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星落秋風五丈原
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レオナルド・ディカプリオ主演で映画化 心優しき殺し屋の物語 
 表紙の文字はBlood on Snow-雪の上の血という原題通り、血が雪に滲んでいる。オリジナルの表紙よりデザインはいい。さて、この血は誰の血か。

 他に選択肢がなくて殺し屋をやっているという人物は珍しい。で、他の選択肢として挙がったのが逃走車の運転、強盗、ドラッグ絡みの仕事、売春。何だ、他の仕事の方がよっぽど楽じゃないか。消極的選択の結果として殺し屋を選んだのはオーラヴ・ヨハンセン。ノルウェーの王にオーラヴという名は5名いるので、期待の息子だったのだ。過去も登場してくるが、ある事件さえ起こらなければこういう世界で生きることのない優秀な人材だと明かされる。

 今回の仕事は、不貞を働いているらしい麻薬業者のボスの妻を始末することだ。しかしさすがにオーラヴは躊躇う。こういう大仕事を請け負ったが最後、難癖付けて抹殺されるのでは?という用心が先に立ち、実行までの猶予を貰う。ここまでは普通の反応だ。しかしその先の判断が間違っていた。何者かに脅迫されて関係を持たされていると思ったオーラヴは、彼女ではなく浮気相手を殺す。これで心配はなくなったと思いきや、その相手が問題だった。

 起承転結が186ページにコンパクトにまとめられている。主人公を揺らがせる聖女&悪女のキャラクタ―や他のキャラクターにしても、割合揺らぐ部分、不明な部分は少なく、最初にキャラクターをしっかり作り込んでいるので、読者はラストの予測がつけやすい。余白もあるので脚本家もホンに起こしやすかっただろう。主演がレオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイアの監督デビュー作として企画が進んでいる。非情さで恨まれて狙われるのでなく、優しさが仇となって狙われる殺し屋なので、ナイーヴさが垣間見えるディカプリオでも演じられるのでは。

ジョー・ネスボ作品
失墜の王国
    • オリジナルの表紙
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星落秋風五丈原
星落秋風五丈原 さん本が好き!1級(書評数:2321 件)

2005年より書評業。外国人向け情報誌の編集&翻訳、論文添削をしています。生きていく上で大切なことを教えてくれた本、懐かしい思い出と共にある本、これからも様々な本と出会えればと思います。

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