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ゆうちゃん
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本書は、ポワロが11編、オカルトが1編、ミス・マープルが1編と言う構成。ポワロものは創元社の第2巻とかなり重複する。ミス・マープルには「13の謎」と言う短編集があるが、本書の1編はそれに漏れた作品
本書の大半は、創元社の「ポワロの事件簿2」と重複している。残りと言うと著者に失礼だが、「ポワロの事件簿2」で読めなかった短編5編を本書で読んだ。

重複しない5編のうち「二重の手がかり」「二重の罪」「スズメ蜂の巣」の3編はポワロもの。うち「二重の罪」はヘイスティングスとのコンビ、他の2編はポワロ単独の事件調査だった。「洋裁店の人形」はミステリではない。表題作「教会で死んだ男」はミス・マープルものだった。
ポワロもの3編のうち「二重の手がかり」「二重の罪」の2件は窃盗で「二重の手がかり」に登場するある女性キャラクターは、「謎のビッグフォー」などの作品で今後ポワロと何かと因縁のある女性である。ポワロとはこの短編で初対面の様に描かれており「謎のビッグフォー」も早い時期の長編であることから、比較的初期の短編ではないかと思われる。「スズメ蜂の巣」は殺人事件を扱うが殺人事件は起きない。さてその内容は・・。
「洋裁店の人形」は題名の通り洋裁店の仮縫い室にいつの間にか置かれていた人形にまつわる話。気味が悪い人形だと言うことから、仮縫い室に放置されるのだが・・。日本人は人形を人間のように扱い、容易に捨てず処分しなければならない場合にはお寺で炊き上げたりする。西洋人にもそういう感覚があるのだとこの短編を読んで思った。
「教会で死んだ男」でミス・マープルに久々に出会った。ミス・マープルものの代表作「予告殺人」以来の懐かしい牧師夫人のバンチが、夫のジュリアン・ハーモンの教会で「サンクチュアリ」と言い残して死んだ男を見つけた。拳銃で撃たれていた。その男の背広には・・・。ここはセントメアリー・ミードの村ではなく、チッピング・クレグホーンである。そして登場するのはミス・マープルお気に入りのクラドック警部。「予告殺人」の舞台と登場人物が揃った。40頁ほどの短編で本格ものとは言えないが、老嬢は健在で、犯人を罠にはめて大活躍である。

読んだミステリの4件はどれも古典的な作品である。「洋裁店の人形」は、クリスティのオカルトものと言える。僕はポワロものの初期短編を、創元と早川の組み合わせで読んでしまったので、重複が生じるが、早川で揃えるのなら本書と「ポアロ登場」で、創元の「ポワロの事件簿」1,2巻をもカバー出来る。
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ゆうちゃん
ゆうちゃん さん本が好き!1級(書評数:1685 件)

神奈川県に住むサラリーマン(技術者)でしたが24年2月に会社を退職して今は無職です。
読書歴は大学の頃に遡ります。粗筋や感想をメモするようになりましたのはここ10年程ですので、若い頃に読んだ作品を再読した投稿が多いです。元々海外純文学と推理小説、そして海外の歴史小説が自分の好きな分野でした。しかし、最近は、文明論、科学ノンフィクション、音楽などにも興味が広がってきました。投稿するからには評価出来ない作品もきっちりと読もうと心掛けています。どうかよろしくお願い致します。

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