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darklyさん
darkly
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ミレニアムシリーズ第6弾。スウェーデンが生んだ魅力的なダークヒーロー、リスベットは宿命の対決に挑む。
「ミレニアム5 復讐の炎を吐く女」に続きダヴィド・ラーゲルクランツが作者であり、彼のミレニアムシリーズ最終作品となります。

街の広場に異様ないでたちの小さいアジア人の物乞いが現れるようになった。彼はある朝死んでいるところを発見されるのだが毒殺の疑いがあり、そして雑誌ミレニアムの記者であるミカエル・ブルムクヴィストの電話番号が書かれた紙を持っていた。

その物乞いはミカエルの知り合いでもある国防大臣ヨハネス・フォシェルの名を叫んでいたらしい。そしてシェルパであることも判明する。ヨハネスは過去にエベレスト登山において遭難し数人が死亡するという事故に遭っていた。

一方、リスベット・サランデルは双子の妹であり宿敵カミラとの対決に備えていた。男たちを魅了し味方につけ周りを固めるカミラにただ一人で立ち向かおうとするリスベット。カミラ一派の魔の手はリスベットと関係が深いミカエルにも迫っていた。

一見、何もつながりがないように見えるシェルパの話とリスベットの戦い、二つの話がエベレスト登山、スパイたちの暗闘、ロシアマフィアの暗躍等によりつながる時すべての真実が明らかになると同時にミカエルに最大の危機が訪れる。

スティーグ・ラーソンによって書かれた世界的ベストセラーミレニアム3部作を引き継ぐ形で執筆したダヴィド・ラーゲルクランツでしたが、個人的な評価としては第4部の「蜘蛛の巣を払う女」が最も低く、第5部、第6部と徐々に肩の力が抜けミレニアムらしい魅力を取り戻してきた感があります。やはりこのシリーズの魅力は細かい整合性や専門性、現実味そして哲学などではなく一気読みしてスカッとするところにあると思います。

ミレニアムが生んだダークヒーロー、リスベット・サランデルの物語を読むとき私はいつも攻殻機動隊の草薙素子が頭に浮かぶのです。ある意味正反対の二人です。リスベットは非社会的な存在であるのに対し素子はまさに社会を守る公安警察所属、単独行動を好み誰にも頼らない孤高のリスベットに対し、リーダーシップに富み荒くれ者どもを統制する素子。

それにも関わらず姿が重なるのは小柄な女性ながらも抜群の運動神経と戦闘能力を備えるリスベットと制御が難しい全身義体のサイボーグでありながらリスベット同様非凡な戦闘能力を備える素子、ハッカー集団の頂点に君臨するリスベットと脳に埋め込まれた電脳によりネットでの戦闘を行う電脳戦においてもウィザード級という無類の力を発揮する素子。

さてここから先のこのシリーズの行方ですが、シリーズ継続も含め全くの白紙のようです。リスベットの父親のザラチェンコにまつわるロシアスパイ系の話も煮詰まってきましたし仮にこのシリーズが継続するとしてもそのハードルは更に上がった感があります。
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darkly
darkly さん本が好き!1級(書評数:337 件)

昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。

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