あられさん
レビュアー:
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なんとまあ、欲の皮の突っ張っていることよ・・・(特にイギリス人)
著者は大手予備校の世界史の講師、氾濫する情報の中から問いを答えに導く要点を示してもらえます。
アメリカ、中国、朝鮮半島、東南アジア、インド、ロシア、ヨーロッパ、中東、アフリカ、それぞれ章を当てて解説されています。中東は歴史がとても込み入っているので2章に分かれています。
個人的にはあまりなじみのない東南アジアの歴史とバランサーとして行動する隣国・朝鮮半島の解説がとても面白かったです。
大陸と陸続きの朝鮮半島は中華帝国に加えて北方の遊牧民にも次々と攻め込まれ、その結果「初めは激しく抵抗するが、抵抗しきれないとわかると過剰なまでに忠誠を誓う」という政治行動を選択しました。朝鮮半島が強きものに振れるバランサーとして振舞うことを選択したのは「モンゴルによる過酷な支配の経験」が大きく影響していると著者は語ります。同様に日本人が独特の人の良さ、協調性を保っているのは、持って生まれたものというより、過酷なモンゴル支配を経験したかどうかという経験の違いなのだと。
日本が島国であるということは本当に幸運だったのだのですね。神風も吹いたし。大陸で国境を接している国同士の軋轢の歴史を目にすると「島国気質」って本当にあるよなぁと実感します。イギリス人がヨーロッパの中では愛想がよくてどことなく人が好い感じがするのもヨーロッパ大陸の国々に比べたら島国で気ままにできたということもあるのでしょうか(だけどどうしてあんなにも欲の皮は突っ張ったのか)。
日本人が中東やアフリカの出来事に対して無知であるのも、ある程度は仕方ないことだと個人的には思うのです。あまりにも遠すぎるのです・・・。
当たり前のことながら国は動かすことができません。恵まれない土地を変えることはできず、人が移動するしかありません。より豊かな地域を求めた人の大移動でその地域の暮らしは何度も塗り替えられました。今は移民という姿を取って各国を揺さぶっています。
国内にいる時はグローバリゼーションには何の疑問も感じなかったのですが、外国で暮らすようになり、社会を閉じるというのも一つの選択なのではないかと感じるようになりました。今の時代では反動的かもしれません。
しかし異なる文化と共に暮らすというのは、それは細かい心遣いが必要になり、それを怠ると今までは予想もしていなかった不満や軋轢・怒りを生み出します。多文化な社会は多様性もありますが緊張感も強いるものです。島国の単一文化しか知らない日本にそれができるのでしょうか。
それにしても人の欲望には本当に見境がないものです。隣人への愛を説く宗教が生まれたことは人類の差し迫った危機感だったのでしょう。宗教にも色々と矛盾はありますが、欲と力がぶつかり合う世界への本能的な反論として誕生したことは間違いありません。あの欲張りな連中だけでは本当に世界は壊れてしまう!特にイギリス人の無節操ぶりには、あんな小さな島国がよくもここまでと感心しかけてしまうのがオソロシイ。中東の平和とか、口が裂けても言えませんよね・・・(言ってる? もしかして?)
メディアでは世界の混乱を説明するのに、格差への怒りとかグローバリゼーションへの反発といった言葉を使いますが、正直言ってただの言葉として聞いていました。
しかし歴史をたどってみると、テロに身を投じる人々の絶望や怒りへの想像力がわくように思います。分かりやすい言葉は本当は分かったような気にさせる危険なものなのかもしれません。そしてその分かりやすい言葉が誰によって語られているのかにも注意を払う必要があるのでしょう。
アメリカ、中国、朝鮮半島、東南アジア、インド、ロシア、ヨーロッパ、中東、アフリカ、それぞれ章を当てて解説されています。中東は歴史がとても込み入っているので2章に分かれています。
個人的にはあまりなじみのない東南アジアの歴史とバランサーとして行動する隣国・朝鮮半島の解説がとても面白かったです。
大陸と陸続きの朝鮮半島は中華帝国に加えて北方の遊牧民にも次々と攻め込まれ、その結果「初めは激しく抵抗するが、抵抗しきれないとわかると過剰なまでに忠誠を誓う」という政治行動を選択しました。朝鮮半島が強きものに振れるバランサーとして振舞うことを選択したのは「モンゴルによる過酷な支配の経験」が大きく影響していると著者は語ります。同様に日本人が独特の人の良さ、協調性を保っているのは、持って生まれたものというより、過酷なモンゴル支配を経験したかどうかという経験の違いなのだと。
日本が島国であるということは本当に幸運だったのだのですね。神風も吹いたし。大陸で国境を接している国同士の軋轢の歴史を目にすると「島国気質」って本当にあるよなぁと実感します。イギリス人がヨーロッパの中では愛想がよくてどことなく人が好い感じがするのもヨーロッパ大陸の国々に比べたら島国で気ままにできたということもあるのでしょうか(だけどどうしてあんなにも欲の皮は突っ張ったのか)。
日本人が中東やアフリカの出来事に対して無知であるのも、ある程度は仕方ないことだと個人的には思うのです。あまりにも遠すぎるのです・・・。
当たり前のことながら国は動かすことができません。恵まれない土地を変えることはできず、人が移動するしかありません。より豊かな地域を求めた人の大移動でその地域の暮らしは何度も塗り替えられました。今は移民という姿を取って各国を揺さぶっています。
国内にいる時はグローバリゼーションには何の疑問も感じなかったのですが、外国で暮らすようになり、社会を閉じるというのも一つの選択なのではないかと感じるようになりました。今の時代では反動的かもしれません。
しかし異なる文化と共に暮らすというのは、それは細かい心遣いが必要になり、それを怠ると今までは予想もしていなかった不満や軋轢・怒りを生み出します。多文化な社会は多様性もありますが緊張感も強いるものです。島国の単一文化しか知らない日本にそれができるのでしょうか。
それにしても人の欲望には本当に見境がないものです。隣人への愛を説く宗教が生まれたことは人類の差し迫った危機感だったのでしょう。宗教にも色々と矛盾はありますが、欲と力がぶつかり合う世界への本能的な反論として誕生したことは間違いありません。あの欲張りな連中だけでは本当に世界は壊れてしまう!特にイギリス人の無節操ぶりには、あんな小さな島国がよくもここまでと感心しかけてしまうのがオソロシイ。中東の平和とか、口が裂けても言えませんよね・・・(言ってる? もしかして?)
メディアでは世界の混乱を説明するのに、格差への怒りとかグローバリゼーションへの反発といった言葉を使いますが、正直言ってただの言葉として聞いていました。
しかし歴史をたどってみると、テロに身を投じる人々の絶望や怒りへの想像力がわくように思います。分かりやすい言葉は本当は分かったような気にさせる危険なものなのかもしれません。そしてその分かりやすい言葉が誰によって語られているのかにも注意を払う必要があるのでしょう。
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今まで読むばかりの読書、少しはかたちに残してみたい。
未知の感情を体験されてくれる本、あらすじを説明できないような本が好きです。
勢いで大学の通信部の史学科に入学。歴史の本の合間に良質な物語も読んでいきたい。
この書評へのコメント
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- 出版社:祥伝社
- ページ数:335
- ISBN:9784396317546
- 発売日:2019年04月12日
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