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たけぞう
レビュアー:
えっ? 小川糸さん、ベルリン在住なの?
知らなかったので驚きました。
それならバルト三国にいれあげているのも分かります。
だって、日本から行くよりぜんぜん近いじゃないですか。ああ、うらやましい。

小川糸さんが、ヨーロッパの小旅行で出会った食べものと、
町の人たちとの触れ合いを少しずつまとめたものです。
中には日本での思い出の食べものの話もあります。

小川糸さんの価値観が文章のあちこちに散りばめられています。
それは、地元でとれた新鮮な食材を使った料理。
だから紹介される料理は、地元に根ざしたものばかりです。
好みの店を調べてから訪れていますが、
店を選ぶ基準にわたしは大いに共感し、
なんだかとっておきの秘密をたくさん教えてもらった感じです。

ガイドブックにありそうな名物料理にも、素晴らしいものがあります。
つまりこの本は、マニアック路線ではありません。
地元ものを探していったら、結果として、あまり馴染みのない料理も
紹介する場合があるというだけです。
大事なことは、住んでいる人がどれだけ大切にしているかということ。
すると料理は、愛情に満ちた素晴らしい味がするのですね。

たくさんの新しいことを知りました。
ヨーロッパに行きたいな、バルト三国に行きたいなと気持ちが膨らみます。
日本の紹介もあります。
故郷の山形から二品と、横浜の崎陽軒のシウマイ弁当です。
ヨーロッパはすぐには行けないけれど、せめて崎陽軒ならと思ってしまった
わたしは庶民でございます。

紹介された料理の写真が、一枚ずつ掲載されているお楽しみページもあります。
リトアニアのパジャイスリス修道院の一角にあるホテル。
そこのレストランでは、百六十年前のレシピを元にした
モダンリトアニア料理が食べられるのです。
レシピを作ったのはザワツカさんという女性料理人の先駆けで、
ポーランドやフランスの宮殿を回ってレシピ本にまとめたのでした。

まずは定番のビーツのスープ。写真が載っていて驚きです。
料理とは思えないようなピンク色で、絵の具みたいです。
メインは羊の肩肉ロースト、デザートも色鮮やかで、
まるで地面から咲き乱れる花々のようだったとのこと。

食事は国立チュルリョーニス美術館で見たあとだったで、
食べながら絵の余韻にひたることができたみたいです。
なんて贅沢な一日なんでしょう。

ラトビアの黒パンの話も楽しく読みました。
黒パンはルップマイゼと呼ぶとのこと。
小説「ミ・ト・ン」では、それを登場した国の名前に採用していたんですね。
嬉しくなってきます。

黒パンといえば、わたしはドイツのイメージが強いです。
ルップマイゼを、ドイツの黒い菓子パンのシュトレンみたいと
紹介しています。思わずネットで検索してしまいました。
ドイツの黒パンはシンケンブロートと呼ぶと聞いていましたが、
今回検索して、いろいろな種類があることを知りました。

ヨーロッパは地域のものや文化を大切にするんですね。
個性を大切にする土地柄を、うらやましく思います。
この本を読んで、ついそんなことまで考えてしまいました。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1468 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

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よかったらのぞいてみて下さい。

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