で、
 松本清張とか司馬遼太郎といった国民作家と呼ばれた人たちに
 匹敵するといっても過言ではありません。

 2022年8月に出た『親愛なる向田邦子さま』は、
 没後出版された向田さんの本の中でも
 少しばかり色合いが違います。
 向田さんのことを綴った24篇の短文が集められたエッセイ集です。
 執筆者は、森繫久彌さんや加藤治子さんといった俳優陣や
 倉本聰さんや山田太一さんといった脚本家仲間、
 あるいは久世光彦さんや黒柳徹子さんといった仲間たち、
 そして向田和子さんや向田保雄さんといったきょうだい、など。
 24人がそれぞれ見、話し、接した向田邦子という人間を綴っています。

 「向田邦子は突然あらわれてほとんど名人である。」という有名な一文のある
 山本夏彦さんの文章も収められているし、
 没後時をおかず書かれた山口瞳さんの「木槿の花」も
 この本で読むことができます。

 向田さんが1975年に乳がんの手術を受けたことは、
 今では有名ですが、
 脚本家の早坂暁さんが「“残る”ものへの執着が、病気後強くあった」と
 短文に綴っています。
 そのおかげで向田作品が今でも残っているとしたら、
 向田さんの執着はなんと見事なものでしょう。

 向田邦子という一人の人間は。
 実はけっしてひとつきりの人間ではなかったということを知る
 貴重な証言集ともいえる一冊です。
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  • 掲載日:2022/12/02
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